第12話

「どうして前から好きだったって言えないんだろう。一言だけなのに。」


「拗らせてるねぇ。でもある意味そこがお姉ちゃんにささるかもしれないけど。」


「前はきっかけだけあればと思ったけど、今はもっとって思っちゃう。」



もっとあの人とって思う。

焦ってはいけないのは分かるけど、どうも欲深いようだ、私は。



「まぁ、もうすぐ体育祭だしもっと仲良くなれるんじゃない?」


「体育祭…。」


「イベントで距離近づくっていうしね。」



そっか、体育祭。

どこまで仲良くなれるかわからないけど、距離を縮めるチャンスなのは間違いない。


「頑張るよ。だから綾乃ちゃんもできるだけでいいから手伝ってね。」


「もちろん。サポートはしてあげるから、そろそろキスくらいしちゃってね。」


「キッ…!?」



なんてこと言うんだ、この子は。

綾乃ちゃんは学校でも清楚で有名なのに。本当は結構恋愛についてはサバサバしているというか。


「色々進まないともっと人気出ると思うよ?お姉ちゃんって運動は得意だし下手すりゃそのへんの男子よりカッコ良いから。」


「それは…嫌だなぁ。」


「でしょ?お姉ちゃんの気持ちも大事だけど、押せる時は押さなきゃ。」


でもできるだろうか。

不安しかないけど…他にとられるくらいならやれるだけやりたい。



「うん、頑張る。」


「その意気!」



イベントは近づくチャンス。

もう少しだけ素直になって、可愛いって思われたい。


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