第3話 悪役のステータス
「うえぇ!?」
ど、どうなってんだこれ?
「お兄ちゃんどうしたの?」
「なんでもないぞ妹よ」
「呼び方!」
「あ、すまん」
「それよりどうしたの?」
「いや、そのな……ステータスがおかしくってな」
「え? どれ、見せてよ」
「あ、いやいやいや! ダメダメ! 見るな!」
「ええ、どうして?」
「後で見せるから一度戻ってくれ」
「わかったよ」
そうして部屋を出ていく妹。足音も下に遠ざかっていたので大丈夫だろう。
「な、なんでだぁ……? 魔法がおかしくなってんぞぉ?」
まずは魔法の説明からだ。
魔法書と呼ばれる物を使い人間は魔法を発射する。
魔法書1ページ1ページに一つ一つ魔法陣が描かれている。発動方法は簡単だ、火球で例えるのなら……。
『火よ、敵を穿て! 《
ページに魔力を流しつつこの詠唱する。すると不思議、魔法陣が出来上がりそこから魔法が放たれる。
魔法書にあるアイテムを使う事で自分のオリジナル魔法を追加する事が出来る、結構便利だ。
ただ魔法書にもランクがある、俺の様な人間は下だかな、ちなみに妹は上位に食い込むほどの魔法の才能を持っているので高ランクの魔法書だ。
次に魔法属性の説明。
火 これの上位属性が炎
水 これの上位属性が海
木 これの上位属性は樹
土 これの上位属性は地
風 これの上位属性は嵐
光 これの上位属性は神聖
闇 これの上位属性は暗黒
この属性から複合されていって出来るのが氷や雷、龍や鉄などだ。
次にオリジナル魔法、派生魔法の紹介に移る。
派生魔法、簡単だ、一つの魔法に二つの属性が入った魔法の事だ。水と風の派生で冷風などの便利な魔法、勿論火を使えば暖風になる。
オリジナル魔法は自分だけの魔法陣を作る、ただし魔法として動作するのか、自分の魔法書で放てる魔法なのか、が重要になってくる。
そして俺のステータスは……。
砺波愁
火 G レベル0
水 G レベル0
木 G レベル0
土 G レベル0
風 G レベル0
闇 G レベル0
光 G レベル0
無 S レベル1
属性の適正ランクを表す、なのに何故か全て適正がなく、知らない属性無属性の適正が最高ランクになっていた。
そして無属性の説明はこうだった。
魔力を操る魔法。使い方次第では魔法を目覚めさせる無限の可能性がある魔法。とだけ書いてあった。
「大丈夫?」
「おお、マイシスター、助けてくれよ」
「なんで呼び方が変わるのぉ……?」
「簡単に言うと、凄え弱くなった」
「え? どう言う事?」
「闇属性使えなくなった」
「……ごめん、聞き間違えたみたい」
「闇属性魔法、俺の中から消えました」
「…………どう言う事?」
「代わりに無属性魔法を手に入れたぞマイシスター」
「お兄ちゃん、今日は寝た方がいいと思うよ。邪魔しない様に私は下に行くね、バイバイ」
「……本当にどうしよ……? 強くないといけないからな……」
無属性魔法……魔力を操る、そしてノックバック効果がある、そして……攻撃力はデコピン程度……。
「終わった……」
ここで頼れるのはオリジナル魔法だけっ!……あ…れ…?
「無属性のオリジナル魔法ってなんだよっ!?」
火力デコピン程度の魔法のオリジナル魔法を作っても強くはない。
「はぁ、適当に考えるか」
特殊なノートを出し魔法陣を考える。
「ノックバックか……キャッチボールとかか?」
前にノックバック、そして後ろからまたノックバックする、で俺の所に吹っ飛んでくるからそこに蹴りを……。
「ってかオリジナル魔法って効果はその魔法陣によって変わるからなぁ。あ、無属性の色ってなんだ……?」
属性毎に決まった色がある。それにより魔法陣だって決まる。
火・炎は赤
水・海は青
などなど、だから無属性は……。
「無属性は魔力、だから青か紫? いや、青は違うし、紫も違う……」
だとしたら……。
「無色……?」
何の色もない魔法陣、それこそ無属性魔法陣かもしれない。
「この魔法書に適応するとしたら……」
魔法陣の作り方は簡単だ、まぁまぁな大きさの丸を描き、そして適当に描くだけだ。魔法陣、ぽくするだけでいい。
俺は三角の上向きと下向きを重なる様に描き、真ん中に拳銃を二つ交差させたマークを入れる。その魔法陣を魔法書に追加する。
「後は……魔力よ、敵を射抜け! 《
ノートに描いた魔法陣が俺の目の前に出現し、紫の弾丸を放った。弾丸の色は紫なのね。
「おお!」
弾丸はギターに当たる。ノックバック効果のある弾丸、それに当たったギターは勿論吹っ飛び壁に当たる。跳ね返り俺の頭に吹っ飛んできて……。
「がっ……」
あまりの衝撃に俺は意識を失った。
ドンッ! バコンッ! バタンッ!
上から聞こえた大きな音。私は驚きながらお兄ちゃんの部屋に向かった。
「もう……今度はなんなの……?」
私はドアを開ける。そして見えたのは壊れたギターと倒れたお兄ちゃんだった。
「ええ、なんで!!!??」
私は凄く悲しかった……お兄ちゃんはどうでもよく、殺意が湧いた。本当に心配したのは……。
「私のギターがっ!?」
お兄ちゃんが壊したのだとすぐにわかった。
「この……バカ兄貴!」
私は男の下半身を思いっきり蹴り部屋を出て行った。
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