第24話 驚きの真実②

 赤髪の女性が高校生であるという真実を伝えられた士郎は驚きを隠せなかった。


 何故なら、士郎は赤髪の女性のことを自分よりも年上だと思っており、最低でも大学生だと考えていたため、高校生という選択肢は一切なかったためである。


 彼女の見た目は明らかに成人済みの女性と言われてもおかしくないほど整っており、身長だけではなく、スタイルまで抜群であるため、高校生とは思えない。


 それに、高校生がいくら下っ端で弱いマフィアや半グレであったとしても彼らを怪我一つ負わずに大量に倒せるとは到底思えない。


 いやまあ、この大乱闘騒ぎをかすり傷一つつけずに易々と突破したことについては高校生ではなかったとしても信じられるような内容ではないのだがな。


 士郎は彼女が自分のことを小馬鹿にするために嘘をついたのかとも思ったのだが、彼女の様子や声色から嘘をついているようには思えず、赤髪の女性は本当のことを嘘偽りなく話してくれていると感じた。


 それに、士郎は赤髪の女性が後輩のように感じる場面が何度かあり、彼女が自分よりも年下であることに気づく機会は幾度となくあった。 

 そのため、士郎の脳では赤髪の女性が本当に高校生である可能性が高いと結論が出た。


 しかし、頭で分かっていても信じられないものは信じられない。


 士郎はどうしても赤髪の女性が高校生であると言う事実を受け入れることは出来なかった。


 赤髪の女性が高校生であると言う事実が信じられない士郎は混乱する頭で何とか質問を絞り出した。


「お姉さんって、高校生だったんだね......全然高校生に見えなかったから驚いてしまったよ。それで、君は高校何年生なのかな?」


 士郎が混乱している頭から必死に絞り出した質問は思ったよりも単純なものであり、彼女の学年を質問するというものだった。


 ちなみに、赤髪の女性は自分が高校生であることに士郎が信じられずに混乱していることにはすでに気づいており、自分が高校生に見えないことはよく周りの人物から言われていたので、こういう反応には慣れている。


 しかし、本人的には自分はまだまだ未熟な子供であり、大人からは程遠いと思っているため、自分のことを大人扱いされるのはあまり好きではない。


 それに、周りの人たちから大人びていていると思われているため、周りの目を気にしてしまい、本来の自分を出すことがなかなか出来ないので、学校など知り合いがいる時は自分を取り繕っており、大きなストレスになっている。


 赤髪の女性は何度も自分を取り繕うことをやめようと思ったのだが、家柄の問題や本来の自分の姿と演じている自分の姿に大きな乖離があるため、今まで頑張って作ってきた交友関係が崩れてしまうのではないかという不安から出来ていない。


 まあ、赤髪の女性は自分の友人全員に対して自分を取り繕っているわけではなく、古くからの友人などは本来の自分の姿を知っているため、自分を取り繕うことなく過ごせるので、何とか今までやれてこれている。


 そうして、士郎から高校何年生であるのか質問された赤髪の女性は、


「私は今高校一年生だ。つい最近進学したばかりだな。高校名はノーコメントだ。あまり自分の通っている高校を知られるのは好きではないからな」


 自分は現在高校一年生であると士郎に伝え、自分がどこの高校に通っているのかを知られるのはあまり好きではないため、どこの高校に通っているのかは教えないと後ほど質問されそうなことを先に答えた。


 赤髪の女性がどこの高校に通っているのか気になっていた士郎は質問する前に答えられないと拒否されてしまったので、とても残念そうにしていた。


 まあ、士郎は高校名を教えられたところで、彼は高校受験をせずにそのまま就職した影響でほとんどの高校を知らないので、どれほどのレベルの学校なのか分からないからあまり意味がないのだが。


 そして、士郎は赤髪の女性が高校一年生であったことに驚きはしたが、先ほど彼女が高校生であるという情報を先に聞いていたので、そこまで驚きはしなかった。


 ちなみに、現在の日付は4月の下旬であり、赤髪の女性はつい最近高校に進学したばかりである。


「高校一年生ということはつい最近進学したばかりか。てか、つい最近進学したばかりということは今15歳くらいなのか......俺の3歳も年下じゃん.....」


 士郎は赤髪の女性の年齢が自分よりも三つも下であることに驚くと同時に、自分はつい最近まで中学生だった彼女に興奮していたことに情けなさを感じた。


 つい最近まで中学生だった赤髪の女性に興奮していたことに情けなさを感じていた士郎であったが、世の中には幼稚園生か小学生低学年でしか興奮しないロリコンという人種の人間も存在していることを思い出し、現在高校生である彼女に興奮することは別におかしくないのではと謎の気づきを得た。


 ちなみに、現在の日本でも高校生に手を出すことは普通に犯罪であり、士郎は今年19歳になる18歳であるため、赤髪の女性に手を出した時点でアウトである。


 まあ、士郎は彼女いない歴=年齢のヘタレ青年であるため、赤髪の女性に手を出すこともなければ、赤髪の女性は先ほどの話からして士郎よりも確実に強いので、手を出すことすら出来ないのだがな。


 そうして、赤髪の女性と士郎は雑談を楽しんでいると、人が多く集まっている場所の近くまで来たのだった。


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る