第7話 悪役と天使の魔法

「何してたの……? それとその子は……?」

「蓮か、少し問題があり結構遅れた。コイツはな……名前なんだ?」

「キアだよ、キア」

「キアとかいう天使だ」

「てっ、天使!? おお、輪っかだ、これ凄いね〜、触ってもいいかな?」

「この輪は別に触ってもいいよ」

「なら早速! 硬い……!!」

「それ硬いんだな」

「うん。あのさ、何で僕達こんな見られてるの?」

「十中八九お前のせいだな」

「えっ?」


急に学園にコスプレ女子みたいな奴が来たら驚くだろ。まあ男はほとんどコイツの顔に注目してるがな。


「ってかコイツ連れてきたけどどうしよ……新入生みたいな感じに出来ないかな……?」


学園長に話せばいいかな……?


「とりあえずお前の使える魔法属性教えてくれ」

「全部っ!」

「嘘はいいから早くしてくれ」

「だから本当に全部だよ!」

「……マジ?」

「うん、マジマジのマジ」

「とりあえず着いてこい」


学園長室までコイツを連れて行く。




「私は別にいいと思うよ」

「えっ、いいんですか?」

「魔法の才能がずば抜けてるし、人間じゃない天使族ってなんか面白いじゃん」

「面白い……? ですが入れてもいいんですね」

「うん、まあ新入生って形で入れようか」

「やったー!」

「クラスは君と同じでいいよね?」

「まあそっち方が自分も助かります」

「了解、よし、この話はまたあとでにしよう、君達は教室に戻りなさい」

「はーい」




「ってかさ、力を貸す事を条件に召喚、契約しただろ? 俺には何の力があるんだ?」

「僕の力が使えるよ、でも君の場合無属性魔法のオリジナル魔法だけだね」

「なるほど、とりあえず魔法陣と効果だけ教えてくれ」

「それならこっちの方が早いよ」


あの時の魔法書が指さされる。


「僕がとりあえずこれを治すね」


その言葉と同時にページが勝手に開かれ、破れた場所や汚れなどで見えなかった文字が見えるようになってゆく。


「もしかしてお前無詠唱でやってる?」

「うん、天使だからね」

「化け物だなぁ」

「天使を化け物呼ばわりはダメだよぉ?」

「実力はバケモンだろ?」

「否定はしないよ。とりあえず君は無属性魔法の詠唱を覚えなさい」

「へいへい」


ふむふむ……どれも使えるな。やはり攻撃力は少ない様だ。


「庭で試すか」

「僕は見ておくよ」


そうして庭まで行く。妹に凄く問い詰められたが天使という事を信じてくれた様だった。学園の男子から人気の天使だ。


「魔力よ、周りの敵を吹き飛ばせ! 《衝撃波ショックウェーブ》!」


周りのモノを吹っ飛ばす、これが効果だった。


パリィィン!


鳴ってはいけない音がした。


「お兄ちゃん……?」

「えっと、その、許してください」

「無理」

「がひっ……」


ガラスを割ってしまった事を後悔する。股間の強撃に意識を失ってしまう。



「ありがとうキアさん」

「いいよ、こんぐらい」


あの後ガラスはキアが直してくれた。


「お兄ちゃんも使う魔法は気をつけてよ」

「はい……反省してます」

「ほんとかなぁ?」

「ほら、この顔を見ろ」

「怖い顔しか見えないけどね」


結構反省してるんだがなぁ……。まあこの顔なら仕方ないよな、コイツの顔には反省という文字が見えねえからな。


「あ、夜ご飯作らなきゃ」

「何作るんだ?」

「鍋だよ」

「夏なのに……?」

「夏の鍋もいいでしょ?」

「そうか……?」

「それ以上不満を言うなら飯抜きだよ」

「うわっ、その言葉はずるいぞ」


それ言われたらもう黙るしかない。


「あっ、キアさんのお箸どうしよう」

「さん付けはいらないよ」

「そう? ならキアちゃんにしよう。お箸……」


妹よ、こっち見んな。あの顔は買ってこいって顔をしているな。


「わかったよ、買ってくるよ」

「それでこそお兄ちゃんだよ!」


にぱっと満面の笑みを浮かべる妹。

お箸買いに行くか……。




「暑ぅ……」

「これがいいんだよ」

「夏の鍋はいいよ、君はそれがわからないの?」

「うっさいわい、ただ暑いだけだ。美味いけど! 暑い!」

「この暑さがいいんだよ?」

「お前ら本当にどうかしてるよ……」


暑い中もっと暑くなる、それのどこがいい? 俺がおかしいのか? いや、コイツらがおかしいはずだ。


「ご馳走様」

「うん? もう食べ終わるの?」

「あんま食わねえんだよ」

「ちゃんと食べた方がいいよ〜?」

「これで満足してるんだから別にこのままでもいいだろ」

「満足してるのならいいけどさ」

「とりあえず風呂行くわ」

「うん、いってらっしゃい」


あちい〜……。








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