第13話 神風探偵事務所での面接②
「それで、士郎くんはどんな超能力を持っているだい?」
神風は興味津々な笑みを浮かべながら士郎に尋ねたのだった。
神風からどんな超能力を持っているのかを質問された士郎は興味津々な神風を満足させられるのか若干不安であったが、黙っていだとしても状況が変わるわけでないので、士郎は腹を括って彼の質問に答える。
「僕の超能力は二つほどあるんですけど、一つ目は金属生成って言うその名の通り金属を生み出すというものですね」
どうやら、士郎は超能力を二つ持っているらしく、まずは一つ目の超能力として金属を生み出すと言う超能力を持っていると神風に伝えた。
士郎が二つも超能力を持っていると聞いた時点で神風の興奮は最高潮に到達していたのだが、彼が一つ目の超能力として、金属を生み出す能力と説明した時、神風は心の中で喜びの舞を踊っていた。
ちなみに、覚者は基本的に一つしか超能力を持っていないことがほとんどであるのだが、稀に超能力を二つ持って生まれてくる者も存在している。
この超能力を二つ持っている者は現在生存が確認されている第一世代の中には存在しておらず、超能力を二つ以上持っている者は第二世代以降のみである可能性が高いとされている。
そして、第二世代の中で超能力を二つ以上保有している者は全体の0.01パーセントも満たないのに対し、第三世代の場合はその確率が0.7パーセントと70倍に膨れ上がっている。
第四世代の確率は彼らがまだ数がそこまで多くないのに加え、まだ幼い者たちがほとんどであるため、実験結果は存在していないのだが、研究者による予想では第三世代よりも確率が上がっている可能性が高いとされる。
何故、第二世代よりも第三世代の方が圧倒的に超能力を二つ以上持っている可能性が高くなるのかは解明されていないが、有名な覚者を研究している博士の論文によると、遺伝子に大きな謎が隠されていることは間違いないらしい。
だが、現在の技術力では遺伝子に何か秘密があることを見抜くところまでしか調べられず、それから先のことを調べようとすると、更なる技術躍進が行われなければならないとのことだ。
ちなみにだが、第三世代の超能力を二つ以上持つ者の確率は0.7パーセントと一見とても低いと思われがちだが、この確率はソシャゲのピックアップキャラの排出率とあまり変わらないため、皆が思ったよりも世間には存在している。
覚者のみの学校があったとすると、その学校には最低でも一人は超能力を二つ以上持った者がいると考えてみると、そこまで希少な感じはしないだろう。
まあ、実際のところは覚者全体の数が一般人よりも少ないのに加え、ここから第三世代のみと絞られてしまうため、日本全体で見た時の数はとても少なくなり、第二世代の二つ以上超能力を持っている確率よりも遥かに下回る。
そんな貴重な存在が自分の事務所の面接に来たとすれば、神風のように興奮が最高潮に達してしまうのも仕方ないと思えるだろう。
そうして、神風が士郎は超能力を二つ持っているのに加え、最初に有用そうな超能力を持っていると伝えられたことで興奮していると、士郎が金属生成について詳しく説明し始めた。
彼の話をまとめるとこうであった。
金属生成はその名の通り、金属を生み出すことの出来る超能力であり、金属であれば、ありとあらゆるものを作り出すことが出来る。
鉄であろうがアルミニウムであろうが、それが金であったとしても作り出すことができ、配分さえ分かれば、合金なども作り出すことの出来るチート能力である。
この一件まごうことなきチート能力である金属生成であるのだが、この能力にも弱点がある。
その弱点は金属を生成する際にカロリーを消費することである。
金属生成は金属を生成する際にカロリーを消費するのだが、消費するカロリーは金属間で一律ではなく、金属の密度と質量が増えるにつれ消費するカロリーが多くなるという仕組みになっている。
金属生成によるカロリーの消費量は、金属の密度×生成する金属のグラム数×カロリーから金属を生成する際の変換効率の値である3,5で計算することが出来る。
ここで一つ例を挙げてみると、密度が7.874 g/cm³の鉄を100g生成する際、消費されるカロリーは7,87×100×3,5をすれば求めることができ、消費カロリー量は2754,5calである。
たかが鉄を100g生み出すのに成人男性の1日分の摂取カロリーを消費してしまうほど、この超能力は使い勝手が悪いのである。
ちなみに、士郎は最初から金属生成には変換効率があることを知っており、何故知っていたのかというと、金属生成の遺伝元になった父親から聞いていたためである。
まあ、変換効率自体があることは知っていたとしてもその数値は人によって違うので、士郎は変換効率の数値である3,5という数値を見つけるのにとても苦労したそうだ。
士郎が持つ金属生成は能力こそ最強で超便利なものであることを引き換えに、燃費が最悪という扱いにくい超能力となっている。
金属生成について、一連の説明を行なった士郎はそのあまりの扱いにくさから神風のことを失望させてしまったかと彼の表情を見てみると、彼は子供のような純粋な笑顔で嬉しそうに四郎のことを見ていた。
そんな神風の表情を見た士郎は彼を失望させなかったことに安心し、安堵のため息をついたのだった。
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