2.5 親友とあの人
第10話
「ただいま。」
静まり返った家でいつもの挨拶。
親は働いているので、夜まで一人の家。
そのまま自分の部屋に入って鍵をかけて。
そして……。
「はぁぁぁ!!格好よすぎでしょ!無理ぃ!」
私、黒崎雪那は服が皺になることも気にせずベッドにダイブしてはいつものように限界化する。
服装はシンプルだけどそこが良かったり、プレゼントセンスは微妙でも戸惑ってるところ可愛いし。
それだけでもギリギリなのに帰りなんてちょっと強引に手を繋いでくれて、プレゼントくれる時は初デートと気づいて照れたところなんかも、死んでもいいとさえ思った。
「ちょっと強引な先輩…最高だったなぁ。ドキドキしかしてないや。」
多分バレてないと思う。
ちょっとは気づいてほしい気持ちもあるけど、それは難しいか。
「それなのに…私ってば…またやっちゃったよ…はぁ…。」
そして私の日課になりつつある1人反省会。
「どうして素直になれないんだろ…。確かに最初はデートなのにって思ったけど…許してあげますは上からすぎるし、弾除けってなによぉもうぅ……。」
いつもいつも思ってもないことしか言えない自分に自己嫌悪する。
あの人にいつもひどいことしか言えない。
それなのにあの人は、相馬伊月先輩は優しくしてくれる。
呆れながらも見守ってくれる。
「はぁぁ…伊月先輩…。」
弾除けという名目と親友の名前を借りてまで作った関係。
歪なのも卑怯なのも分かってる。
それでも…。
「もっと近付きたい…。」
本当は伊月と呼びたい。
もっと話したい。
「なのに私ってばぁ…って…ん?」
携帯に着信がくる。
そこに表示されてる名前は相馬綾乃。
先程までデートしていた、先輩の妹で親友だ。
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