記憶

りえ

第1話

皆さん小さい頃の記憶って歳をとると忘れちゃいますよね?

人間幸せな人ほど昔の記憶が上書きされると聞いた事があります。

不幸せな人ほど記憶が上書きされないとか

確かに嫌な記憶ほど残ると言いますもんね。


私は…

昔の記憶を覚えてるというか…

忘れたい記憶が多いです…


1990年8月30日私(りえ)は6人兄弟の3女として産まれた。

1番上が長女(のぞみ)

2番目が長男(かずいち)

ここまでは母親の連れ子。

3番目が次女(ゆみ)

4番目が次男(かずひろ)

5番目が私

6番目が4女(りお)

が家族構成だ。


私は2歳まで元気よく育ったが、2歳で障害を持つか死ぬかのせとぎわの病気にかかった。


ある日母が私の身体に異変を感じた。


母「あれ?アザがある…りえちゃんどっかでぶつけたの?痛い痛いねぇ〜」


その時は軽い気持ちでその日を過ごした。

しかし、2週間ほどたったが私は少しづつアザが増えていった。

そして事件が起こった。


私「うぁぁぁー」


泣きじゃくる私に気づいた母はそく駆け寄り


母「りえちゃん!ヒザから血出てる!ティッシュティッシュゆみちゃんティッシュとって!」


ひとまず母は私をあやしながら止血をするが

いくらたっても止まらない。

流石におかしいと思った母は携帯電話をとりタクシーへ電話をし急いで病院に向かった。


緊急で通され、なんとか無事止血されたが

私はある病気にかかっていた。


【特発性血小板減少性紫斑病】


先生「お母さんこの病気は血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気です。

病気が起こってから6ヶ月以内に血小板数が正常に回復するのでご安心ください。

「急性型」は子供に多いんですよ…」


母「治るなら良かったです。」


先生「油断してはいけません。必ずこの期間頭をぶつけないようにして下さい!頭には数多くの血管があり少しでも頭をぶつけると内側から出血をし止まらなくなり、最悪死にいたるか、障害を持つことになるでしょう。」



私はその時から家族からものすごく大事に育てられる事になりました。

そう大事に大事に…


心の中で嫉妬をしている人達を知らずに…。



その頃父は教育に熱心でした。

休みの日は長女(のぞみ)と長男(かずいち)のお勉強。

背中に竹刀を入れ姿勢を正して、漢字練習ノートのマスから字がはみ出したら、後ろから頭をはたかられる…。


これは九州男児だからなのか、これが普通なのか、この教育の仕方に賛否両論あると思うが

今の時代では有り得ないだろう…。


いや、普通じゃない。


父は母の連れ子と自分の子供に格差をつけてはいけないと

3女(ゆみ)にそれ以上に厳しくしていた。

肋骨が折れるまで殴られた事があったと聞いた事がある。

その反動でゆみは大事にされてる私に嫉妬を抱くようになっていた。


うちの家庭は昔から変だったんだ。



父と母は昔から喧嘩が多かった。

酷い時は割れたお皿が下一面に広がっていたり、父の不倫が発覚したときは母が包丁持ち出し殺してやると言って父に向けていたのを兄が止めていたのが、うっすら記憶に残っている。


父は母には手はあげないが、よく子供を容赦なく殴っていた。

三男(かずひろ)には斧をもって走って追いかける事もあった。脅しなのか分からないくらい兄も普段から殴られていたので、怖かっただろう。


ちゃんと母いわく止めていたらしいが

1番やられてる子供達が覚えてるに決まってる。

止められた記憶なんて無い。


母は中学生の時から両親が居ないので、親戚に預けられ親に育てて、もらった記憶があまり無いらしく子育ての仕方が分からなかったと母は今は語るが、本当にそれは許されるものなのか。


父が絶対。


ここでは父が王様でしかなかった。


母は元々持病持ちで、それを理由に家族が家の事を分担してやっていた。


酒、タバコが大好きな母、休みの日は父と母でパチンコ、そして夜は呑みにでる。


こんな生活をしていて

子供達は一切不満を持たないと思ったのだろうか。本当に病気なのかと疑うだろう。

父がいれば、家族全員機嫌を伺ってビクビク毎日を過ごしていた。


私が小学5年生の頃そんな親に天罰がくだる…

だが、親が天罰がくだれば子供も巻き込まれる。


次回


天罰



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記憶 りえ @chiechins2

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