第2話 子供
さてと。こんなの辿っていたらトゥルーエンドに辿り着けないので、次の話に移ろう。
幸運な事に俺は生きていた。あの日、俺は白いオオカミに助けられた。デカい……バカデカいオオカミだ。巣に持ち帰られ、ゆっくりと食われるかと思っていたが、そんな事は無かった。
果物中心だが、食べ物を届けに来てくれて、水も川が近くにあり傷を癒やすには最適な場所だ。
そんな所に連れてきた白いオオカミは俺をずっと看病してくれた。
3歳という身体だったからか、傷はすぐに癒えて歩けるようになった。
外に出てオオカミから狩りを教わり、自ら研究を重ね理解した。
何を理解したか?言えば口が塞がらないから簡単に一言で説明しよう。
この世界について……というのは大きいが何も間違っちゃいない。
別に世界の真理とかではない。生き延びる術、生活水準の上げ方。そして、何故この白いオオカミが俺に従うのか?
結論から言おう……『わからん』
だってさ!?探そうにも言葉は通じない見たことも聞いた事もない生物だしそもそも俺を助けて利益あるか?無いだろ!?
手詰まりです……まあ、それを理解してオオカミとの接し方がわかってきた頃にはもう俺は12歳になっていた。
「ホワイト。敵は二匹。右をやる。もう一匹はホワイトが。合わせる」
俺は隣の白いオオカミにそう言い弓を引く。
その先には背中を向けているゴブリンが居た。人型で雑食だが肉を好む好戦的な緑色の魔物。
(森の中。木は揺れてない。無風。距離目測で20m。そろそろか……殺気は……きたっ!!)
白いオオカミが姿を現すと同時に弓矢が敵の背中に直撃する。
「まずい!?」
当たった場所が悪かった。このままでは白いオオカミに攻撃しかねない。
だが、それは杞憂だった。
「ヴァウ……」
一匹目を牙で仕留めると同時に仕留め損なったのを理解したのか前足で二匹目の身体を引き裂く。
返り血を浴びた白いオオカミ……ホワイトが俺に向かって吠えた。
「ヴォン……」
「すまん。次は上手くやる」
長年隣でやってきたので何を言っているのかがわかる。叱ったのだ。もっとよく狙えと。
帰ったら狙撃の訓練をする必要があるな。
ゴブリンは食える所が無い。人間のように不味いらしい。
なので俺は放置して家に帰る。それを魔物が食って糞になる。自然は上手くできてるな。
俺の家は廃墟となった小屋を廃材で修復しただけのこじんまりとしたものだ。だが、一人過ごすには十分な広さと機能がある。
今日の昼飯は肉と水だけだ。味気ないように感じるが、以外と味は濃ゆいようにしている。
自然界には様々な調味料がある。前世には無かった味や、馴染みある味もあって料理で困ることは無かった。ホワイトも調味料には興味が無くて助かった。
だが……
「この山盛り肉だけはなんとかならないかな……」
ホワイト用のご飯。調理不要なのは良いが、在庫が二日で無くなるから困ったもんだ。
「どうしようか……」
狩りも成功と失敗が必ずある。その場合ホワイトはずっと腹を鳴らしながら家の外をぐるぐる回る。
正直、もうあんな夜経験したくない。
なので、そろそろ人の街に行こうと思う。最低限の会話は出来るハズダ……
「明日……だな」
人の街の場所は分かっている。今まで接触不要と思っていたが……
「まずは金か……」
と、そこまで思ったが。そもそも金が無ければいけない。
あと、
………明後日にしよう……
魔物使いの戦闘員 デルタイオン @min-0042
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