DP

「あのー、そろそろいいですか?」


すまんな。やれることが多いみたいで少し興奮していた、もう大丈夫だ。


「そうですか、でも、先ずはこの殺風景なダンジョンに少し手を加えていきましょう。」


そうだな、説明を頼む。


「現在このダンジョンは扉の無い入り口とコアルームだけのとても危険な状態です。何かの拍子に滝から石や魔物が突っ込んできたらコアに直撃してしまいます。」


それは確かによろしくないな。では、扉をつけるのか?


「扉や門を入り口に設置するのは勿論ですが、通路や部屋を配置してこのコアルームを奥に隠していくのです。」


ふむ。


「と、言ってもスー様はダンジョンマスターになられたばかり、LV1の状態では出来ることやれることも限られます。」


まぁ、道理だな。


「ダンジョンメニューの右下に数字がありませんか?」


5000DPとあるな。


「このDPを稼ぐことがダンジョン運営の基本となります。設備や魔物といったものから、日用品のような細々したものに至るまでの全てがDPを消費して得ることになります。」


成る程な、金の代わりになると言うわけだ。


「そうなります。DPを稼ぐ方法は多岐にわたりますが、効率で考えると生物がダンジョンで活動することで得られるポイントで稼ぐのが一番です。」


その為のダンジョン作りと言うわけだな。


「ご理解いただいたようで何よりです。では、実際にダンジョンを改装していきましょう。ダンジョンメニューの左下にあるマップのコマンドを選択してください。」


ダンジョンメニューのマップだな。これは、配置図か。四角い正方形の大きな枠があり、その南端部分の真ん中にコアルームがあるな。外枠の大きさは目測でコアルームが縦横30ぐらいは並ぶ大きさ、これがどれくらいの大きさかは解らないが一人では確実にもて余す大きさだな。


「次は、ダンジョンメニューの設備の欄から通路を選択してください。」


おっと、敷地を活かす方法を考える前に習うべき事をちゃんと習わないとな。メニューの通路っと。これは、三種類あるが材質で値段が違うな。レンガなら10DP、土は5DP、岩が1DP。値段の違いはなんだ?


「今のところは見た目の違いだけです。通路や部屋の材質の場合は、ダンジョンを作った場所の影響を大きく受けます。スー様の場合は大瀑布の裏側の岩肌にダンジョンを作りましたので、岩を基準とするものが安くなっている状態になります。」


成る程な、そういうことなら岩の通路で問題ないな。


「因にですが通路の場合は1m単位、部屋は1㎥、水等の液体や砂のような細かな粒状の物は1kg、あとの個別の物は1個からとなっています。ですが、例外的なものも多くありますので参考程度に覚えておいて頂ければ大丈夫です。」


わかった。頭の片隅にでも置いておこう。


「では、岩の通路5メートルを入口とコアルームの間に設置してみましょう。」


いきなりか。


「実際にさわった方が覚えていただける。というのはデータでありますので。」


データね、そういえばこれは人工知能だったな。これまでの事を思い出すと、この青い玉の向こうにオペレーターが居るのでは?と疑ってしまいそうだ。


まぁ、いい。実際にやってみるか。


先ずはメニューの設備から岩の通路を5メートル購入。おっ!マップの方に未設置設備のコマンドが出たな。だが、通路を設置する前にコアルームを動かさないとな、こういうのは大体ドラック&ドロップでいけるはず........違ったな。マップのコアルームを触った時に移動や改装等のメニューが出てきた。この移動コマンドを使うのだろう。


.........無事にチュートリアルミッションはクリア出来た。クリア出来たのだが、これは、最初から考えて作らないとDPがいくらあっても足りないな。それに、少し驚いたが設置を完了するとダンジョンにすぐに反映されるようだ。


「おめでとうございます。問題なく通路の設置ができたようですね。そして、気付いたようですね。既存の設備を移動する時もDPを消費します。コアルームの場合は1m1DPですが、大きな部屋や特殊なトラップ等になると1m動かすのに1000DPかかものもあったりするのでよく考えてから設備を設置してください。」


これは、DPの使い方をよく考えないとな。


「次は、最も重要なDPの稼ぎ方です。」


生物からDPを得るのが基本だと言っていたな。


「その通りです。DPが一番得られるのはダンジョン内で生物が死んだ時になるのですが、スー様の場合は外からの生物を積極時に招き入れる方針ではありませんよね。」


予想はしていたが例えゲームとはいえ生死がかかった状態ではゴロゴロは出来ない。そういうことなので、血生臭いのはできるだけ遠慮したいな。


「ですが、最低限の防衛能力は必要です。偶然このダンジョンが発見される可能性はゼロでは有りませんから。そこを踏まえて、このセイランがお勧めするプランがあります。戦闘能力を有する高位個体の魔物を最低限の数だけ使役することで、防衛能力と日々のDPを稼ぐというのはどうでしょうか。」


プランの説明の部分がテンション高めだったな。......日々のDPと言っていたがどの程度なんだ?提案としては悪くないんだがそこを詳しく教えてくれ。


「了解しました。まずダンジョンマスターの場合は日にLV×100のDPを得ることが出来ます。ダンジョンマスターのLVは他のプレイヤーと異なりダンジョンの発展度合いによってLVが上がります。そして、召喚した魔物は召喚に使用したDPの10分の1がDPとして得られます。この数値は魔物のLVが上がり強くなったとしても固定となります。」


ほうほう。それは、ログアウト中もカウントされるのか?それと、外の生物がダンジョンに滞在する場合はどうなるんだ?


「カウントされます。ログアウト中に侵入者にダンジョンが破壊されない限りは大丈夫です。もうひとつの、外の生物の場合一部の例外はありますがLV×300DPが得られます。因みにダンジョン内で外の生物が死亡した場合はLV×2000のDP得られますので、こちらも一応は覚えておいてください。」


あと、すまんがもうひとつ、召還した魔物がダンジョンで倒れた場合はどうなるんだ?いくらかDPに還元されたりするのか?


「召還した魔物や生物がダンジョン内で死亡した場合はDPは発生しません。その理由は、死亡扱いにはなっていないからです。ダンジョンマスターはDPを使用することで倒れた魔物や生物を復活させることが可能だからです。」


理解した。ダンジョンコアを破壊されない限りは死なないということだな。


「そういうことです。」


.....チュートリアルもそろそろ終わりか?今まで聞いた話だとゴロゴロなんて出来なさそうなんだが、最初はしょうがないと割り切るしかないのか....


「最初はどの職も同じようなものですよ。あとは、魔物の召還とステータスの話をしたら終わりなので気を取り直していきましょう。」





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