3.高嶺の花と準備

第13話

「やってくるぞ!体育祭!!」


一通りの授業を終え、ホームルームで教壇に立っているのは友達の涼子だった。


「今年も張り切っていくよ!なんせこのイベントは気になるあの子とお近づきになれるチャンス!我がクラス諸君、モテたいかー?」


おおおおお!!!!と、ある意味団結する様子を横目で見ながら私はあくびをする。


運動するのは好きだ。

ただそれだけで、それ以上でも以下でもない。

それに去年体育祭楽しかったけど、その後から騒がしくなったから憂鬱なことも増えた。



「華のリレーメンバーは早い順に男女混合ね!今日はまとめて種目を決める!やりたいやつ、得意なやつを選び給え!!被ったらバトルね。」


通っている高校にはそれぞれイベントがあるが、体育祭はその第一弾である。



「あら、みんなこれを機に恋人作ろうと必死なのに彼女持ちは余裕かしら?」


「そんなんじゃない。そういう天草どうよ?」


「私が体育祭で盛り上がれるほど運動できると思う?モテたいと思ってるとでも?」


「全く。」


天草は完全に文化系。その上恋愛に全く関心がないタイプ。

むしろ体育祭については憂鬱でしかないのだろうなぁ。


「相馬、今年もあれやるの?」


「は?やるわけ…。」


「いーや!!伊月は強制参加だから!団長たる私が許さん!!」



天草と話している内にどうやら私等のところまで来たらしい。


「なんで強制なんだ。涼がいれば事足りるだろう。」


「いーや!基本学年同士の争いでも総合点と応援合戦は学年関係ない紅白の争い!忘れたとは言わせんぞ!」


確かに。

実行委員が引いたクジで各クラス紅白どちらかに分かれる。


今年は紅組で、学年ごちゃごちゃの応援合戦は2年が団長することになっている。

確か団長だけは予め決められてて、今回涼がそうらしい。



「勘弁してよ。去年やって懲りた。」


「欲がなさすぎでしょー。それがきっかけで私たちは名前を轟かせたのに。今年はモテたいやつらがこんだけいる!それに伊月にはもう黒崎雪那という彼女いるし、大丈夫!」


ふざけんな。

それで告白どころか手紙とか声かけられるとか一気に増えて最悪だったのに。


黒崎さんにも迷惑かかるかもしれないのに。



「とにかく!伊月は参加だから。メリットはまだまだあるし!」



絶対やるものか。

頼まれても応援合戦だけは絶対に参加したくない!!



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