第7話 Yの本音

「お前は、人間を恨まないと言った。

 改造人間を殺しても良心は傷まないのか?」


部屋から出てしばらくして、地図を頼りに街の方へ足を進めつつ何気なく聞いた。


「だって、改造人間はもう人間じゃないだろ。

 君だって、研究院の人の説明を聞いたとき、そう思ったろ?」


そう言ってYは笑った。

なぜか、彼が泣いているように見えた。思わず目をそらす。


「……人間に、戻りたいのか?」


彼の問いには答えず、私は重ねて聞いた。


「……戻りたいのかもな。」


「私は人間を殺す。お前も人間に戻ったら殺してしまうぞ。

 ……それでもか?」


寂しそうな笑みを浮かべる彼に私は焦れて、そう言う。

だが、彼は俯いて言った。


「……それでもだ。俺は、人として死にたいのかもしれない。」


それきり、口をつぐんでしまった。

私には何と声をかけたら良いか分からなかった。


「……死ぬときはきっと一緒だ。……チームだからな。」


私も、そうぽつりと言って黙る。

2人とも、それからは黙々と足を進めた。

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