第10話 これからどうする


 改めて、今後の話を整理しようと思う。


 まず私のやるべきことは、「王子暗殺未遂阻止」だ。

 これはトラヴィス様の人格形成に最大の影を落とした致命的な事件で、当時は国を揺るがす大騒動になったらしい。

 ……「らしい」というのはこれが、ゲーム本編ではなくゲーム開始前に起きた出来事で、プレイヤーの関与は一切関係ないからなんだな!

 まあ、ヒロインがおぎゃあと生まれたその日から見守り型のすくすく子育てシミュレーションゲームじゃないから、登場人物の過去なんて全部ゲーム内の回想か設定資料集でしか見かけないんですけどね。


 トラヴィス様ルートで一番のネックは、この過去の暗殺未遂事件のせいで人を信じることができなくなってしまった孤高の王子の猜疑心を、ヒロインの温かく誠実な心でもって溶かしていく、というところ……。

 つまり彼の未来には、打算や出世欲・損得勘定抜きで接してくれる清らかな人物が必要なわけだけど……私、がっっっっっっつり欲望に塗れてるんだよなぁ。

 だってあわよくば推しの顔を眺めたい。できれば遠くから、同性とワイワイやっているところをずーーーっと観察していたい。気分はオペラグラス片手に優雅に舞台を干渉する貴婦人だけど、脳内的にはあれやそれやの妄想に溢れかえっているただの腐女子だ。

 いや別に異性と一緒でもいいんですよ、ヒロインを筆頭に、この世界みんな見目麗しいんだから。流石乙女ゲームの世界ってくらいに行き交う人のお顔立ちがいい。

 まあこれはきっと前世と異なる西洋系人種への典型的な憧れもあるんだけど……あとゲーム系のグラフィックって基本顔崩れないもんな。洋ゲーも好きだったし。


 話が逸れましたな。

 とにかく、もしこの暗殺未遂事件が起こってしまえば、私がトラヴィス様の心をどうこうするようなことは出来ないと踏んでいる。何故なら前述の通り私は清廉な人間ではないからだ。

 つまり、根本的な原因そのものを取り除く方が手っ取り早い! 事件さえ起こらなければ、トラヴィス様は素直でとても社交的なのだから。

 そう、今が! まさに! その時!! 可愛い!! 健やかな推し、最高ー!! 守りたい、この笑顔!


 事件が起きるのは、トラヴィス様が12歳の時。

 暗殺未遂を起こしたのはなんと、彼の実の叔父……現国王陛下の弟君、ロレンス様だった。


 実は、その時点ではまだ叔父君にも王位継承権があった。

 しかし王の第一子に王子が産まれた。しかも「2属性魔法と強大な魔力を持ち、カリスマ性があり、騎士との訓練でも成績優秀」ととんでもないスペックのトラヴィス様に、ほとんどの人間が「彼こそ王位継承者だ」と口を揃えてそう言った。

 対して叔父のロレンス様はと言うと、彼自身ももちろん優秀で、2属性魔法に膨大な魔力量、それに高度かつ高難易度な魔術研究の実績を持つ、十分ハイスペックな方だった。

 ただ、その気質はどちらかといえば温厚で、自身が引っ張っていくよりも補佐に回った方が輝くといったような性格だったとか。


 そんな彼がなぜトラヴィス様を暗殺しようとしたのか。

 事件が起きた時ロレンス様は憔悴しきっており、しきりにうわごとを呟いていたことから、何かの呪法にかけられていたのではないかとか、操られているのではと王宮内は上へ下へと大騒ぎだった。

 そう、彼自身が事件を企てたのではなく、黒幕がいた……カッツェンバッハ侯爵という男だ。

 彼は徹底的な好戦派で、近隣諸国への遠征を幾度となく進言しては現王に突っぱねられていた。

 魔物の生息域の多い我が国は確かに資源に乏しく、数代前までは戦乱尽きない武力国家だった。先々代あたりでようやく近隣諸国と和解して不可侵条約を結んだばかりだ。

 ようやく手に入れた平和を維持したい穏健派と、やはり近隣諸国の持つ肥沃な土地を手に入れた方がより豊かになれるのではという開戦派が未だに会議では毎度ぶつかるという。

 実際には、近隣諸国への侵攻には、カッツェンバッハが主張するほどの国益はなかった。

 むしろ戦争に必要な物資の調達先商会がカッツェンバッハ侯爵と癒着しており、要するに自分の私腹を肥やしつつ、領土が増えるなら万々歳と利己的なことしか考えていなかったのだ。


 現王……つまりトラヴィス様のお父上……というのは厳つい王様で、ならんと言ったことは頑として譲らない、「説得してどうこうなる、流されやすいタイプ」から一番遠い人間だった。

 カッツェンバッハ侯爵はこの国が苦労して手に入れた平和を乱すかもしれない危険分子と見られていたし、開戦派は今の王の下では重用されることはない。

 そこで開戦派は考えた。

 ならば、王を挿げ替えよう。

 それも、現王を踏襲するであろう利発な王子ではなく、気弱で御しやすいであろう王弟を持ち上げて……。


 なーんでその流れで王弟本人が暗殺実行犯になるんだという話なんだけど、そこがまた絶妙で。

 カッツェンバッハ侯爵は全ての準備を整え、王弟殿下のアリバイ工作から何から何まで一切を行う。

 そして最後の仕上げを、王弟殿下が行う。

 その最後の仕上げと言うのが、お二人で食事をしているところで、二人ともが毒を盛られ、より抵抗力のない幼き王子だけが亡くなってしまうという、そういうシナリオだったらしいのだ。

 もちろん毒を忍ばせる最後の砦が、王弟殿下である。


 しかし、王弟殿下は本来優しい方。彼の心の闇にまんまとつけこんだカッツェンバッハ侯爵に結果的には応じてしまったけれど、ずっと葛藤はあったのだという。

 だからこそ、最後の最後で実行できなかった。

 結局毒はほんの少量しか盛られず、致死量に至らぬ程度を口にしたトラヴィス様は寝込んでしまったものの、命に別状はなかった。

 しかしトラヴィス様だけが寝込んだこと、トラヴィス様が食事を口にした以降

ロレンス様の挙動がおかしかったことから犯人はロレンス様と断定された。

 捕らわれた王弟殿下は王位簒奪を図ったとして継承権をはく奪の上追放。処刑の声もあったが、王族でもありこれまでの貢献も考慮し、北の山中の砦に幽閉となった。


 黒幕がいるのではと現王もさんざん話し合われたそうだが、捕縛後急速に力を失った王弟殿下は美しい王家の色である鳶色の髪すら真っ白になり、気力もなくただ「自分が悪いのだ」とそれしか言わなかった。

 北の砦への移送はトラヴィス様が快復する前に決行となったが、移送中の馬車の中で王弟殿下は服毒自殺をされた。

 トラヴィスさえいなければ、と、呪詛のような言葉だけ残して。


 ……これが、スピンオフ小説の全貌だ。誰だよこんなこと考えたやつ。

 さらに辛いのはトラヴィス様はこの王弟殿下を慕っており、時間さえ合うのなら魔術を教えてほしいとか、王弟殿下のところに遊びに行っていいかと周囲によく話していたところだ。

 兄のように慕っていた人物の突然の裏切り。それに呪詛めいた遺言。しかもそれを、現王への報告の際にうっかりトラヴィス様本人が聞いてしまうという……

 おいマジで誰だよこんな可哀想な話考えたやつ!!! 最推しを!! 不幸にする奴は!! 私が許さん!!!! これがキャラクターに深みを与える行為だったとしても許されんよマジで!!!!


 この暗殺未遂が起こる前までは、トラヴィス様と王弟殿下の仲はすこぶる良好だった。王位継承権をお互いに持っているとはいえ、どちらも敵意なんて一切ありはしなかったのだ。

 だからこそ、この事件はトラヴィス様に深い傷を残した。どんなに仲のいい人間でも、いずれ裏切るかもしれない。いやもしかしたら初めから、自分の周りに来る人間は「王位継承権」にしか興味がないのかもしれない。

 いつしかそうに考えるようになり、大きくなるにつれて人を寄せ付けなくなっていく。唯一話をするのは護衛兼乳兄弟のサイラスと、曲がりなりにも子供のころから婚約していたアルスリーナくらい……。


 そんな折に現れるのが、これまで権力や貴族社会のどろどろには一切かかわったことがない純朴で清廉な少女、ケイトだ。

 多感な17~18歳の少年には、彼女の権力に媚びずいつも全力で何事にも取り組む姿はさぞや新鮮に映ったことだろう。

 しかも、自分を王子としてでなく一人の人間として尊重して接してくれるケイト。

 初めて人に打ち明けた過去のトラウマや悩みを、一緒に悩み、一緒に分け合おうと声を掛けてくれて、些細なことで一喜一憂し、本当に心からの笑顔を見せてくれる少女。

 こんなの今恋に落ちずしていつ落ちる?! って感じですよ。

 しかし、そんなこんなで癒しを求めてケイトと顔を合わせることが多くなるにつれて婚約者の動きが不穏になり、あろうことか人知れずケイトを排除しようとするようになってしまう。

 幼いころから一緒に育ち、焦がれるような愛情はないにしても将来を共にしていく覚悟は決めていたトラヴィス様にとって、ケイトを排除しようとするアルスリーナの動きは唐突な裏切り行為に近かっただろう。

 もちろん、アルスリーナだけが悪かったわけじゃない。トラヴィス様だって本来なら婚約者のアルスリーナを優先すべきところでケイトを優先したり、必要以上に庇ったり……まあこれは乙女ゲームだからヒロイン最優先、悪役は悪役らしく描かれてしまうのは仕方のないことなんだけど。

 アルスリーナも本来ならまず苦言を呈すくらいすればいいのにいきなり排除に走ったもんだから、悲劇と言うかなんと言うか……。

 とにかくトラヴィス様の心は次第にアルスリーナから離れ、ケイトのチートな能力が褒めそやされるのも相俟って婚約破棄まっしぐら……そして……キレたアルスリーナとケイトの決闘(ラスボス戦)となる……。


 つまり、だ! その全ての根源である「王子暗殺未遂事件」を阻止すれば、そもそもトラヴィス様は人間不信にならないかもしれないし、そうなればケイトと出会ってからの進展も変わってくる。

 私はそもそもヒロインを陥れようとか排除しようとか言うつもりもないから、トラヴィス様の地雷(裏切り)を踏まないし、婚約破棄からの決闘の流れもなくなる――はず!


「で……どう対策するか、なんだよね」


 この事件に限らずだけど、このゲーム、「なんでもうちょっと腹割って話しねぇんだ?」的なストーリーが多いんだよね。いや世の中の創作物って往々にしてそういう傾向はあるとは思うんだけど。

 もっとお互いにきちんと話を聞いていれば、誤解をきちんと解消する機会があればこんな大事にはならなかったんじゃないのか? 的な。創作物に限らずそういうことはあるんだけどさ。

 現実的に考えればそれって当人同士できちんと話をすべきなんじゃない? みたいなことって多いよね? アルスリーナとトラヴィス様のすれ違いだって、ケイトも含めてきちんと話し合ってればいきなり決闘なんてならないでしょうに。


 そもそも事件の発端だけど、権力に興味がない穏健派な王弟殿下がなぜ権力争いの最たる事件に関与してしまったのか。

 その理由は、嫉妬と寂莫だった。

 現王は三兄弟の長兄。末弟は、現王が即位した後早々に継承権を放棄し、王宮を出て行った。今は領地を持ってはいるものの冒険者になっており、なんと攻略対象として登場する。イケオジ枠で、謎に人気が高かった記憶がある。

 長兄は存分に国家統治の手腕を振るい、末弟は悠々自適に冒険者ライフを満喫している。二人とも自分の好きなことを責任をもってやっている。

 では、自分は?

 王弟殿下は良くも悪くも自分本位な性格ではなかった。幼いころから自分は王になる兄を補佐するべきだと考えており、実際に文官として才を発揮していた。

 他にやりたいことがあったかといえばそうでものない。趣味だとか、好きなものがあるかといえば熱中するほどのものはなく、凡庸だった。ただ兄を傍で支えていければそれで満足だった。

 三兄弟は、仲の良い兄弟ではあった。現王も悩むことがあれば王弟殿下に相談した。冒険者ライフを満喫する末弟がふらりと帰ってきた時には、三兄弟で飲み明かしたりもした。


――トラヴィス様が生まれるまでは。


 正室の王妃様との間にトラヴィス様が生まれてから、現王は時間があれば様子を見に行くようになった。これまで兄弟の雑談に充てられていた時間も削られ、王弟殿下との会話はずいぶんと少なくなった。

 それ以外にも国力増強のためと積極的に官吏を登用するなどして、人材が豊富になった。王弟殿下だけに相談する必要もなくなり、大勢の意見が求められるようになった。

 どんどんと、王弟殿下の中で『己は置いて行かれるのではないか、ここには必要ないのではないか』とそんな気持ちが強くなっていった。

 トラヴィス様が生まれたときは、とても嬉しかった。成長を見るのも楽しかった。無邪気に笑いかける甥がよちよち歩きをしはじめ、やがて1人で立ち上がり、走り回れるようになるまで、それはそれはかわいがった。

 仕事の合間にお菓子をこっそり持って行ったり、魔法を使って見せたり。

 だが彼が大きくなるにつれ、才能を発揮するにつれ、自分はもう用済みだとありありとそういう空気が漂っていることに気がついた。陰で囁かれる声というのは、気にすればいくらでも耳に届くものだ。

 現王がこれまで統治について相談をしてくれたのも、自分に仕事を回していたのも、すべては世継ぎとなる王子が生まれるまでの代理だったのだろうかと。

 そんな負の感情が生まれた瞬間、彼の中で何かが狂ってしまった。

 少しずつ、回ってくる仕事が減っている。現王が相談に来ることも少なくなった。王子の優秀さは王宮のどこにいても耳に入る。そして己に対する、負の感情も。

 誰もが腫物に触るように扱ってくる。何故いつまでも王宮にいるのか。領地に行けばいいではないか。離宮におればよいものを。そんな心無い声が聞こえるようだった。

 現王の、兄の力になれればそれでよかった。自分は王位など望んではいない。ただ傍で、兄の助けになれれば、兄に頼ってもらえれば、それで。


『ではなぜ、その王位継承権を返上なさらないのです?』


 付け込んだカッツェンバッハ侯爵の言葉に踊らされる形で、やがて王弟殿下の苦しみは最悪の形で噴出してしまう……。


 はあ……っ! この……この、兄に愛されたかった心優しき弟の図……!!!!!!

 違うそうじゃないと言われてもそう妄想してしまう罪な脳、それが腐女子脳!!

 だって兄上に頼られたかったってナニィ?! 兄弟愛としても兄弟の範疇超えててもおかしくないよね?! おかしくないわ!!

 一番愛した人は国王で、兄で、もちろん王妃を娶り、世継ぎを成していく。その傍らに控える弟は結婚もせず兄への思慕を募らせ、その補佐をすることだけに生涯を捧げる……。

 しかしそのささやかな想いはやがて悲劇に繋がっていき……あああっ、この悲恋の片思い……!!!

 しかもその健気すぎる想いがクソ利己野郎に利用されてしまうなんて……! 薄い本が厚くなってしまうぜ!!


 ……要するに「もっと頼ってほしかった」が利用されてしまう際の一番の理由なのよね。

 現王の方は、正直弟が国のことや王のことばかり優先することに危機感を覚えていて、もっと自分のことを優先してほしい、弟にばかり苦労させられないと弟のためを思って色々やっていたっていうのを王弟殿下がご自害なさってから吐露されたもんで……悶えたよね。全国の腐女子泣いたよね。

 何でもっとその話お互いしなかったの? 仲のいい兄弟だったんだから腹割って話せば済んだ話やん! こんな悲劇にする必要あった?! シナリオライター人の心ないんか????

 もはや助かった世界線の同人誌を何冊読んだことか。二次創作って最高だな! 


 で、だ。

 そんな「世界はすれ違いでできている」みたいなこの事件をどうにかするには……まず、思いっきり王弟殿下を頼りまくる。

 そもそも文官型で仕事の早い王弟殿下は没頭すると寝食を忘れるくらい仕事をしてしまう。国王陛下はそれを知って彼の仕事を減らしており、今現在その「仕事が減り始めてちょっと暇になってきてる。なんで兄上は私から仕事を奪うのか?」の状態になってきてる。ここを放置するのが一番まずい。


 次に、彼はそもそも甥っ子のトラヴィス様をかわいがっていた。

 これ、これね、かなりネック。

 元々王弟殿下は国王陛下の補佐が得意というだけあって、人の面倒を見るのも得意な人だ。それに、頼られたいという思いが強い。頼まれたら喜んで引き受けてくれるはず。

 頼られたい思いが強い王弟殿下にとって、自分の仕事が減っていくことは自分を認められていない、ひいては自分には価値がないというのと同義だった。

 それこそが彼の心が掌握されてしまった最大の原因。

 裏を返せばそこさえクリアしていれば充実している彼に、王位簒奪の誘いなんて効かないのだ。


 ……うん……価値を認められないって、思った以上に辛いんだよね……。職場で自分だけ無視されるとか。自分だけハブられるとか。私の担当箇所だったのに勝手に違う人に任されたりとか。

 あれね、思った以上にダメージがでかいんだよね。なんかまるで自分なんてこの世に存在してないみたいな、透明人間にでもなったような気分に…………え? 別に前世の辛い思い出なんて全然ありますけど。

 そりが合わない人ってほんと合わないし現実ってなんでこんなに辛いのかしら。私の仕事だって言ってるのに横から手を出した挙句にミスして、「それ○○さんの担当ですぅ」って私の名前出したり、自分の仕事だけど手が回らなくて「ごめんなさぁい、お願いしてもいいですかぁ?」ってこっちに丸投げしておいて上司への報告は自分がやりましたみたいな顔してそっちの株だけ上がったりさ。挙句に私が仕事してないって周りの人に嘘を吹聴して、自分が全部割を食ってるみたいな感じで悲劇っぽく言ってみたり、間違ってるところ注意しただけなのに聞く耳持たないで「意味わかんな~い」みたいな感じで肩竦めてみたり、注意されたのがムカついたからってそのまま私のこと無視し始めて、こっちが仕事の話してるのに見向きもしないで向こう向いたまま「は~い」って聞いてるのか聞いてないのかわかんない返事してぇええええああああああムッカツクううううう!!!!

 そんな世界だったからこそ私は二次元に逃避したんだよなぁ……二次元はいいぞ……誰も私を傷つけない……自分の好きなものを選択できる……最高だよ…………。この『乙6』の世界も最高にストレス発散できたなぁ……。

 だからこそ、今世でまで辛い思いはしたくないし推しは幸せにしてあげたい。

 話が逸れちゃったね。とにかく、自分が必要とされてないかもしれないって言うのは他人が思う以上に自己肯定感の低下に陥る。

 そこをカバーするには「あなたを頼りにしてますよ!」というのを最大にアピールするのが一番だ。

 そこで! 王弟殿下に、トラヴィス様の魔法の師匠になってもらう!!

 さらにそれを! 国王陛下から頼んでもらう!!

 王弟殿下は何よりも陛下の役に立つことを望んでいる。だからこそ、国王陛下から直接依頼をするのだ……ついでに私とサイラスも婚約者だからとか護衛だからとか言って一緒に鍛えてもらいたい……弟子が多ければ多いほど手がかかるし、手がかかればかかるほど他の余計な事を考えなくていいし、ししょーししょーってまとわりついてくる弟子が多ければ多いほど頼られてる感が出てくる! はずだ!!


 そうと決まれば善は急げよ!! いざ! 実行実行~!!!



 

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