第8話

「だいたいこんなものですかね。」


「黒崎さんのおかげでいいもの見つけられたよ。ありがとう。」



なんとかプレゼント選びも終わる。

正直私が選ぶものほぼ却下されたけど、それはそれでいい勉強になった。


黒崎さんはエプロン、私は弁当箱。

綾乃が今使ってるものは中学時代の私のお古だったのだ。


これを機会に新しいものもいいでしょう。


私達はその後特に予定もなかったが、行く場所もやることもないのでこのまま帰ることになった。



「先輩、今日はありがとうございました。」


「いや、それはこちらのセリフだよ。ありがとう、黒崎さんのおかげでいいものを選べた。」


「先輩のセンスが壊滅的なのがわかっただけでも、拾い物ですね。」


「それは、うん、言い返せない。」


「ここでいいですよ。ではまた学校で。」



そういう黒崎さんは私に背を向ける。

家は知らないけど中学同じだし、ここから近い私の家からそんなに距離はない。


だから大丈夫はずだけども。



「黒崎さん、やっぱ送ってく。」


「え?いや、そんな離れてませんし。大丈夫ですけど。」


違う。

確かに心配もしているけども。


「いいから。送らせてほしい。」


「でも悪いですし、用事はもうおわってますし…。」



不思議と嫌がられてる感じはしなかった。

遠慮しているような。

それでも私は引くわけにはいかない。


「ほら、行くよ。道教えて。」


「ぇ、ぁ…。」


埒が明かないので、私は彼女の手を取る。

これくらいはいいはず。


「えっと、その角を右です…。」


見た目からそうだろうと思ってたけど…。

思ってた以上に彼女の手は小さかった。

それがなんといえばいいのか、今の私には分からなかった。




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