第13話 悪役、輪廻と会う

「……はあ!?」


こりゃ会うしかねえな。


『時間と位置はどことか言ってたか?』

『うん、明日の昼、屋上でって言ってたよ』


「やっぱり立ち入り禁止の屋上だよな」


まあ立ち入り禁止でも俺達はずかずかと入ってる訳だが。


「なあキア、この魔法書は何処で手に入れたんだ?」

「僕が作ったんだよ」

「……なるほどね。会話するメリットは十分だ」

「本当にどうしたの?」

「輪廻と会える」

「えっ……?」


「クラスにいるらしいんだよ、輪廻が。多分クラス云々は嘘だろうけどな」

「それは私も会いに行った方がいいかな?」

「明日の昼、屋上で会おうとの事だから……そうだな、お前は扉で待機しとけ」

「うん、わかった」


「とりあえず俺はもう寝る、お前は部屋に戻れ」

「えー……わかった」

「そのえーはなんだよ」


輪廻か……キアの件だろうな。


「寝るか……」




「ふう、よし」


屋上の扉を開ける。


「君が愁だね。僕は輪廻。まあ何を話すかはわかっているんじゃないかな?」

「キア、天使の件だろう?」

「うん、正解だよ。そうだね、答えられる範囲でいいから質問に答えてくれないかな?」

「ああ」


「それじゃあまずは……キアとは契約しているの?」

「ああ、してるぞ」

「どうやってキアと会ったの? 一応、ある場所から離れられない様にしたんだけどね」

「召喚した」


「魔法書で?」

「ああ」

「……何処で魔法書をゲットした? その魔法書でしかその魔法は発動出来ないんだ」

「ベットの下」

「……え?」


あれは俺も驚いたな、何故ベットの下に!? ってなったもん。


「べ、ベットの下?」

「うん、ベットの下」

「そ、そうなんだ……まあこれは質問というよりお願いなんだけど、返してくれないかな?」

「それは本人に聞いたらどうだ?」


その言葉と同時に後ろのドアが開く。


「僕は戻るつもりはないよ」

「それは天使と悪魔がどうなってもいいってこと?」

「嘘だな。災害のせいで天使と悪魔と離れただろ?」


「あら、バレちゃった。そうだね、お父様しか天使達の位置は知らない、けどそのお父様も僕に位置を知らせる前に亡くなっちゃったからね。でも生きてる事だけは知っている。争奪戦の始まりだね」

「……そうなるか」


「有利なのはこっちだね。人数はいくらでも雇えるんだ」

「ズルいねえ……それじゃあ俺達はもう行くぞ」

「うん、話せて良かったよ。またいつか会おうね」

「どうだか」


さて……人数の差では負けている。天使達を探す効率もあちらの方が早いだろう。


「とりあえず、僕の魔法で探してみるよ」

「ああ、ただキア、あまり1人になるな。狙われるぞ」

「うん、わかってるよ。とりあえず君の部屋で寝て良い?」


「ダメだ。その時は自分の部屋に帰れ」

「えー、どうしろって言うのさ。1人はダメなんでしょ?」

「とりあえず輪廻の寮のクラスを調べるぞ」

「調べる必要はないよ。Sで見た事ある姿だったからね」

「そうか。ま、寮じゃなく家でもいいんだが……特定されたら面倒なんだよな」


妹は家で暮らしている。だがキアと俺が行った場合バレる可能性が高い。


「ったく、あー。なんでこんな面倒な事件を解決せにゃならんのだ」

「僕のために頑張ってね〜」

「お前のためじゃない、他の天使、悪魔のためだ」

「僕は!?」


お前はどうでもいいです。とりあえず、調べられる所は調べるか。


「早退するぞ〜」

「わかった」




「学園長優しいな」

「だね。何処を調べる?」

「とりあえず輪廻家だろ。今は何もないけど、なんらかの情報があると信じていこう」

「うん」

「俺位置知らないから案内してくれ」

「ごめん、僕も知らないや」


幸先はダメ…と……。


「何か困ってる様だな、愁」

「……父さん!?」

「奈央から話は聞いたぞ。別人みたいになったらしいな。奈央がお前の事を褒めまくってたぞ」


「そうなの? じゃなくて何故ここに!?」

「コンビニ行こうとした所だ。で、何に困ってるんだ? それとその人は彼女か?」

「んな訳ねえだろ!?」

「はっはっはっ、知ってた」

「なんなんだこの父さん……」


悪役の父さんだ。一度主人公を助けた事があるので覚えていた。


「輪廻家、父さんなら知ってるだろ?」

「む? まあ知っているな」

「今はもうない輪廻さん達家、その位置がわからなくてな」

「何故行きたいのかは知らないが……まあ着いてこい、結構近いからな」

「ありがとう。キア、行くぞ」

「うん」


結構予想外は出来事が起きたが、輪廻の家まで行けるからな。結果オーライだ。

何か情報を得られるといいんだがな……。

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