実況33 賢人解放(解説:LUNA)
やはり、彼女もここに来るまでに使っていたのだろう。自動蘇生魔法が掛かっていたようだ。
けれど、もう勝負はついている。
いくら
そう思いたいけど、
「あたしの負けだ。もう一度、殺せばそれで終わる」
両手を上げて、気落ちしたように言った。
別にわざわざ止めを刺す必要はない。
相手が負けを認めたのなら、私達だって無意味な殺傷はしたくない。
けれど、それでは納得してくれないのだろう。
こう言うトコ、無駄に几帳面な娘だと思う。
あっ、今更後付けで説明するようだけど、彼、アタッシュケース大の鞄を手に提げていたりする。
何が入っているかは、今からのお楽しみ。
「……一緒に見て欲しいものがある。勝負を棚上げするだけの価値は、保証しよう」
まあ、そうなるよね。
今のトコ、彼と私だけが知っている、最後のネタばらし。
一人でも観客が多く居て欲しい気持ちはわかる。
「つまらなかったら、あたしの勝ちで良い?」
何だそれ。
変なトコでいい加減な娘でもある。
その辺のバランス考え直したら、もう少し生きやすいんじゃない? って思うけど。
「……良いだろう」
へぇ、と
彼は、今更ながら、ラスボスである生命樹の顔を見据えた。
「……これより、生命樹を一撃で始末する」
そして、宣言した。
流石に皆、各々に呆気に取られた顔をした。
特に、この“優しい世界”のシビアさを散々味わってきた老兵
「現実に則した事を言え。出来る筈が無いだろう!」
だけど
「……出来る。貴方の、真の力があれば」
そう、宣告した。
いや、真の力とか言うけど、別に
そんなコト言われたって、無茶振りとしか思えないだろう。
けれど。
「……これより、自分と
それを見れば、何をすべきかが自ずと解る筈だ」
さて。
そのタイミングが来たと、彼の目が私に言っている。
私は彼と並び立ち、遠く生命樹の顔を見据えた。
そして。
私は、
中にはぎっしりと、紙幣が詰まっている。
私達パーティの全財産、500,000ゴールドである。(日本円にしておよそ50,000,000円相当也)
それを鷲掴み、私は頭上高くに撒き散らして。
金を魔法触媒として光炎で燃やした。
ヒャッハー! こんなモン、今ではトイレットペーパーにもなりゃしねぇぜ!
……こほん。失礼。
つい、前ゲームでの癖が出た。
気を取り直して、詠唱しよう。
ーー此処より先に在りしは、条理無き青天の星空のみ!
ーー刻にさえ忘れ去られし、古の英霊に我、乞い願う!
ーー我が想い総てを星とし、其を道標に我等を新たな境地へと導き給え!
ーーパルデンス・リベラティオ!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
私達の全財産の成れの果てである、光の粉雪が螺旋を描きながら降り注ぐ。
【パルデンス・リベラティオ(★9)
次ターン、パーティの保有する★を30にする。
反動として500,000ゴールドを失い、
術者二人はキャラロストする】
奇遇だね、
ここ一番でキメると考えた時、その人の考える代償って皆同じなんだろうね。
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