第7話 出会い
冷たいものを背中に感じる、どうやら液体をかけられたようだ。
「も、申し訳ございません!」
そう言ったのは一人の令嬢だ。
誰かの分の飲み物も持っていたらしく、空のコップを二つ手にしている。
「このような事をしてしまって、何とお詫びをしたらいいか」
今にも泣きそうな顔をしている、彼女には悪いがこれはチャンスだ。
「いいのよ。それよりもあなたは大丈夫?」
少なからず飛沫が飛んだようで、彼女も自分のドレスを見て驚いている。
「どうしよう、せっかくお祖父様に買って頂いたのに」
「それくらいなら、すぐに染み抜きをすれば大丈夫よ。控室にわたくしの侍女がおりますから一緒に行きましょう」
怒る気持ちは全くなかった。
ディアナに飲み物を掛けてしまった事を悪いと思っているようだから、これ以上責めなくていいだろう。
寧ろ堂々とここからいなくなれるのだから喜ばしい。
「わたくしはディアナ=マクラインよ。あなたは」
「私はキャシー=ブレナガンと言います」
どこかで見た事があると思ったら、夢の中でだ。
とはいっても顔見知り程度だが。
「これは何の騒ぎだ?」
さすがに気になったのか、シリウスが来る。
「申し訳ございません。少々お騒がせしてしまいましたが、大丈夫ですわ。殿下達は引き続きご歓談をお楽しみください。では失礼いたします」
一気に捲し立てるとディアナはキャシーを連れて侍女の控室を目指す。
どうやら追いかけてくる様子はないようで安堵した。
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