第6話
土曜日
待ち合わせなど基本5分前行動である。
休日だし、人も多いから見つけられないのでは?とも思って、余裕持って早めに出ていったけど……。
「人と待ち合わせしてますので。」
来て早々見つけた。
これだけの人だかりですぐに。
なんでかって?
「友達?彼氏?でも30分待ちぼうけだよね?見てたし、俺等も同じくらいこの会話してるよね?諦めて遊ぼう。」
分かりやすいナンパされてた。
それよりも30分も?
ナンパも?え、暇なのかよ。
「黒崎さん。ごめん、遅れた。」
「そんなことないよ。私が…楽しみすぎて早く来ちゃっただけで…早く行こう?伊月?」
「…っ!そう、だね。」
ビックリした…。
思わず息を呑んでしまった。
元々整っていると思ったけど…なるほど、これはみんな騒ぎたくなる笑顔だ。
それに名前…。
これは不意打ちだった。いつも先輩と呼んでいるからまさか名前で呼ばれると思わなかった。
ナンパ勢もあまりのことに固まってる隙に移動するが、その間もやはり注目の的。
「はぁ…先輩、遅いです。」
「ごめん。」
「お陰でどうでもいい奴らとどうでもいい攻防をする羽目になったんですけど?」
「あいつらもどうかと思うが…そうだね、もっと早く来るべきだった。今度気をつけるよ。それにしても…まさか30分も早く来てくれてたなんて…楽しみにしてくれたのかな?そうなら嬉しいけど。」
「そ、そうじゃありません!!た、楽しみとか…ちょっとだけ…思ってないわけではないといいますか………。」
「え?最後の方聞き取りにくかった。なんて言ったの?」
「なんでもありません!遅れるとか私の辞書には全く載ってませんから!ほら、早く行きますよ!」
「はいはい。」
まぁ遅刻はよくないけど、黒崎さんはきっちりしているなぁ。
私もこれからはもう少し早く出よう。
待たせるのもよくないけど、何よりさっきみたいなことが起こる方がよくない。
「…伊月の鈍感。」
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