キアとお出かけ編
第22話 悪役とキアで自由気ままデート……?
「明日の夜、お出かけしようよ」
「次はお前かッ。まあいいぞ」
「それじゃあ僕は寝るね」
そうして俺の部屋に入っていくアイツ。さて、俺は寮に戻りますか。
「待った?」
「めっちゃ待った、もっと早く来い」
「そこは嘘でも待ってないと言ってよ」
事実を言って何が悪い。確かに5分くらいの遅刻なら待ってないと言うだろう。だけどコイツは30分も遅刻したのだ。
「デートだね」
「お前とは嫌だ」
「相変わらず酷いねっ!?」
お前が外歩くとめっちゃ注目されるんだよ……なんかコイツテレビにも出てたし。
「何処いく〜?」
「決めてねえのかよ?」
「うん。お腹空いてるからあそこ行こうよ」
「お腹空いてるのは同じだな、行くか」
カフェだ。
「何頼む?」
「コーヒーとケーキでいいかな」
「私もそうしよう」
店員さんを呼び注文を済ませる。
「私達カップルって思われてたね」
「マジで最悪だよ」
「どういう事!?」
さっき店員さんが「カップルですか? それなら〜」って話し始めたからな。俺が違いますやめてくださいと言って話を終了させた。ちなみに俺は今顔面を隠しているためあまり怖がられていない。まあ見た目は不審者そのものなんだけどな。
「おっ、ここ美味いな〜」
「だね、また来てもいいかも」
コーヒーも美味い、ケーキも美味い、だけどコーヒーが一番美味い。
「さて、食べたし出るか」
お会計を済ませカフェを出る。
「次は何処行く〜?」
「俺は行きたい場所とかねえなぁ」
「僕は今ボウリング場に行きたい、だから行こう」
「めちゃ遠いじゃねえか!?」
「飛べば大丈夫」
そう言うとキアの背中に白い翼が生える……やめろ……。
「うわああぁ!?」
「暴れないで、落としちゃうよ」
「あっ、はい」
この高さ、怖いぜ。
「速え……」
「ショートカット出来るから楽だね。あ、見えたよ。それじゃあ先に行っとくよ」
「え?」
俺は今、キアにお姫様抱っこされている状態だ。そしてキアは俺を……ボウリング場に向かって投げた。
「……え?」
数秒間思考が停止。そして再起動が完了。
「はあぁぁ!?」
地面に衝突するぞ!?
「はーい、お帰り〜」
「おまっ!? マジで……心臓に悪いって!?」
先に入口にいたキアが俺をキャッチする。
「もう、お前とは出かけないわ」
「ええ!?」
コイツのせいで俺は2回死にかけたぞ? ヒロインより凶悪じゃねえか。ヒロインと会うのを避けてるけど、コイツと会うのを避けた方がいいかもしれない。
「とりあえずボウリングしようよ!」
「はぁ、そうだな」
「ストライク〜!」
「お前上手くない? ドーピングしてる?」
「実力の差がわかったかい?」
イラッとしたので腹にキックを入れる。
「な、なにするの……」
「いや、腹立つから」
「ええ!? そんな理由で!?」
ちなみに、今の所キアは9割くらいでストライクだ。俺は4割って感じだ。
「僕の番だね」
「背中に虫ついてるぞ」
「へっ!?」
「はいガター」
「う、嘘ついたの!?」
「知ってるか? 騙される方が悪いんだ」
「ま、まあでもこの得点の差が埋まる事はないから……」
「え? お前本当の虫がっ!?」
「ふぎゃぁぁ!?」
てんとう虫がキアの背中に引っ付く。ギリギリ取れない位置にいる。面白いので見ていた。
「取ってよ!? お願いだから!?」
「ほら、お前の番だぞ。ストライク狙えよ」
「そんな場合じゃないのっ!?」
そんな事がありつつもボウリングを楽しんで終わった。
「最後は何処行こう。……あ、そうだ! 僕のおすすめの所連れて行ってあげる!」
「おっ、何処だ?」
「とりあえず連れてくね〜」
「飛ぶ気か……?」
「安心してよ。安全に運ぶから」
安心出来ねえよ……。
そうして運ばれる。
「どう? 綺麗じゃない?」
「おお、凄えな……」
上から見える街の景色。夜という事もあり一段と綺麗に見えた。
「涼しいね」
「だな」
なんだかんだ一番騒がしかった日だったな…。
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