第7話 Yの本音
「お前は、人間を恨まないと言った。
改造人間を殺しても良心は傷まないのか?」
部屋から出てしばらくして、地図を頼りに街の方へ足を進めつつ何気なく聞いた。
「だって、改造人間はもう人間じゃないだろ。
君だって、研究院の人の説明を聞いたとき、そう思ったろ?」
そう言ってYは笑った。
なぜか、彼が泣いているように見えた。思わず目をそらす。
「……人間に、戻りたいのか?」
彼の問いには答えず、私は重ねて聞いた。
「……戻りたいのかもな。」
「私は人間を殺す。お前も人間に戻ったら殺してしまうぞ。
……それでもか?」
寂しそうな笑みを浮かべる彼に私は焦れて、そう言う。
だが、彼は俯いて言った。
「……それでもだ。俺は、人として死にたいのかもしれない。」
それきり、口をつぐんでしまった。
私には何と声をかけたら良いか分からなかった。
「……死ぬときはきっと一緒だ。……チームだからな。」
私も、そうぽつりと言って黙る。
2人とも、それからは黙々と足を進めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます