第14話

「それをフラグって言うんですよ、先輩?」


「う…。」


帰り道、いつも通り黒崎さんと合流し体育祭の話をしたらこの反応。


ぐぅの音も出ません。


あのあとも涼子は許してくれず、勝手に応援団名簿に私の名前を載せた。


「去年もやったのですよね?綾乃ちゃんから聞いたのですけど。」


「頼まれて仕方なく。」


「ふぅん。」


その反応はどういう感情?

真顔すぎて読めないのだが。


「まぁでも頼まれたら断りづらいですよね。」


「え、じゃあ黒崎さんも?」


「はい。クラスの男子全員に土下座されたら私や綾乃ちゃんは断れませんよ…。」


「うわぁ…。」



クラスの男子全員が土下座って。

下心ありまくりではないか。確かに綾乃は可愛いし、黒崎さんも美人だし気持ちは分かる。


「それよりも先輩、あの、今日も…?」


「そのつもり。」


「でも悪いですよ。毎回送ってもらうの。」


「別にいいよ。ほら、私達仮にも恋人でしょ。」



あの日、デートをしてから黒崎さんがいかにモテるか分かった。元々知ってたけどなんというか改めて実感したというか。


「じ、じゃあ……手も繋いでください。」


「いいの?」


「ほら!恋人ですし!?そ、そっちのほうがより、それっぽく見えますから!」


「そうか。じゃあ失礼する。」



差し出してもらった手を握る。

私達は同性だ。女性同士手を握ることはそれなりによくあるけど、恋人となると意味合いが変わる。


意外と小さい手。


「離さないで、くださいね。」


「了解。」


言葉に棘があるけど、耳まで赤くなっていることは本人は気付いてないだろうな。


こういう天邪鬼のところはあるけど、それがまた可愛いと思ったり、最近ちょっとだけ黒崎さんのことが分かるようになった気がする。



「でも応援団に参加ってことは学年関係ないのですよね?私や綾乃ちゃんは白組ですけど先輩はどうです?」


「マジかよ。」



本当にフラグというものらしい。

まさかここで私と違う組とは……。

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