1-8

目が覚めると、そこには見知らぬ白い天井が写った。

そして、瞬時に病院だと認識した。

隣のベッドにはサーチエクスペンシブが寝ている。

その足元でつきっきりの看病をしたであろう咲希さんが寝ている。

そうか。

俺らよりも強い奴が来たのか。

俺は起き上がると、窓まで行く。

眼下にはロンドンの街が見える。


「ん゛ん゛〜・・・・・・」


サーチエクスペンシブが唸り声を上げて起き上がる。


「目覚めたか」

「おう。ルーズセル。しかし、ひどいやり様だったな」

「あぁ。サーチエクスペンシブ。傷の具合は?」

「ナイフ2本刺さった」

「マジ!?」

「そういうルーズセルはどうだ?」

「ナイフ1本だ」

「相手が武器を使うと思ってなかったな・・・・・・」

「甘いな。俺はちゃんと銃を用意していた」

「僕は誰が来ても大丈夫なんだけどな・・・・・・」


その油断を突かれたんだろうが。

―――ったく、これだから自己肯定力強いやつは。


「そうだ、メモリーは!?」

「そうだった」


サーチエクスペンシブの一言で思い出す。

俺とサーチエクスペンシブはそれぞれ着替えて部屋を出る。

咲希さんの前には少し出掛けます、とメモを置いておいた。



「Unfortunately it was stolen(残念ながら盗られてしまいました)」

「クソッ」

「ルーズセル。反応で分かるんだけどさ。盗られたんだよね?」

「あぁ」

「Mr.Carol、I'm sorry so much(カロールさん、大変申し訳ございませんでした)」

「I'm sorry about I hurt you.(こちらこそ貴方達を怪我させてしまって申し訳ない)」

「Please raise your head, Carol. We also had faults(頭を上げてください、カロールさん。私達にも非がありました)」

「No. If you aren't here, we was killed. So, Thank you very much(いいえ。もし貴方達が居なければ私達は殺されていたでしょう。心から礼を申し上げます)」


結果的に言えば盗られてしまったわけだが、俺らにはまだ術がある。

犯人を見つけ出すこと。


「サーチエクスペンシブ」

「あぁ。行こうか。僕らの快進撃へ」


カロールさんに許可を貰って周辺の防犯カメラを調べることに。

案の定、見つかるわけがない――――のだが。


「ルーズセル、これ」


サーチエクスペンシブが見せてきたのは二人組が車に乗り込むところ。

なるほど。

ナンバー控えて追えばどこに行ったか分かるのか。

ナンバーはP156DAVだな。


「問題は3日前なんだよね」

「とりま、追跡しよう」


俺とサーチエクスペンシブはそれぞれPCに向かってオービスで探知していく。

オービスとは日本で言う、自動速度違反取締装置だ。

速度違反とかすると光る。

光ったところは見たこと―――――ある。

どこかのサーチエクスペンシブが飛ばしたときに。

閑話休題。

探知していくと空港の方へ向かっていく。


「サーチエクスペンシブ。空港だ」

「空港了解」


更に勧めていくとそのまま飛行機に乗って行ったことが発覚。


「――――ってことはだよ。そのメモリーは空港にあるんじゃないの?」

「そうだな。行こう」


カロールさんに現状を伝えて俺らは空港に向かうために咲希さんの元へ。


「咲希〜。起きろ〜」

「・・・・・・」

「ダメだ。起きない」

「感謝しとけ。寝ずに看病してただろうから」

「――――じゃぁ、ルーズセル」

「え!?何その笑顔!?凄い嫌な予感が」



「行くぜぇぇぇぇ!!!!!!」

「ギャー!!!!」


サーチエクスペンシブは現在パトカーの運転席に座り、独走中。

サイレン鳴らしゃ、スピード出していいわけじゃないの。

後ろからカロールさん達が何食わず顔で付いてきているのがなんとも言えん。

ちなみに、咲希さんを置いていくわけにはいかないので、後ろで寝かせてある。


「ルーズセル、舌噛め!!」

「すごく嫌な予感が・・・・・・」

「オルアァァァ!!!!」


はい。

想像通りのドリフトで逆に安心しました。

そして無事(?)に着いた空港。

散策結果、メモリーは見つかった。


「中身は・・・・・・空だ」

「案の定って所がある」

「Hi, knew where they were going!(彼らがどこ行くのか分かったぜ)」

「Where!?(どこ!?)」

「In Japan!!(日本だ!!)」

「OK. We're going to go to Japan and arrest them(OK!私達は日本に行って彼らをつかまえてきます!!)」

「Thank you!! And good buy(ありがとう!!そしてさようなら!!)」

「Good bye, too!!(こちらこそ!!)」


そんなこんなで日本に戻ることになると、俺らは秋田家のプライベートジェットへ向かう。

飛行機に乗り込んですぐ、日本へと飛び立った。




日本に戻った時には金曜日の朝だった。

ちなみに、飛行機の中でサーチエクスペンシブは咲希さんに激怒されていた。

まぁ、そりゃそうだよな。

咲希さん曰く、


「お嬢様は警戒心が足りないんです」


らしい。

確かにこの前の一件といい、今回の一件といい、全てに舐めてかかってるからな。

まぁ、今回自分よりも強い奴が出たことで考え直すことを期待したい。




≪To The Next Sory...≫

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