第15話

体育祭にはメインが2つある。

リレーと応援合戦。

応援合戦も断れなかったので両方出ることになってしまった。


「ほら、一年!もっと手を大きく!恥ずかしがることはない!」


「「は、はい…。」」



特に応援合戦は学年性別ごちゃまぜで行うので放課後の練習も大掛かりとなる。

特に今回の団長は涼子なのだから尚更気合が入るというものだろうな。


ってか思ったのだけど。


「やっぱりここに私がいる意味ないだろ。」


男女の比率の悪さ!!

八割男子でほぼ女子いない。


「今年は私が団長だからね。可愛い女の子に最大限のアピールをコンセプトでいくからって呼びかけたらこうなった。」


「意味わからん。尚更私いらないでしょ。」


「伊月はご指名のお手紙が匿名でいくつもあってね。」


「知らないよ。」


変なコンセプトのせいで女子が2年と1年だけになってしまっている。

3年含めた男性陣は本当に狙ってるようで気合が入っていると見えるため、特に1年女子は完全に萎縮してしまっている。


「そこの振り、もっと大胆のほうがいい。」


「え?」


「あと全体的に自信を持つこと。あのバカが団長だから失敗してもフォローしてくれる。」


隣でうまく動けていない人に声を掛ける。

失敗を恐れてるようだったのと涼子の性格上今回は本気で取り掛かるだろうし、あまりに不憫に思ってしまったからだ。


「あ、あの。」


「うん?」


「相馬…先輩ですよね?」


「そうだけど。」



なぜ私の名前を知っているのだろう?

この子とは今初めてだったと思うが。もしかして綾乃と同学年だからかな。



「ありがとう…ございます。」


「別に。こんな状態だし、やりづらいでしょう?私で良ければ教える。えっと…。」


「はい!あの、私、天塚明子といいます。」


「天塚さんね。」


「伊月ー!!何女の子口説いてるの!?彼女いるくせに内部を食い荒らそうとしないで!」


うるさいやつが来てしまった。

全くの誤解である。


「伊月は振付大丈夫そうだから、応援合戦で使う学ラン、クラスから取ってきて!私の机にあるから。」


「はいはい。」


反抗すると面倒なことになるから、ここは素直に従っておこう。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る