今、別れの時、そして──

 18時15分頃。

 ラジオ一行は大分駅近くにある駐車場に到着。急いで下車し、件の券売所急ごう、先ずはエレベーターで──


SHIT!!


 ──しまった忘れもの!


 ラジオ、急いでしゃに戻る。幸いにもブツはすぐに見つかった。温泉の後に買った家族へのお土産、すなわち「大分香る かぼすぽん酢」と「SABARAー 味噌ラー油」である。


 約10分後。

 以上の経緯を経て、ラジオと同行人は無事に券売所へとたどり着いた。そう。間に合ったのだ!



 間に合っていなかった。

 ラジオはその眼でしかと見た!

 無情を告げるシャッターを。営業時間9時~、を。


 なんということでしょう。グゥグーゥルのお告げは時として激しく外れる。そのことをうっかり忘れていたのだ。

 その後、傍にあるもう1つの券売所にも足を運んだが残念ながら目当てのものは扱っていなかった。


 ラジオ、なに明日早起きすればよいだけのこと、と謝る同行人に告げる。


 

 時刻は19時。その時がついに、来た。別れである。


 同行人は明日、所属するクラン会社の命により遠方略奪出張をするのである。従ってこれ以上ラジオと付き合うわけにはいかなかった。その朝は早いのである。


 色々と有ったが、日常では決して味わえない体験をする事ができた。楽しかった、ありがとう。ラジオはそう言って同行人と別れた。


 その遠ざかる背をラジオは見守る。ゆっくりと、遠ざかる。その時、ラジオの脳裏に天啓が舞い降りた!


 ──今までの旅路をサガとして歌い上げるのはどうだろう?


 ラジオはその一瞬、視線が外れ。寸後、網膜に写る上下左右反転の光景に同行人の姿はなかったのである。幻のようだ、とラジオは感じたのだった。





 ラジオ、1日ぶりの宿である。

 たった1日。されど1日。何故か無性に感動してしまう。ある程度装備を取り外し、脱ぎ、寝床へダイブ。

 ああ、気持ちいいんじゃ。

 そのまま眠りにつく。







 否。

 ラジオは考える。

 今何をしているのか? 取材旅行である。大きなくくりでいうところの旅である。非日常である。であれば日常でできないことをするべきだ。普段はできないこと、やってみたかったこと、そう独り暮らしであれば何の遠慮もなくできるアレを……誰にも迷惑を掛けない範囲で…………。


 仮眠より1時間後。時刻は20時を過ぎて。


 静かな喧騒の中、ラジオの目の前にはノートとシャーペンがあった。その右には……焼き餃子、枝豆、そして……ファジーネーブル。


 せーの。


 🍶が飲める 🍸が飲める 🍺が飲めるぞ♪

 🍹が飲める飲めるぞ 🍻が飲めるぞ♪


 独り飲みである。そう、コレがずっとしてみたかったのだ。

 こうしてラジオは取材中に思いついたことを纏めながらカクテルを二杯飲み(もう一杯はカシスオレンジ)、ご満悦で宿へと戻り、今度こそ眠りについたのだった。


 次回に続く!

 


 

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