不審者的ドワーフ。
かくして10分後。
ラジオは無事に目的地……別府大学に到着した。
「かくして」などともったいぶった始まりをしたが、実際大したことはない。学生らの後をついていけば何の問題もなかったからである。もっともその中にやたらと重装備なドワーフ1人というのは中々な絵だったかもしれないが。
この場所を偵察……もとい取材しに来たワケを手短に歌い上げると、編み続けている歌に登場する主人公が拠点とする場にしようとラジオは考えたのである。
その歌で災厄のきっかけとなったユッグドラシルを観察・研究する場として頭脳が集まる大学とするのはごく合理的な理由。しかも今いる大分の地は現実として国際色豊かであり諸外国から優秀な人材が集まるという(同行人曰く、立命館アジア太平洋大学の影響であるとのこと)。
こういった事実を歌に取り入れれば、聞き手もリアリティを感じることができるだろう。ラジオはそう考えていた。
とはいえ出来る事は殆どない。正式なアポイントメントなんて取ってないからである。……
なのでラジオは魔術を扱い、風景を0と1に変換、保存する。うむ、このスマットフォングなる魔道具は素晴らしい。ぶっちゃけ世の大半の物事はこれで出来る。発明したヴィンランドのアップルというハイ・ドワーフの工作大ギルドは素晴らしい仕事をしたものである。
時刻は9時半。
それから20分にわたり、大学構内では眼鏡をかけた黒ずくめ重装備のドワーフが熱心に魔換している姿が確認されたという。
時刻は9時50分。
ラジオは移動を開始する。
次の目的地は「大分香りの博物館」、別府大学より歩きで数分の場所にある。
こちらは歌と関係なく、純粋なラジオの興味によるもの。普段訪れることのない場所である故(基本的に生物や歴史に関する博物館をラジオは好む)、それから約40分の間ラジオは新鮮な経験をする事ができたのだった。
あれらの匂いが女性のものと混ざり合った時、果たしてどうなるのだ⁉
などと考えながらラジオは館を出る。すると、頭の煩悩は消し飛び、変わって新たな煩悩が頭角を現す。
すなわち、食事である。
さて、どうしたものか……と周囲を探索していると、「
ラジオは悩む。出来れば海の幸を食べたい、だがこのような店は故郷の地で見たことはない。何よりラジオは普段サンドイッチを食べぬ(ハンバーガーとかいうヴィンランド産のものは別)。
数分悩んだ末、これも何かの縁だ。と思いラジオはその店の中に吸い込まれていった。
次回に続く!
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