2-2

「なるほど。そういう感じになってんだね」

「紗弥さん。どうにかならないかな」


う〜んと紗弥さんは首を捻ると、何かひらめいたように顔をあげる。


「どうにもならないことはないんだけど」

「その案とは?」

「話す機会を作ればいいんじゃないの?」

「どういうこと?」

「例えば何かの委員会で同じになる、とか」

「俺委員会だけは嫌なんだよね」

「えぇ、主張強。それじゃ、なにかのボランティアとか?」

「利益がないとやりたくないと言うか」

「それ、最悪な考えだと思う」

「かもな。アドバイスありがとう」

「何もアドバイスしてないと思うんだけど?」


紗弥さんに礼を言って教室を後にした。



次の日。

俺はサーチエクスペンシブと一昨日同様、屋上で飯を食うことに。


「収穫はどうだ?」

「僕が調べたところによると、閑華さんと靜枝さんは白っぽい」


あ、そう。


「俺の方の収穫は幸雄さんは白。ホームステイだとよ。一ノ瀬さんはこれから」

「ガンバ」

「絶対にめんどくさいから俺に押し付けたんだろ」

「さぁ?何のことだか」

「この野郎」


サーチエクスペンシブに嫌味を言って、俺は教室に向かう。

教室に入ると、真っ先に俺は一ノ瀬さん達の元へ向かう。


「今、いいかな?」


俺が話しかけると、ビクッと体を震わせて振り向く。

そんなに怯えなくてもいいんじゃねぇか?


「・・・・・・」

「この後、少し話したいことがあるんだけど、いいかな?」

「・・・・・・」


無言だが、今僅かに頷いたのを見逃すはずがなく。


「それじゃ、放課後この教室で」

「・・・・・・」


俺はそう告げると、自分の席に戻る。

そう言えば、紅梨さんはどこに行ったんだ?

あたりを見渡すが、かなりムカつく顔をしているサーチエクスペンシブしかいない。

他のやつはどうせグラウンドか。

いつもなら紅梨さんいるんだけどな。

まぁ、詳しいことは気にしないでおこう。



放課後。

俺はサーチエクスペンシブや紗弥さんに用事があると言って残ることに。

その時のサーチエクスペンシブの顔を殴りたかったが、見事に避けられた。


「待たせたな」


俺は教室に入ると、待たせていた一ノ瀬さん達に謝ると、近くの席に座る。


「いきなりで悪いんだが、4,5日前、何をしていたのかを知りたい」

「・・・・・・」

「勝手に調べて悪いと思っているんだが、イギリスにいたよな?」

「・・・・・・――」


僅かではあるが、何かを喋った。

かなり高い声で。


「別に笑ったり言いふらしたりしないから言ってほしい」

「・・・・・・再従兄弟叔父はとこおじ

「え?」


口を開いたのは席順的に一ノ瀬洸さん。

かなり小さく細い声ではあるが、透き通るように聴こえる。


「・・・・・・ですよね」

「え??え??」

「・・・・・・話がしたいなら家に来てください」


どういうこと?


「・・・・・・み、みてる」


今まで口を開かなかった泉水さんの方が後ろ扉を指す。

振り返ると、そこには隠れていない頭が見えていた。


「了解」


あれはおそらく紅梨さんだろう。


「・・・・・・撒くから付いて来て。泉水」

「付いてきてって・・・・・・」


俺は2人の後を追うように走り出す。

角を曲がった途端、2人は一気に走り出す。


「「えぇぇぇぇ!?」」


俺は急いで後を追う。

後ろからも聴いたことのある声が聞こえた気がする。

ちょ、本当に速いんですけど。


「・・・・・・次の角を左、その次も左。その後右」


洸さんがボソリとつぶやく。

そしてT字路が迫ってくると、左に曲がる。そしてすぐ近くの路地に入ると底を右に曲がる。

そして曲がった先で2人が止まっていた所為でぶつかるところだった。


「速いね・・・・・・」


ゼェハァゼェハァ。

という音を出しながら肩で息をする。


「全力ダッシュ5分はキツイって」

「・・・・・・」


紅梨さんを撒くには確かにこの方法が一番だけれど。


「・・・・・・叔父さん」

「俺のこと?」


2人はうなずく。

確かに再従兄弟叔父かもしれないけどさ。

いや、今度家系図見ておくか。


「それで何?」

「・・・・・・イ、イギリス・・・・・・知りたい、な、なら・・・・・・ゴ、ゴールデン、ウィーク。待ってる」

「え?」

「・・・・・・泉水、無理しないで。今度、狩場帝国ホテルに泊まる。そこに来てください」

「え?」

「・・・・・・上」


上を見ると、そこには除いてる紅梨さんがいる。

あぁ、なんとなく察してしまったのかな。


「・・・・・・そういう・・・・・・ことだから」


そう言うと2人は走って路地を行ってしまった。

紅梨さん、余計なことを。



「はい。反省しています」


紅梨さんの家にて。

紗弥さんと共にお叱り中。


「毎度毎度好奇心しかないんだから・・・・・・。本当に困るねぇ」

「はい」

「『はい』って言ったら許してくれる社会じゃないんだよ!?」

「大変申し訳ございません」

「謝れば許してくれる社会でもないんだよ!?」

「はい」

「大体、閑華さんは――――」


始まった始まった。

俺は部屋の外で待たせてもらうことにしよう。

ただでさえ、紗弥さんは面倒くさいのに怒った時には・・・・・・。

考えるのをやめよう。

そういえば、なんで一ノ瀬さん達は俺のことを知っていたんだ?




≪To The Next Story...≫

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る