第2話
今日ほど学校に行きたくないって思った日はないと思う。家から学校は勿論、敷地内に入ったあとの視線が半端ない。
もはや槍のよう。
原因は勿論昨日のアレだ。
「はぁ…。」
ガラッと音を立てながら2年2組の教室に入っても変わらない。
誰もが私を見てくる。
期待、歓喜、嫉妬、好奇心。その視線は様々。
「おはよ、伊月!」
「おはよう。何やら面白いことになってるみたいじゃない。」
そんな中、私に話しかけてくるのはいつも一緒にいる2人。人懐っこい性格の源涼子と普段口数少ない文学少女の天草時雨。
「伊月、どういうことよ?あの黒崎雪那と付き合ってるってマジ?」
「話広まるの早すぎ…。」
昨日の放課後の出来事なのに。
誰かが見ていたのか、あの告白してた男子生徒が広めたのか。
おそらく学校中に広まっていることだろうな。
「黒崎雪那といえば、1年生ながら我が校のマドンナ。入学してまだ3か月ほどなのに告白撃墜数は軽く50を超えるという。そんな鉄壁の花に恋人が出来て黒崎雪那本人が認めている。噂にならない方がおかしいと思うけれど?」
「しかも相手が伊月っていうじゃん?私らとしては二重の意味で驚きなわけ。全く色恋沙汰に興味がなかった伊月がだよ?しかも相手はあの黒崎さんだよ?問い詰めるしかないじゃん。」
さて…どうしたものかなぁ。
今ここで本当のことを言っても、信じてもらえるだろうか?
きっと涼と時雨は信じてくれるだろう。でも黒崎雪那が認めてしまった事実はそう簡単には覆ることはないし、何より…。
「まぁ、少し前からそういうことになった。」
私がそう言った瞬間、シンと静かになり。
やがて…。
「マジかよ。」「あの噂は本当だったんだ。」「あの鉄壁姫に恋人…?ショックだ。」「でも相馬なら納得っつーか、、、」「むしろ挟まりたい。」「相馬さん、いいなって狙ってたのに。」
などとクラスメイトたちが騒ぎ出す。
って最後の方誰が言ったんだ、おい。
「へぇ。数多のファンを泣かせてきた相馬も認めるんだ。」
「ちょっと待て。何それ、泣かせたことないけど。誤解を招くからやめて。」
「うっわ、なんて罪作りな…。」
「それで?いつから?馴れ初めは?デートは?もしかしてすることしたわけ?」
「ちょ、落ち着け!」
キーンコーンカーンコーン。
天は私に味方したのか、タイミングよく予鈴がなってくれる。
「席つけー。源も興奮してないでハウス。」
「ふぁーい。」
まさか担任に助けられる時が来るとは思わなかった…。これで一旦は質問攻めから逃げられそう。
「あとで相馬は呼び出しな。」
なんでだよ!!!
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