第22話 彼女の事情
赤髪の女性からの脅迫に屈してしまった士郎は渋々彼女に何か奢ることにした。
赤髪の女性に奢ることになったのだが、唯一良かった点としては士郎本人が行く店を決めることが出来ることであり、士郎は無理矢理高い店に連れて行かれなくて心の底から安心した。
何か食べ物を奢るよう脅迫するくせにそういうところは気遣いができる赤髪の女性にため息をつきながらも士郎は彼女に全く悪い感情を抱いていなかった。
それは赤髪の女性が絶世の美女であることも関係しているが、士郎から見た赤髪の女性が年下のように感じたからだ。
流石に赤髪の女性が士郎よりも年下ということはないだろうが、それでも彼女の言動や行動の節々から見える部分が年下の女性が先輩にお奢ってもらえるようおねだりしていることを思わせるようなものであった。
まあ、赤髪の女性は口が良いわけではないし、少し高圧的で可愛げがないので、一見ただ士郎のことを恫喝していると思わせるが、彼女からはどす黒くて醜い感情は感じられず、単純にお腹が空きすぎて少しでも早く何か食べたくて行動している。
そんな後輩のようで可愛らしい赤髪の女性に士郎は先輩としての本能が目覚め、可愛い後輩のためならある程度の出費は辞さない先輩状態になっている。
他にもお昼時ということもあり、士郎もお腹が空いていたのに加え、一人で食べるよりも誰かと食事をする方が美味しく食べられるという理由もある。
そうして、士郎は赤髪の女性と共に昼食を取りに行くために歩いていると、
「そう思えば、お姉さんは手持ちのお金がないんだよね?なんで、手持ちのお金がないの?ひったくりにでもあったりした?」
ふと彼女の所持金が0であることを疑問に思い、質問したのだった。
士郎から所持金が0の理由を聞かれた赤髪の女性は最初とても嫌そうな表情を浮かべていたのだが、士郎には昼食を奢ってもらうということもあり、赤髪の女性は彼に自分の事情を話すことにした。
赤髪の女性は一度大きなため息をついた後、士郎に事情を全て話した。
赤髪の女性から事情を聞いた士郎は、
「父親と喧嘩して家出っ!?!?!?」
赤髪の女性の事情に驚きを隠せなかった。
士郎が聞いた赤髪の女性の事情はこうであった。
今日の朝方に父親との衝突があり、最初はただの言い合いだったのだが、途中から歯止めが効かなくなって二人は取っ組み合いをするほどの大喧嘩に発展した。
赤髪の女性は父親と取っ組み合いになったのだが、父親は過去に負った怪我に加え、老いにより大幅に力が弱くなっていたため、赤髪の女性は父親との取っ組み合いに勝ったそうだ。
そうして、父親に取っ組み合いで勝った赤髪の女性は自分が勝ったこともあり、父親に喧嘩の発端となったことを許してもらえると思ったのだが、父親は頑なに許してくれなかった。
そのことに腹を立てたことに加え、父親が彼女の怒りを買うような発言を行なったため、赤髪の女性はそのまま家を飛び出してきた。
勢いのまま家から飛び出してきた赤髪の女性であったのだが、彼女はその圧倒的な美貌から猿と言っても過言ではない半グレたちに絡まれてしまったようだ。
半グレたちに絡まれてしまった赤髪の女性であったのだが、彼女は絡んできた半グレのバカ猿どもには全く興味がなかったので、彼らを軽くあしらったそうだ。
赤髪の女性に軽くあしらわれてしまった半グレのバカ猿たちは自分たちが小馬鹿にされたことに怒りを覚え、赤髪の女性に武器を取り出して襲いかかってきた。
だが、赤髪の女性はその武器を取り出して襲ってきた半グレたちをいとも容易く力でねじ伏せ、半グレたちをボコったそうだ。
ちなみに、士郎は赤髪の女性が武器を取り出した半グレたちに恐れることなく立ち向かっていったことに驚き、その半グレたちを一方的にボコったことで更に驚いた。
そうして、半グレたちをボコった赤髪の女性であったのだが、半グレたちをボコって少しした時、そのボコった半グレたちが仲間を引き連れて彼女に襲いかかってきた。
赤髪の女性は大量の半グレたちに囲まれ、窮地に立たされたかと思われたのだが、所詮は力を持たない下っ端の半グレたち。
いくら彼らが群れようが赤髪の女性からしたら虫が数匹増えた程度であり、赤髪の女性は自分のことを囲って襲いかかってきた半グレたちをものの数分で壊滅させたのだった。
先ほどボコった半グレたちとその仲間たちもいとも容易く壊滅させた赤髪の女性であったのだが、彼女の圧倒的な強さに加え、その美しい見た目からその様子を見ていた半グレやマフィアの下っ端たちが彼女に興味を持ち、続々と集まってきた。
続々と集まってきた半グレやマフィアの下っ端たちは彼女の周りを先ほどボコられた半グレたちのように彼女を取り囲むように展開すると、飛び掛かるように襲いかかってきた。
赤髪の女性は仕方ないので、襲いかかってきた奴らを片っ端からボコっていたのだが、いくら相手を倒しても騒ぎを聞きつけた半グレや下っ端マフィアなどが参加してきたため、キリがなかった。
そのため、赤髪の女性は現在いる喧嘩がやりたくて仕方ない戦闘狂の雑魚下っ端どもの過半数を一瞬で蹴散らし、その場からダッシュで逃げたそうだ。
そうして、半グレや下っ端のマフィアたちから逃げ切ったのはいいものの、先ほどまでアドレナリンで気づいていなかったが、彼らとの喧嘩はだいぶ体に負荷がかかっていたらしく、その疲れが一気に押し寄せたのに加え、朝昼と何も食べてないことが重なってあの場所で倒れてしまったようであった。
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