第4話 悪役の仲直り

「いや、マジで、本当にごめん」

「…………」


あの後俺は起きた。起きた原因はある場所の謎の激痛なんだが……。


「新しい魔法試したら、妹のギターに当たってしまって、それが跳ね返って俺の頭に当たったんだ」

「…………」


「火力はデコピン程度だけどノックバック効果があって、壁に当たって俺の頭に跳ね返ってきて……」

「…………」


「ああもうわかった! 新しいギター買ってやるよ!」

「その言葉を待ってたよ」

「クソォ……ってかお前結構金貰ってるだろ?」


「使うのはなんか違うじゃん」

「何が違うってんだ……」

「ギター買ってよね〜? あ、ちゃんと3万円以上のやつを買ってよね?」

「ぐ……おぉ……」


「明日は休みだから早く行ってね」

「それ以上は言うな……精神と財布のライフが0になる」

「ま、私がお兄ちゃんに月に少しお金渡してるでしょ?」

「あ、ああ、確かにそうだな」


そう言う設定だったのか。コイツが妹か……お金もくれるし、料理も作ってくれる……最高じゃんか。


助けられてばっかもあれだよな……よし、覚悟を決めた。


「ぐごごご……」

「どうしたの?」

「なんでもねえよ。ちょっと外行ってくるわ、時間掛かるかも」

「わかった」


十二万円を財布に入れる。十万円ぐらいのギター買ってやる。

家を出て店に向かう。




「妹は……寝てるな」


クリスマスプレゼントの様に、起きたらプレゼントがある感じにしよう。


「お兄ちゃん……?」

「えっ、あっ……」

「何してるの?」

「……はぁ、もういいか、ほら、ギターだ、起きたらプレゼントが! って感じにしようとしたが、起きたのなら渡すよ」


「えっ、もう買ってきたの!?」

「おう、見てみろ」

「ありがとう!!」


嬉しそうに箱を開けている。


「ね、ねぇ……」

「あ? なんだ?」

「ここに11万8000円って書いてあるんだけど……」

「いつも助かってるからな、お礼としてだ」

「お兄ちゃん……いつからそんな性格に……」

「いつからだろうな。それじゃあ俺はもう寝るから、またなー」


自分の部屋に戻りベットに寝転ぶ。


横の部屋から綺麗なギターの音がする。その音は心地よい、今日はぐっすり寝れるかもな……。




「遅い」

「妹、お前のせいだ」

「責任を押し付けないでよっ!?」

「いや? 押し付けてねえぞ? ただな、お前のギターの音が良すぎてだな、寝過ぎてしまった」

「あっ、聞こえてたんだ」


恥ずかしそうに言う。


まあ隣の部屋だしな、聞こえて当然だ。


寝た時間は21時半、だが今の時間は13時だ。


「お前のそのギターの心地よい音、そして休日という事もあり寝る時間が長かったんだよ」

「本当かなぁ?」

「ああ」


とりあえず温められた飯を食う。

起こしに来てくれてもいいと思うんだがなぁ……?


「ギターは安くて良いよ、あれも一万程度の奴だし、無理して買ったらお兄ちゃんが何も買えなくなるよ?」

「なんだ? 心配してるのか?」

「そりゃするよ」


「お前ってそんな優しかったっけ?」

「なに? 同じ場所蹴り上げるよ?」

「やっぱお前犯人かよ!?」


やめてほしいものだ。

明日から学園か……主人公に絡まれるかなぁ……キャラクターにやばいやつがいるんだよな……。


ツンのデレもいれば、ヤンの方もいる。

だが全員主人公が好きだ、邪魔する者は殺すだろう。


「あ、そうだ、少し買い物行くからさ、一緒に行こうよ」

「な、なんだ……? お金はこれ以上出さないぞ……?」

「大丈夫だよ、私が全て奢るから」

「おお、流石我が妹だ」


これは着いていくしかないな。


「ちなみに俺を連れて行く理由は?」

「ナンパ防止」

「ですよね〜」


俺顔面は武器になるからな、そこらの男は近寄らないだろう。


「それと、お兄ちゃんといたいってのもあるからね」

「妹……やっぱり中身だけ違うな」

「は?」

「はぼっ!?」


一瞬で急所を蹴られ意識が朦朧とする。後悔した俺は意識を手放すのだった……。





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