モンスターパワハラと、整形外科医南埜正五郎の死の真相(スマホが語る異常パワハラと、急浮上したカルテの改ざん及び偽・変造)

南埜純一

第一話 病院スタッフの苦悩

不都合を隠ぺいしようとする力。社会的信用が特に強く求められる病院には格段の、ときに異常ともいえる隠蔽圧力が作用するようである。この点は、父が亡くなった耳原病院事件で、嫌というほど味わわされた。


そして父の耳原病院での医療事故死から27年後、執拗なパワハラが原因で、息子の整形外科医南埜正五郎が亡くなってしまったが、27年前と同じ状況が生まれ出している。そこで、パワハラを〈指導〉と主張する病院に対し、労災を専門分野とする弁護士の紹介を受け、取り敢えず労災に基づく休業補償請求(審査請求)に着手することにした。


このように、争訟の処理は弁護士事務所に委任したことから、委任契約締結後は、正五郎の生きた証を残す作品【まほうの吉岡】や【キスユーハンサムあなたと吉岡】等を既にネットにアップしたこともあって、争訟処理の成り行きを妻と二人だまって見続けるつもりであった。が、しかし病院というか、事務長主張とあまりにも異なる、驚嘆すべき新証拠が目の前に躍り上がって来たのだ。


ここに至ると、私には黙って争訟結果を待つ日々を送ることが出来なくなってしまった。


息子の遺品を整理していると、パワハラ事件の核心を衝く、親しい医療スタッフとの詳細なメールのやり取り。これが保存された第三のスマートフォンが出て来たのだ。耳原病院事件のときもそうであったが、不都合というか、医療ミスを積極的に隠して蓋をしようとする隠蔽派と、それを良しとせず、隠蔽派と距離を置こうとする良識派ともいうべき二派の存在が病院内部に考えられる。


もちろん、傍観を決め込む第三のグループの存在がいつの組織にも認められるが、事案の究明ないし解決にはこのグループは黙って見ているだけで、原則としてドラステイックな行動を起こすことは考えにくい。そこで出現したメールを基に、先の二つのグループを基軸に考察を加え、本書のタイトルの内容を詰めていきたいと思う。


本書を書き始めたそもそもの理由は、争訟(審査請求及び裁判)の決着まで時間がかかることがその一つであるとして、これは先ほど述べた。耳原病院事件のように父の死から裁判確定まで、11年5ヶ月と11日もかかることはないと思うが、少なくとも数年は要するであろう。その間、突然現れた重大証拠や正五郎の苦しむ診断書内容を眺めながら、座して待つのは耐えられないと思ったのだ。


陵南中学の同窓生が東名高速で飲酒運転のトラックに追突され、幼い二人の娘さんを亡くされたことから、ご夫婦で飲酒運転撲滅運動を展開されていることにも背中を押された。彼からパワハラ訴訟への激励のメールをもらったことや、息子さんを過労死で亡くされ、当初は孤軍奮闘の中、法律の制定にまで漕ぎつけたご婦人の励ましにも大いに力づけられた。


そこで以下では、新しく手にしたメールを基に、パワハラの実体について私なりの解釈を加え解明して行きたいと思うのであるが、これがパワハラに苦しむ人たちの参考に供して戴けるものであれば、まさに望外の喜びである。


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