第17話 悪役は初男友達を獲得

「な、なぁ……」

「え? 何か用か?」

「い、いや、そのな……用って訳じゃないんだが……」


ビクビク震えている。そんな怖いか。……なるほど、わかったかもしれん。


「罰ゲームか、無理してやる必要はないんだぜ? あ、でも勘違いしないでくれよ、俺は悪い奴じゃないからな」

「え?」

「罰ゲームはもう終わりだろ、友達の所に帰りなさい」

「罰ゲームってなんでわかったんだ?」


「反応と、話す用がないのに俺の様な顔面怖い奴に話掛けに来たからな」

「そ、そうか」

「おう、そうだ」

「思ったより、悪い奴じゃないのか……?」

「俺は喧嘩とかした事ないからな。人を見た目で判断するじゃない」


「そ、そうか……いや、やっぱり用が出来た、少し話そう」

「え? まあいいか、暇だし」


帰ると思ったんだがな……。


「今まで色んな噂を建てられてただろ? それは嘘なのか?」

「嘘……まあ嘘だな。最近俺が入院してたのも魔力器が壊れかけてからだ」

「えっ、大丈夫なのか?」


「おう、全然平気だぜ。魔法って凄いな」

「だな〜、クラスはなんなんだ?」

「え? Gですけどなにか?」

「なんかすまん」


コイツは友達として見ていいだろうか? その場合初の男友達だな。あ、主人公は男として認めてないからな。主人公の性格、声は男かもしれないが、見た目は女の子なので。


「また話に来るわ、またな〜」

「おう、じゃあな」


これは友達認定でいいかな? 友達少なかった俺にはよくわからんよ。


「あ、キア、お前の元の服と同じ服、完成したぞ」

「おっ、ありがとう!」

「お礼なら櫂にしてくれ。一応俺の部屋に置いてるから」

「わかった」


そうして教室を出て行く。多分櫂にお礼しに行ったのだろう。そしてその後を着いていく男たち……なにしてんだ。


「よう! 愁」

「おお、さっきの……」

蒼也そうやだ」

「蒼也ね、結構早いな」


「いや、聞きたい事があってよ、なんで愁はそんな怖い顔なのにキアちゃんとか奈央ちゃんと一緒にいるんだ?」

「お前ら男は……」


呆れてしまう。


「知らねえよ、後奈央は妹だ。キアは……昔の……知り合いだ」


少し設定を変えておいた。まあバレないだろう。


「羨ましいなぁ……」

「どうだろうな、結構キアといると面倒だぜ?」

「可愛いから許されるんだよ」


「例えお前らが許しても、俺は許さないぞ」

「お前も心の中ではニヤニヤしてるだろ?」

「な訳、あんな奴の何処がいいのかわからんな」


アイツのせいで俺は死にかけたんだぜ? しかも何処かしら腹立つという……面倒な部分をくっつけて、見た目だけを良くした生物だ。


「はぁ、ねっむ……」




「愁さん!」

「あのな、さん付けはやめてくれ」

「やめません! 命の恩人なのですから!」


白髪、身長140くらい、そう、助けた天使、シルフだ。ポジションは癒し枠…か……?


「なんかさん付けされるとざわざわすんだよな……」

「なら……愁ちゃんです?」

「そうはならんやろ」


何故ちゃんになる、呼び捨てでいいだろ。


「やっぱり愁さんです!」

「さいですか……」


なんか、天使って面倒なのが多いかもしれない。ただキアよりマシだ。


「何か言われた気がする」

「変な所で勘がいいよな」

「って事は言ったって事!?」

「そうだよ。ってかなんでお前らは俺の部屋に居るんだよ、帰った帰った」

「えー、でも家にある部屋の数が少ないんだよ。愁のお父さんの部屋はなんか嫌だし」

「グハァ……」


なんか下で父さんの声が聞こえたな……。


「じゃあ俺が寮に行けばいいのか?」

「あ、そう言えば、私も学園通いたいです!」

「そうかそうか……まあ頼んでみるよ」


あー、面倒なのが増えてく増えてく。悪魔は全員死んでしまったのか。天使や悪魔を作る魔法、だが俺の魔法は確かに召喚だったはずだ。


「確率は低いが、やる価値はあるかな」


庭に行く。


魔法書と杖を持つ。杖を使い自分の作った魔法陣を追加する事が出来る。


「この魔法書でしか出来ない事、だから魔法陣さえ作れればいいのかもしれない」


そういや……日記全て読んでなかったな、一応読んでおくか。


「……ん?」


最初、ページがない部分に一つの魔法陣。


「詠唱が……書かれてない……?」


俺は魔法陣に杖を翳す。そしてその魔法陣を追加……出来なかった。


「なっ、どう言う事だ!?」


魔法として適応していないのか?


「やれる事はやってみるか」


キアも、シルフも、悲しんでいた。一応出来る事はしてみる。


「ここじゃやり難いな……あそこに行くか」




着たのは勇者の像だった。


「魔法陣を描けばいい」


ページにじゃない、地面にだ。


「どうやって描こう……?」


悪魔……血? 嫌だぞ? 血なんて使いたくもねえよ。しかも血で魔法陣を描くのは難しいだろ。


「確か家にあったよな」


運動場に白い粉を引く奴だ。確かラインカーとか言う奴だな。


「面倒だが、行くか」


家に取りに戻る……悪役顔が街中でラインカーを運ぶ、変な目で見られる……そして到着。


「えーと、こうしてこうして……」


んで出来ると。


「ただなぁ、詠唱がわかんねえんだ。魔法名言うだけでいいのか?」


ほんのちょぴっとだけ文字が見えるがほとんど見えない。


「愁?」 「愁さん?」

「げっ……」

「何してるのかな?」

「いや、お前らは自分の仲間である天使、悪魔が死んでしまって悲しいだろ? この魔法で多分復活させる事が出来るんだよ」


「本当!?」

「ただよ、詠唱の部分が見えなくてな」

「これはシルフちゃんの出番じゃない?」

「任せて下さいです!」


文字が治る、流石天使。

多分この魔法は作る、ではなく蘇生、復活させる、だろう。


「な、なぁ、必要魔力量が100万なんだけど?」

「低いね」

「低いです」

「バケモン共が」


「とりあえず皆んなで詠唱する?」

「確かに、そんな方法もあるな」

「まあ僕1人でも出来るけどね」

「私1人でも出来ますです!」

「俺だけ出来ないね」


まあ天使と人間を比べちゃダメだ。


「これ、禁術だね。まあやってみようよ」

「そうだな」


原初の魔法…か……。


「「「原初の魔法よ、亡き者に永遠の体を授けよ! 〈死者蘇生リザレクション〉!」」」


そして出てきたのが……。



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