第9話 悪役の飯の美味しさ

「初級のダンジョン、僕は別に問題ないよ」

「よし、ならいこうぜ」

「うん!」


主人公を連れてダンジョンに入る。ふぅ、楽できそうだ。


「早速ゴブリンだね、僕に任せてよ」

「カッコいい所見せてくれよ!」

「光よ、絶望の闇を切り裂き希望の光にせよ! 《光の大剣ライトグレートソード》」


魔法陣から現れた大きな光の大剣が横に一振り。ゴブリン三体はまとめて消滅した。


「おお! 流石だ! カッコいい! 次も頑張れ!」


最後は要望だ。人間褒められると調子に乗る奴が多い、主人公はどうかな?


「そ、そう? カッコよかった?」

「おお、めちゃくちゃ良かったぞ」

「な、なら次も頑張るよ」

「ああ、その意気だ」


よし、楽できるな。


「光よ、集い我が敵を貫け! 《光線ビーム》!」

「楽だなぁ〜」


その後も順調に進めていく。

そしてボス戦。やはり主人公の魔力は多いな。


「闇を光に覆し、邪悪なる存在に天罰を! 

裁之光ジャッジメント》!」

「ヒュ〜、カッコええな」

「愁君! 銀の宝箱だよ!」

「お前さんが開けるんだ」

「え? いいの?」

「ほとんどやったのは蓮だろ? 開けなさい」

「ありがとう、なら早速!」


主人公はしゃがんだ状態でトコトコ宝箱の前まで歩き、宝箱を開ける。


「なんだろうこれ?……愁君はわかる?」

「…………」


多分俺は今、口を開けっぱなしだろう。


「しゅ、愁君……?」

「少しまで……状況整理と一番良いやり方を考えよう。アイツが喜ぶとしたら……よし決まった」

「どうしたの?」

「その本はランク7の本だ、だからお前がそのランク7を使え」

「ら、ランク7!?」


「ああ、で、お前の使っていたランク6の魔法書は櫂にあげろ」

「か、櫂に?」

「そうだ、きっと喜ぶぞ。そら早く行け、櫂に渡すんだ」

「喜ぶかな……? とりあえず聞いてみるよ」


返信は1秒で返ってくるだろうよ。


「とりあえず俺は先に帰るぞ。今日はありがとうな」

「うん! 楽しかったよ、またね」


よしよし、一つ目のダンジョンは楽できたな。




「お兄ちゃん料理作ってみてよ」

「え? 何でだ?」

「少し気になってね」

「……まあいいか」


前世はちゃんと自炊してたしな。一般程度には作れるはずだ。


「何作ってほしい?」

「オムライスと……キアちゃんは何が良い?」

「え?……生姜焼きでいいかな〜」

「任せろ」


材料を取り出しご飯を温める。卵、鶏もも肉、玉ねぎ、牛乳や塩やコショウ、サラダ油やトマトケチャップなどを用意。

豚ロースの薄切り、薄力粉、すりおろした生姜……そして出来上がる。


「ほい、作ったぞ。ケチャップはご自由にどうぞ」

「おお! 思ってたより出来てる!」

「だろ?」

「お兄ちゃんってこんなに出来るんだね」

「これが兄の底力よ」


見てるとお腹が空いた。俺の分はないのでパンでも食うか。


「キアって料理出来るのか?」

「真っ黒に焦げたカリカリの肉なら出来るぞ」

「聞いた俺が間違いだったよ」


それは料理と言わん。まあコイツじゃ無理だろうな。


「おっ、普通に美味しい!」

「そりゃ良かった」

「これは私がいない時でも問題ないね」

「作るのが面倒だから妹よ、お前が作ってくれ」


嫌そうな顔をするなよ。それがお前の仕事なんだ。


「まあでも私がいない時は問題ないね。キアちゃんに料理作ってあげなよ?」

「いない時はちゃんと作るさ。出来ればなんだが友達の家に行くのはやめてくれ、料理作らないといけなくなる」


「梨花の事? あー、ランキング見たけど凄かったね」

「だろ?」

「うん、なんなら少し戦おう! とか言われちゃった」

「受けてもいいんじゃないか? 勉強になるぞ」

「そうかな?」


最強の動きを少しでも勉強するんだ。後は癖とかがあるのなら見抜く、そうしていずれ彼女を超える事が出来るだろう。

無属性の説明に、目覚めさせる事が出来ると書いてあったが……どう言う事だ?


「ちょっとキア後で部屋来てくれ」

「ん、りょーかい」




「それで、何の用なの〜?」

「無属性魔法にさ、魔法を目覚めさせる可能性があるって書いてあるだろ? それってどう言う事なんだ?」

「そのまんまの意味だよ。その肉体に適応して、ありとあらゆる条件全てにマッチすると目覚めるんだよ」


「すまん、理解出来ん」

「ええ……まあその肉体が何属性に適応して、その条件をクリア出来たら使えるよって事」

「まず条件ってなんだよ?」

「さあね、僕は元々全属性持ってたらからね〜」

「そこら辺は自分で調べてみるか……」


強くならないと死ぬ、それが今後のイベントで起きる襲撃とかでだ。

とりあえず魔法と使う武器か……主人公に頼も…。



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