第9話 記憶
突如、ピコン、と音が鳴った。
どうやらスマホからのようだ。
通知を見ると、質問アプリで返信が来た、と書いてある。
おそらく先程の質問の返事だろう。
私は急いで質問アプリを開いた。
『お前を作ったのは、博士だ。X博士。』
X博士……?
何故だろう、聞き覚えがある。
脳裏に声が響いた。
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「Xハカセー!あそびにきてくれたの?
私、ハカセのこと好きよ。
だって、ハカセは毎日あそびにきてくれるもの!
ほかのハカセとはおおちがいだわ。」
見覚えのある、薄汚れたワンピースを着た女の子が、白衣を着た男性に走り寄っていく。
「琴音。元気にしてたかい?」
ぽんぽん、と優しく頭を撫で、そう言う男性。
嬉しそうに、くすぐったそうに笑った女の子が、ふとこちらを振り向いた。
無機質な灰色の瞳に、真っ直ぐな白い髪をしている女の子は―――――――
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私?
思わずしゃがみ込み、荒い息を吐く。
今のはなんだ?
私の記憶なのか……?
「……えーっと……大丈夫、か?」
戸惑いがちに少年に問われる。
我に返り、ゆっくりと立ち上がって、鷹揚に頷いた。
「……大丈夫だ。私の名前は、どうやら琴音というらしい。」
「……そうか。俺の名前は、琴羽だ。」
コトハ。
小さく声に出してつぶやく。
名前が似ていて、なんだか不思議な気持ちになった。
どこか繋がったような、懐かしいような……変な感覚だ。
……共通点など、改造人間であるということくらいしか無いはずのに。
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