第19話 悪役、宿泊学習を聞く

「妹よ、宿泊学習に魔族は攻めてきたか?」

「え? 攻めてきてないけど……?」

「よしよしよし」


俺は宿泊学習に彼方さんを連れて行けと言っていた。

あの人は暇人だ、呼ばれない限りあまり動かない。


「ふはは、作戦は成功だ」

「今日もお兄ちゃんはおかしいみたい」

「今日もってなんだ」

「いつもおかしいじゃん」

「そんな訳ないだろ」


俺の何処がおかしい。まだキア達の方がおかしいだろ。


「シェリか」

「む? 愁殿ですか」

「ぐ…おぉぉ……」

「どうしたの?」

「なんでもねえや」


はあ、まあいいか。


「愁殿、何故我も学園に行く事になってるのですか?」

「あ、嫌だったか?」

「いや、そう言う訳ではないですけど……いいんですか?」


「あの学園長は少しおかしくてな、まあいいんだよ」

「おかしいのですか……?」

「ああ、いや、おかしくはないけどおかしいんだ」

「?」

「?」


2人揃ってどゆこと? って顔をする。


「半分おかしくて、半分正常な人なんだよ」


実際嘘ではない。まあ俺はあまり学園長の事を知らないが、普通ではないな。普通の所もあれば普通じゃない所もある。


「ってかキア達どこ行った?」

「今我はキアちゃん達にお菓子を運びに行ってた所です。場所は愁殿の部屋です」


「あのな、俺の部屋はお前らが集まる場所じゃなくてな、俺の寝る部屋なんだよ」

「多分2人共ベットの上で寝転がってるんじゃないですか?」

「マジでやめろっ!?」


なんで風呂入らねえ2人が寝てんだよっ!? 俺は急ぎ自分の部屋に走り入り込む。


「ええい! お前ら! 寝るな寝るな!」

「なに? うるさいよ」

「うるせえじゃねえよ!? ここは俺の部屋だ! 風呂入らねえ奴は出てけ!」

「でも君は寮の部屋使うでしょ? なら僕達がここ使ってもいいじゃん」


「せめて風呂入ってから寝ろ」

「えー、わかったよ。シルフちゃん、一緒に行こう」

「わかりましたです!」


ったくよ……。


「あれ、あの2人どこでしょうか?」

「風呂に入らせた。お前は風呂入ってるよな?」

「勿論ですよ」

「なら良かったぜ。なんか、お前達身長の高低差があるな」


濃い黄色の髪色のキアが174。

紫髪のシェリが165。

白髪のシルフが140と。凄え差が出ている。


「天使は成長が遅いんです。先に生まれたキアちゃんが身長が高いと思いますよ」

「なるほどねえ。なあ、お前らは天使として召喚されたのか?」

「わからないです。我が見つけたのは生物を作る魔法なので……」

「蘇生…創作…召喚…めちゃくちゃだな」


「キアちゃんとはどう会ったのでしょうか?」

「召喚魔法を使った」

「なるほどです。あの、勇者の像にいたのは、シルフちゃんだけですか?

「それなんだよな。俺もシルフに聞いたんだよ、お前だけか?ってな。そしたらな、何処かに行ってましたって言ったんだよ」


「何処かに行った……? って事はまだ生きてるって事ですか?」

「わからないな。ただ生きてるとしたら、契約主が死んでいるから自由なはずだ」


助ける=面倒なのが4人になる……コイツら俺の部屋に集まる……コイツら風呂入らない……助ける気が起きんよ。


「なんな飲み物買うか。シェリはなんか欲しいのあるか? お前なら買ってやるよ」

「100%グレープジュース! が欲しいですかね」

「なるほど、敵か」


どっちかというとオレンジジュース派だ。


外に行って……500円玉入れて……二つ買って……お釣り320円取って……部屋もどる。


「お前らも帰ってきてたのか。ほら、シェリ、買ってきたぞ」

「ありがとうございます!」

「ねえ、僕達は?」


「……」

「何で嫌そうな顔するの!?」

「下手に俺はな、常識がある奴はいいんだよ。シェリとかちゃんとしてる、だけどお前らは……」


「我からも言うけどキアちゃんは特に常識がないですよ」

「裏切られたっ!?」

「悪魔なので」


ニヤリと悪い笑みを浮かべる。


「とりあえず俺は寮に戻るか。またな」

「うん、バイバイ〜」




「……あーね……え!?」


おじいちゃん並みに反応が遅れてしまった。

その原因を見てみようか。


それは俺の使える魔法属性だ。


火属性魔法 無属性魔法


そう、火属性が追加されていた。


「ふへへ」


気持ち悪い笑い声。

凄え嬉しいなこれ。なんだろ、いた条件をクリアしたのかな……?


「多分輪廻との戦闘だよな」


だがこれは嬉しい誤算だ。今日から勉強と条件クリアを調べようとしたが……大体は予想がつくな、条件の予想が。


「とりあえず勉強しないとな」


1時間後

休憩でオレンジジュースを飲む


2時間後

休憩でコーヒーを飲む


3時間後

ストロ○グゼロ


4時間後

モン○ターエナジー



「ふあぁぁ〜」


ねっむ……。


「よし、徹夜したって効果が薄いからもう寝るか」


おやすみ世界、また明日。


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