第20話 悪役、決闘を申し込まれる

おはよう世界。


「学園行くか」




「決闘を申し込む」

「俺もだー!」

「そうだそうだー! 受けろー!」

「……ぐごごごご。何でこうなったぁぁぁ!?」


決闘、一対一の勝負。勝てばポイントが貰え何かが買える。そして俺は今クラス全員の男子から決闘を申し込まれていた。


「お前だけずるいぞ! 可愛い女子とずっといやがって!」

「おう女子がいないからって好き放題言ってくれるなおい。俺も好きで一緒にいるんじゃねえよ、俺の立場にもなってみろ、面倒だぞ」

「知るか! 決闘を受けろ!」

「逃げんな!」

「ゴミ!」


最後の言葉は違うだろ。ゴミって言った奴と決闘したいわ。


「何やってるの? 愁?」

「キアか、なんか決闘を申し込まれてる」

「いいんじゃない? 減るもんじゃないでしょ」

「ま、俺も受けようと思う」

「「「「「「よっしゃー!!!」」」」」」


キアの火属性オリジナル魔法ぶちまけてやるよ。勿論、俺のオリジナル魔法もな?


「キア、決闘場を夜にする事は出来るか?」

「勿論」


決闘場は決して死ぬ事のない場所だ。死んだとしても蘇生出来るらしい。


まあ一部の機械破壊されたら死ぬことになるが……。


「愁、昼休みに決闘だ。逃げんなよ」

「逃げるなよ!」

「カス!」

「だからさっきから紛れて悪口言ってんの誰だよ!?」


まあ犯人はわかった。ぽっちゃりオタク君だった。


時は流れて昼休み。決闘場の席は9.8割は男で埋まっていた。残り0.2割は蓮達だ。だがヒロイン達はいない。


『決闘開始まで……3…2…1……GO』


「キアー、頼むぞー」

「任せてよ!」


その言葉と共にここだけが夜になる。


「んなっ、どうなってんだ!?」

「戦いやすいだろ? それじゃあ始めようぜ」

「ああ、そうだな」

「やっぱり決闘は盛り上がらねえとなぁ!」


俺は戦闘も好きだ。だから盛り上げる、状況変化魔法でな。


「火よ、空高く弾け戦場を盛り上げよ!

花火ファイアスター〉」


花火だ、空で弾け綺麗な火が舞う。夜にはいい魔法だろう?


「炎よ、我が武器となり敵を貫け!

炎槍フレイムランス!〉」


槍を使う様だ。あれは炎属性の通常魔法だな。


「少し無理するか……いや無理出来んな」


それとこれは前々からの悩みなんだが、この魔法書、分厚すぎる、だから重いんだ。


「無詠唱か……天使と契約してる俺なら出来るかな?」


あ、もう一つ悩みがある。こんな戦闘中だけど……火属性で扱えるオリジナル魔法が少ない。


「どうしよ……?」

「うりゃぁぁ!!」

「槍を剣みたいに扱うなぁ! 〈獄火ヘルファイア〉!」

「うえっ!? お前ランクGの魔法じゃないだろ!?」

「よく避けれたな、すごい凄い。じゃあ次行くぞー」

「はっ!?」


そこからは一方的だった。俺の魔力も一方的に減ってった。結果俺の勝ち、魔力は一万程度。あんまいい試合じゃないんだが……?


「ひゃ〜疲れた。ポイントは……500か、何か買えっかな?」


100ポイントを使いチェロスを2本、50ポイントでコーヒーを一杯買う。


「ねえ」

「あ? キアか」

「夜にしてあげた僕への礼は?」

「アリガトウ、それじゃあな」

「ちょっと!? 同じの買ってよ〜!!」

「はあ、わかったよ」


うるさいので買ってあげる。


「チェロスにコーヒーって合うね」

「コーヒーは何でも合うわ! グミにもクッキーにもお肉にも……」

「いやそこまで万能じゃないと思うよ……?」

「これだから素人は」


合うんだよ、合う合う。


「愁君〜」

「お、蓮。どうした?」

「キアちゃんと食べてるのが見えたから来たんだよ」

「蓮の分も買ってやろうか?」

「やっぱりおかしい……!!」

「僕の分はいいよ」

「そうかそうか」


やはり主人公はいいな。ちょっとゲームと違うが、全然許容範囲だ。


「いや、やはり買ってやる。ほら、食べなさい蓮、大きくなれないぞ」

「ええ!? わ、わかった。ありがとう」

「うん、いいぞいいぞ」

「やっぱり私の対応酷い……!!??」


今日は良い日だ。気持ちの良い1日を過ごせそうだ……。









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