第11話

「綾乃ちゃん!!聞いて聞いて!今日の先輩もうカッコ良すぎて、どうにかなりそう!」


「おおぅ…どうだった?って聞く前からこれかぁー。」


電話の向こうで本当に呆れているだろうな。


相馬綾乃。

中学からの付き合いで私の親友。

そして、相馬伊月先輩が天使と言っている妹その人である。


「だってぇー。最初は緊張してたけど最後はもう手も繋げたし、送ってくれたし、プレゼントだって……。ドキドキするなって言うほうが無理だから。」


「ストップストップ!情報多すぎだし、糖分過剰摂取で太りそうだから。ちゃんと最後まで聞くからまずは落ち着いて。」



危ない危ない。

また興奮して話していたようだ。

こんな状態でも聞いてくれるからやっぱり優しい親友だ。


「お姉ちゃん、ついさっき帰ってきたけど部屋籠もっちゃったし。色々あったんだねぇ。」


「そうなんだ。」


きっと今も照れているのかもしれない。

カッコ良いいと思ったらこれだよ。今度は凄く可愛いじゃん。


「それで?今日はちゃんと素直になれたの?」


「う……。」


「そっかぁ。今日もなれなかったかぁ。」


「うん…。先輩、ちゃんと時間前に来てくれたのに…楽しみにしてたことバレたのが恥ずかしくて怒っちゃった…。」


「あー…。その光景が目に浮かぶなぁ。」


「もっとイチャイチャしたかったのにぃ。いつも思っていることと反対のことがでちゃう。」


「雪那って本当に裏表激しいなぁ。本当はお姉ちゃんのこと大好きなのに冷たくしてるとか、絶対お姉ちゃん弾除けって誤解してるよ。」


いやもうぐうの音も出ない。

誤解どころか、私もテンパって弾除けになれって本人に言っちゃったことあるし。


「正直展開早くて驚いてるよ。きっかけがほしいっていうから、お姉ちゃんが放課後によく通るところとかを教えた直後に付き合うとかでおかしい。」


「だって…どうしてもあの人が欲しかったんだもん。すごく人気だからチャンス逃して取られたくない。」


「まぁ、お姉ちゃんモテるからねぇ。勧めた私としても雪那とくっついたほうが安心できるけどねぇ。」



私だってまさかテンパって繋がりどころか、仮にも恋人関係を迫るなんて思ってもなかった。



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