1-6
「こころお嬢様。来客でございます」
「誰だ?」
「それが・・・・・・一ノ瀬さんでしょうか。話していただけなくて」
「一ノ瀬さんか。通してくれ」
「まさかとは思いますがお嬢様。この応接間へ入れる気ですか?」
「もちろん」
「「これで片付けたのかよ(んですか)」」
「陶器の破片が散乱しているのが、片付いてるか」
「大分マシでしょ?」
「Before After で言えば綺麗になりました。ですが・・・・・・」
「咲希、これ以上の侮辱は許さん」
「申し訳ございませんでした」
咲希さん可愛そう。
「というか一ノ瀬さん、何の用事だろう」
「西条寺さんを腹パンしてたな・・・・・・w」
お前、笑ったな。
自分は強いからいいですよねぇ。
今度サードラインを道連れにして殴り込むか。
「お嬢様、取り敢えず小会議室の方へお招き致します」
「いや、ここに・・・・・・」
「お願いします咲希さん」
「畏まりました」
――――ったく。
俺が言わなかったら絶対にここに招く気でしょ。
咲希さんがしっかりしてて良かった。
◆
「・・・・・・」
「えっと・・・・・・来た理由を訊いていい?」
「・・・・・・」
ダメだ。
会話が成り立たん。
「せめて答えくらい言ってくれないかな・・・・・・」
すると、スマホを出して画面を見せてくれた。
なになに、『先程の喫茶店で忘れていったものがあったから持ってきた』
ほう。
かなり優しいな。
「それはありがとう」
サーチエクスペンシブが礼を言うなんて何年ぶりだろう。
そして机上に置かれたのは――――――どこにでもありそうなUSBメモリだった。
「USB・・・・・・」
「・・・・・・」
「とりま、ありがとうね」
はいはい、と言うように頭を縦に振ると、その場を後にして行った。
「・・・・・・」
「どうしたサーチエクスペンシブ?」
「・・・・・・このUSB、もしかして・・・・・・」
サーチエクスペンシブがどこからともなくPCを出すと繋ぐ。
「えっと・・・・・・1024TB!?」
「中身は無事か!?」
「まずはPW。えっと・・・・・・」
「0oZ2kl-sk7@Koanでございます、お嬢様」
「ありがとう―――って何で知ってんの?」
「申し訳ございませんが、お嬢様に盗聴器と発信機があるものでして」
「そうか。じゃねぇよ。なんでんなものが僕に・・・・・・」
「秋田家当主様のご意思です」
「親父か。心配性が過ぎるだろ。――――っとまぁこの辺にしておいて」
サーチエクスペンシブが入力すると、中身が出てくる。
――――が、そこにあったのは1枚のテキストデータ。
「データ容量は135B・・・・・・」
「開いて」
「おう」
そこには、こう書かれていた。
『This USB memory was received by us!!
If you may get this, you have to bring Japanese Public Security Police.
Information Assassin
P.S.』
「『情報の暗殺者』か・・・・・・」
「知ってるのか?」
「最近世界各地の国家機密が消滅するなどのお世辞にも珍事と呼べない事件だ」
「手口としてはどんな感じなんだ?」
「まず、USBにしろSDにしろHDDにしろ、盗まれるだろ。
その盗まれた数週間後にその国のどこかで発見される。
中のデータは無くなってて、上のように持ち主に渡すように指示されている」
「どこにあるとか、共通点は?」
「基本的にはないけど、喫茶店が多いかな。ん?P.S.追伸・・・・・・」
追伸には次なる犯行が書かれていた。
『Next, England』
「イギリスか・・・・・・」
「・・・・・・」
「何その目?」
「いや、僕は今からイギリスに行くんだけど」
「いや、待て。サードラインに訊いてから・・・・・・」
「遅いよ?」
「え?」
「多分明日だから」
「明日って・・・・・・学校はどうするんだよ」
「へ?サボるけど?」
「当たり前のように言うな。で、飛行機は?」
「秋田家のプライベートジェット」
「はぁ、これだから金持ちは。行けばいいんだろ?」
「流石。物分かりが良くて助かる。じゃ、滑走路にて待つ」
家の中に滑走路あるの!?
この家に常識は通用しないのか!?
まぁ、通用すると思ってないけどね。
◆
プライベートジェットに乗って数時間後。
「なぁ、ルーズセル」
「何?」
「正直嫌な予感がするんだけど」
「じゃぁ、何で来たんだよ」
「その場の流れってやつ。USBは届けさせてるから大丈夫だけど」
ん?
届けさせてる?
「誰に?」
「え?サードラインに」
「会ったんかい。中を見ないように言ったんだろうな!?」
「いや?別にあのテキストデータしか入ってないわけだし」
「まぁ。そう言われればそうなんだけど」
「イギリスの保安局国際テロ対策部門には連絡してあるから大丈夫」
「人脈すげぇな、おい」
「この世は金と人脈と信用で成り立ってる」
「過言・・・・・・ではないな。確かにそのとおりではある」
「だろ?で、僕らはイギリスに着いたら取り敢えず、保安局に向かう」
「そこも連絡してあるのか?」
「勿論。保安局には僕の知り合いもいるしね」
「海外に知り合いがいるのかよ。しかも保安局」
「僕を舐めないことだね」
飛行機は徐々に高度を落としてイギリスに到着する様相をしていた。
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