登録

さて、我が家の改築工事も無事完了し、家具家電その他雑貨日用品等の搬入設置も終わった。


そして、ちゃんとした引っ越し完了に伴い、近所の人を招いての挨拶もかねた宴会も開いた。これからは、近所付き合いもそれなりにやっていこうと思っている。


我が家の一番高価な物であるゲーム機、見た目酸素カプセルのそれは大きさにして1畳半程ある。これは、いらない壁をぶち抜き広いワンフロアに改築した一階に設置した。家族がいれば批判の声も上がっただろうが独り者なのでそこら辺は気にしなくてもいい。宴会の時に独り者の贅沢だと笑われたが本当のことだし話のネタとして貰えるなら、まぁ、悪くないだろう。



さてさて、早速だかゲームをしよう。


後輩の指摘のとおり、触らなければ高価なインテリアに変わってしまう。それはよろしくない。


見た目酸素カプセルの中に入り横になる。おお!なかなかに居心地がいい、空調も管理されてるのか外よりも快適なくらいだ。


まずは、何をすればいいんだろうか?


《音声案内をご利用なさいますか?》


む!?少し驚いたな。俺の声に反応して何かしら起動したのだろう。そういえば、電気屋の店員が優秀な人工知能が内臓されてるって言っていたな。そういうことなら、ありがたく利用させてもらおう。


《了解致しました。それでは、初回起動に伴う各種設定登録を行います。まず、生体スキャンによる生体情報の登録を開始いたします。》


生体スキャン、なつかしい。俺が昔持っていた最初期の物でもやった覚えがある、あの時はゲーム会社が運営する施設で人間ドックみたいな検査をやったな。


《登録を完了致しました。続いて外部接続の設定に移ります。接続する設備や機器をご指定ください。》


早いな。携帯と我が家の設備への接続を頼む。


《......一部の機器の接続に不備があります。》


ふむ、リストを出せるか?


《リストを表示します。》


リストが現れたな。.............給湯器の接続にエラーが出てるな、後で確認しておこう。


《最後に個人情報の登録を行います。》


名前に性別、血液型、生年月日、年齢、住所、電話番号、メールアドレスそれにカード番号か.....生体スキャンだけじゃ駄目なんだろうな。まぁ、いい。必要だと言うのなら登録するだけだ。カード番号は少し気が引けるが、ゲームのタイトルは今では店頭で売ってないからな、ゲームをするために必要なら登録するしかない。


《全ての設定が完了致しました。》


ご苦労。と、いうのも変か。では、このままゲームを買ってしまおう。[TheTower]というタイトルのゲームを探してくれ。


《TheTower.....検索結果一件。表示いたします。》


後輩に見せてもらった画面と同じものだ。ふむ、通常版とプレミアム版があるな。値段も二千円ほど違うがこの違いはなんだ?


《解説に、ゲーム開始時に選べる選択肢が増える。とあります。》


なるほど、詳しくは書かれてないのか。まぁ、どっちを買うにしても後悔はしたくないな。ネットの掲示板や攻略サイトとかに情報はのってないか?


《.........情報の集計精査完了致しました。通常版、プレミアム版の違いを表示いたします。》


ほー、なるほど。種族の追加。一部の特殊職が最初から選択可能。あとは、限定アイテムのプレゼントか。


決まりだ。プレミアム版を買うぞ。


《了解致しました。[TheTower]プレミアム版の購入処理を行います。》


買った時のなんとも言えないワクワク感が懐かしい。


《購入処理が完了致しました。続いて[TheTower]プレミアム版のダウンロードを行いますか?》


頼む。


《ダウンロードを開始します。暫くお待ちください。》


ふむ、暫く時間が掛かるなら給湯器の接続を確認してくるのもいいな。ダウンロードはどれくらい時間がかかるんだ?


《約15分ほどを予定しています。》


そうか、なら一端外に出してくれ。登録の時のエラーを直してくる。


《了解致しました。ロック解除。カプセル開きます。起き上がる際の頭部の接触にご注意してください。また、再度此方に入る際は外から声をかけていただければカプセルを開けさせて頂きます。》


わかった。配慮感謝する。


さて、ダウンロードしている間に給湯器の取り扱い説明書を引っ張り出して、接続エラーの原因を見つけないとな。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る