憧れのキャッチ&キャッチ・ライフ

 ラジオと同行人は大分大学へと車で向かっていた。

 一行の外面は平静であるが、実際は焦っていた。というのも、地獄めぐり中に今晩行く食事処に予約を入れたのだが、その時刻が迫っていたのである。


 もちろんお客様は神様仏様な訳であるから、遅刻しても別に構わんのだろう? という考えも一瞬頭を過った。のだが、人としてどうなのか。ラジオは思う。


 従ってラジオは大分大学に到着後、入口にある校内案内を撮ると即座に撤退したのだ。「取材」という意味では甚だお粗末な感があるが、恐らく異教の神「グゥグーゥル」のお告げを利用すれば多量の情報を得られるだろう(有名であることだし)。ラジオはそのように考えた。


 ところで田舎とはスローライフというのがよくあるイメージだと思うのだが(主観)……これまでこれっぽちもスローしてないような。


 慌ただしく車のドアを潜りながらそんな考えが泡のように弾けた。



 で。

 夕食である。ここは大分別府。海産物が上手いと聞く。

 ならばここは海の幸と行こうではないかッ!


 そうキメながらへとラジオは入る。


 …………待って欲しい。昨今世間を騒がせている「バイトテロ」騒動とは何にも関係ない。アレが起きたのは2023年の1月30のこと(拡散され、ニュースになった日付。実際に何日の出来事であるかは不明としておく、日テレNEWSより)。


 ところでどうしてスシローなのか。ぶっちゃけ東京でも普通に食えるではないか。もちろんこのような決断をしたのには……ワケというものがある。


 先日の大寒波の影響、もしくは地域の「諸事情」によりこの週の水曜日は14時になると海産物を扱う店はことごとく畳んでしまうのだ。

 仮にそういった店に行きたければ温泉を後回しにすべきであった……。


 文字通り、後の祭りである。


 ので、祭りをすることにした。


「この会計、私に任せてもらおうか!」


 ラジオは同行人にそう言い放ち、鰻・スシを手に取った!


 こうして二人前、約3600円。このような時でなければ絶対に浪費しない額である。超旨かった。これぞ背徳の味である。

 宴は一時間ほどで終わった。というか終わらせた。腹が満ちたのではない。当然、お金が切れたわけでもない。やはり、このような決断をしたのには……当たり前のようにワケというものがある。


 ラジオは明日、故郷のミードホールに帰る予定である。大分空港へ行くのはバスを使用する。タクシー? 4万は必要だ。バスなら8000ほどだ(うろ覚え)。

 仮に快適な旅をしたいのなら、予め乗車チケットを買った方がよい。幸いにも同行人曰く、チケットは無期限だそう。

 では買うとしよう。その券売所は何時まで? 18時半。ここから15分。なるほど、今の時刻は……17時53分。なるほど。


 ラジオは時刻を確認した直後、ちまちま食べていた「鯛だし塩ラーメン」。を即座に体内に格納し、流れてきた「焼きとろサーモン」。をレーンからひったくった。


 くっ、こんな時に、便意だと⁉


 18時10分。

 スシローの前には車へとダッシュするラジオと同行人の姿があったという。


 嗚呼、憧れのスローライフはどこ? ここ?


 果たして、間に合うのか⁉


 次回に続く!

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