第6話 悪役と最強警官と天使

「お前が救いだわ」

「ど、どうしたの?」

「いや、同クラスで話しかけてくれるのがお前だけなんだよ、蓮」

「顔のせいかな?」

「そうだろうな……はぁ、なんでこんな怖い顔なんだよ」


自分の顔にビビったからな。主人公だったらどれほど幸せだったことか。


「蓮の持ってる魔法書のランクってなんなんだ?」

「僕? 空色のモヤだったからランク6かな」

「おお、流石だな」

「愁君は?」

「俺はマジで下だな、青だったからランク2になるな」

「へえ、なんか意外だなぁ」

「そうか?」

「強者の圧があるもん」


それは多分顔面の圧だ。顔面だけで強者になれるのか……。

高いランクの魔法書ゲットしたって無属性じゃあまり使わんよな……。


「おっ、チャイム。残り数時間頑張ろうな」

「うんっ!」




「すまん、お手洗い行ってくるわ。先に帰ってていいぞ」

「ん、わかった」


妹との帰り道。少し腹痛がしトイレに向かう。


「ふぅ、治った」


トイレから出る……そして魔法書が奪われそうになっていた主人公を見つけた。誰もいない公園、しかも木の影。


「ええ?」


主人公、バカなことしたな。6の魔法書を持ってるってバレたらそりゃ狙われるに決まってる。


「ったく、人に魔法撃つのはダメなんだけどなぁ。魔力よ、敵を射抜け! 《魔力弾マナバレット》!」

「ゔえっ!?」

「お、おう……いったそ〜」


電柱にカーンっと頭をぶつけていた。


「大丈夫か? 蓮?」

「愁君、ありがとう!!!」

「別にいいけどよ、魔法書はあまり出すなよ? 高ランクの魔法書は狙われるぞ」

「ご、ごめん」

「いいさ、わかったら早く帰れ」

「うん、お礼はまたいつかするね」

「ああ」

「またね〜!!!!」


手を振りながら帰路に就く主人公。早く俺も帰らねえとな。


「待てよ……」

「あ?」


電柱に頭をぶつけた奴が起き上がる。


「お前だけは殺さないと気が済まねえ」

「……マジィ?」


戦闘経験ないんだが……?


「警察ー!!!!!」


この世界にも警察は存在する。全員エリート、中には世界最強の魔法使いが存在する。


「こんな場所に来やしねえよ」

「それはどうかな?」

「なに……?」

彼方かなたさーん!」


彼方、それが最強の名前だった。

名前を叫んだ瞬間。不良の隣に雷が落ちる。そして、気絶した不良がいた。 


「おお、流石彼方さん」

「なんで世間に出してない名前が知られているんだろうねえ?」

「あっ……な、なんででしょうかね……?」

「ははっ、不思議だが別にいいさ、君はもうお家に帰りなさい」

「ありがとうございました」


いや〜、偽の名前を出しているの忘れてた。無事帰れるしいっか。




「お兄ちゃん、起きてよ」

「くっ、来たか悪魔め」

「は?」

「今日の守りは硬いぞ」


布団二重。前より強く布団を握っている。


「悪魔よ、お兄ちゃんを起こしたければ倒してみなさい」

「えっ? いいの? なら早速」

「えっ、まっ!? がふっ……うぎゃぁ!?」


思いっきり蹴りを入れられる。布団のお陰で痛みは少ないが、力が緩んでしまい布団は投げられる……俺も投げられる。


「早く来てよね!」

「はい……」


倒れながらベットの下を見るとある物を発見した。


「なんだこれ……?」


俺はそれを手に取り持ってくる。そして見えたのは……。


「魔法書……!?」


俺はページを開く。マジで知らない魔法陣だ。


「お兄ちゃんー?」

「あ、ああ、すまん、今行く」


魔法書を鞄の中に入れ一階に向かう。

なんだあの魔法書……? 悪役の昔の魔法書か?


「どうしたの? 何かあった?」

「いや、なんでもねえや」

「……? そう」


魔法書の事を考えながら朝飯を食い終わる。妹はもう既に学園に向かった。


「なんだこれ……詠唱は……」


なんと、最初と最後の部分だけが見えなくなっていた。


「んお? これだけ見えるぞ?」


詠唱を見て覚える。ってかこれ何属性だよ? 色は無色、だから使えると思うんだが……。


「少し庭でやってみよう」


魔法書を持ち庭に行く。


「……変な詠唱だな? 輪廻ってなんだよ?」


まあやってみるか。


「輪廻家当主が命じる、天使よ、我が魔法に応え力を貸したまえ! 《天使召喚エンゼル・サモン》!」


目の前の地面に神々しい光を放つ魔法陣が出来る。

輪廻家ってなんだよ? キアって誰だ、力を貸せとはなんだ?


「うぐっ!?」


体が動かなくなる。魔力切れ、多分それほどの魔法なのだろう。薄れる意識、最後に見えたのは天使の輪っかがある、濃い黄色の髪、俺より少し年上くらいの女の子だった。




うーん、俺の枕ってこんな柔らかかったっけ?


「おっ、起きた〜?」

「うーん、あと5分……って誰だお前!?」


知らん女性に膝枕をされていた。


「誰だお前って……貴方が僕を召喚したでしょう?」

「え? あー、そんなこともあったな」

「君は輪廻家の一員なの?」

「まず輪廻家ってなんだよ?」

「え? 違うの?」

「違うな……輪廻家か……ああ! 思い出した! 確か20年前くらいになくなってたぞ!」

「えっ!?」

「どんな関係だったかは知らないが、ご愁傷様だな」

「やったー!!!!」

「やっ……たー……?」


あれ、悲しんでると思ったがそうではないようだ。


「とりあえず、契約する?」

「契約……?」

「本当に何も知らないで魔法使ったんだ。あれ……どうやってその魔法わかったんだろう? まあいいや、僕の手に貴方の手を重ねて」

「え?……これでいいか?」

「うん、じゃあ少し待ってね〜」


そこから10秒ほどするともういいよ、と言われた。


「なにこれ?」


手に魔法陣が描かれていた。


「契約の証だよ、他の人からは見えないよ」

「なるほどな……って、やばい!?」

「どうしたの?」

「学園がぁぁぁぁ!?」


俺は急いで学園の準備をし、知らん奴と共に学園へ走っていった。














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