ラジオ死す。

 ……とタイトルにある通り、こうしてラジオは亡くなったのだった。


 おお ラジオ! しんでしまうとは なにごとだ!

 しかたのない やつだな。

 おまえに もう いちど

 きかいを あたえよう!





 という幻視をラジオは垣間見た。なぜかというと、同行人の「別府地獄めぐり」という単語を聞いてしまったが為である。


 別府地獄めぐりとは何か。

 短く言うと観光コースである(そりゃあそうだろう)。

 少しだけ長く言うと別府市内に存在する自然湧出の源泉を巡るコースである(でしょうね)。


 ではもっと長く言うと……


 ここから先は 全 カ ッ ト されました。


 ラジオは皆に謝らなければならない。

 歌の一小節を1000~2000文字に収めるには、どうしても削らなければならない時もある。、何かを犠牲にしなければ得られるものは何もなし。


 もちろんラジオは取材の一環として、資料館に赴き色々と学んだ。その際の感想を一言で申せば「先見の明ってすげー!」となる。


 いい加減に話を戻そう。

 今回訪れる事ができたのは7つある地獄の内「鬼石坊主地獄」、「海地獄」、「鬼山地獄」、「白池地獄」、「血の池地獄」。計5つ。


 これより歌い上げるものは、ラジオの一口感想と、それを見て内より現れた幻視である。



・鬼石坊主地獄

 ラジオにとって初めての熱泥であり、硫黄の心地よい匂いを嗅ぎながら暫く見続ける。

 その内、ユッグドラシルの地下迷宮に存在する(させる)怪物【泥坊主】を視る。

 泥坊主は罠を主体とする形態。前触れなく飛び散った熱泥が様々に変形して……


・海地獄

 なんとも奇妙な美しさの地獄であった(こなみかん)。

 伝わる「地獄荒れ」や「地獄の悪水」などの逸話から怪物【食べ水】を視る。

 決して触れないように。あなたが自殺願望者であれば話は別だが。飛び込むだけでよい。さすれば願いは……


・鬼山地獄

 思った以上に鰐が怪獣であった。怖い、怖すぎる。こんなの狩るとか、リアルモンスターハンターではないか。仮に温泉入った時真横にいたら死んでしまう自信ある。最大のもので体長4メートルにもなる「イチロウ(三代目)」が迫力満点! 三代目ならサブロウではないのか、などというつまらない疑問が吹き飛んでしまった。

 怪物【天然物利用兵器】というネーミングも何もない姿を垣間視た。

 野生の恐怖を思い出せ。


・白池地獄

 沸き立つオーラ湯気、これは強者に違いない! 真上から見るとハート型♡なのもヨシ。同施設に展示されている熱帯魚もよい。過去最大で四千万の値が付いたという世界最高値の魚、アジアアロワナも展示されていた。正におっどろきー! である。

 怪物【渦鞭まりも】を視る。

 多種多様な方法で獲物を狩るのは何も霊長の特権ではないのだ。


・血の池地獄

  腐れ湖……ではなく。が、発見された当時は相当インパクトあったのではないかと思う。何と言っても一面真っ赤の泉は壮観だ。

 怪物【脳狂いの湖】を視る。

 蒸気を吸うな。蒸気を吸うな。

 あたま、かゆ……うまうま、うまうま。



 こうして様々な幻視と共に別府地獄めぐりを楽しんだ後、市内沿岸に戻り(今晩は何を食べるか、と会議しながら)同行人が学生時代に世話になったという文具店に赴き、記念に一本の筆を購入するのだった。


 その後大分大学へ視察に車を走らせる……のだが……。


 次回に続く!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る