2. 高嶺の花とお出かけ

第5話

学校の高嶺の花と付き合う。

それだけで話題が尽きない。

疑似交際が周知になって少しは経つのに、一向に話題が逸れることはなかった。


「伊月、ゲーセン寄ろうよー。部活は休みだし、暇なんだよね。」


「あぁー…悪い、先約。」


「黒崎さんか!?またか!!!いつもじゃん!」


そんな大きい声で…あぁ…また注目されてる。

言いたいことは分かるけど、勘弁してほしい。


「源、落ち着きなさい。相馬は行きなさいな。お姫さま待たせてるでしょう?源は相手してもらえなくて拗ねてるだけだから。今日は私が付き合うし。」


「わかってるよ。天草、ありがとう。」


「そういえば新作があまおうのフラペチーノなのよね…。」


「それも了解。今度奢るよ。」


ちゃっかりしているなぁ、天草は。

涼は、大げさな反応はしても態度を変えてくることはない。なんだかんだ、変わらず友達でいてくれるのはこんな状況だからこそありがたい。



「ごめん、待たせた。」


「いえ、さっきまで綾乃ちゃんやクラスメイトと話してましたのでそこまで待ってませんよ。」



綾乃も一緒に帰ればいいのにと思ったけど、すぐにその考えを捨てる。

気を使ってくれたのだ。



「帰りましょうか。」


「そうだね。」



朝は途中から一緒に登校して、お昼も時々一緒に食べて、帰りはこうして一緒に帰る。

私達が付き合い始めてからこの繰り返しである。



「そういえば、もうすぐ綾乃ちゃんの誕生日ですけど…プレゼントは買いました?」


「まだ。今度の休みに買いに行くつもり。」


「何を買うかとか決めてます?」


「実は決めてない。綾乃は欲がないからなぁ…毎回悩むんだよね。黒崎さんは綾乃がほしがってるものとか知らない?」


「私にもそういった欲を出さないから、見て決めようかなって思ってます。実用性とかあるものとか好みそうなのは分かりますけどね。」


それは何となく分かる。

綾乃は特に欲しがったりはしない天使だけど、普段から使えそうなものは喜んでくれると思う。


過去にブレスレットをあげたときよりも、ブックカバーをあげたときの方が喜ばれたしね。


「こういうのってセンスが問われるから、なかなか難しいですよねぇ。」


「あー確かに。何あげても喜んでくれるとは思うけど……あ、そうだ。」


「はい?」


「黒崎さん、次の土曜日暇?まだ買ってないなら一緒に選ぼうよ。ちょうど買いに行こうと思ってたし…黒崎さん?」


「先輩…それって…。」


「お互いアドバイスできると思うよ?そっちの方が効率もいいし、綾乃の喜んでくれる確率も上がるしな。」


「効率……そうですね。先輩がへんなものを綾乃ちゃんに渡して困らせるとか可哀想ですものね。」


なんでへんなものを渡す前提なのさ。


「心配なので、アドバイスしてあげますよ。次の土曜日は空けておきますので、先輩も予定入れないで下さい。午前11時に駅前集合で。絶対に来てくださいね。」


「はいはい。ちゃんと行くよ。」


そこまで念を押さなくても、ちゃんと行くのに。

どんだけ私は信用されてないんだ……。








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