第6話 街へ

「……とりあえず、街に行くべきだと思う。」


重苦しい空気を打ち破り、先のことを話し合う。


「俺にはスマホが支給されていたが……Xは?」


名前のことは結局うやむやになった。


「私にもスマホが支給されていた。マップを使って街に行くのが妥当だろうな。」


俺もそう思う、とYに返される。

軽く頷いて、スマホを起動させマップを開く。


「……街までは結構かかるようだな。風に乗っていくか?」


私は、研究員が、改造人間は風に乗れると言っていたのを思い出した。


「いや、街が風上にあるから、風に乗ったら街から離れるだけだ……」


少年に苦い顔で返される。

そう考えると、風に乗れるというのも特段便利なものではない。


「だが歩いていくとなると……8キロ、ということは普通の人間で2時間程かかるな……」


「何も急ぐ必要はない。歩いていくしかないのだから、仕方ないだろう。」


少年に諭され、渋々頷く。


そうして私たちは、部屋を出た。

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