第6話 苦悩

今日はシリウスにとって運命の日だ、気が重い。


あれから調査をしたが、彼女たちの素行に悪いところはなく、家柄も問題ない。


父にも確認したがやはり婚約者候補となっている。


(どうしたら良いものか)

夢の中の彼女たちが酷すぎてどうしても好意がもてない。


一笑に付すにはリアルすぎるものだったから、シリウスは警戒を怠らなかった。


茶会では色々な者と話をし、とても楽しく過ごせていた。


夢の事なんて忘れていたかったが、そうはいかない。


(あれがディアナか)

遠くにいるのを見つけ、そっと観察する。


綺麗な銀髪に黄緑の目、立ち居振る舞いは貴族令嬢らしく美しい。


(話すまではわからないがな)

そうして見ているうちに彼女と目が合ったような気がする。


まずい、と思ったのはシリウスだけではなかった。


(大変、目が合ってしまったわ)

急いでディアナは目をそらす。


王子と話をせずに何とか乗り切りたい、本来であればすぐに挨拶をしなくてはならないのだが、どうして顔をあわせたくはない。


あの殺された時の冷たい目が忘れられないのだ。


(どうしよう……でも)

悩んでばかりはいられない。


意を決し、シリウスのところに歩き出そうとしたその時に、冷たいものを背中に感じた。

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