第20話 訓練

あれから4ヶ月が経った。


「今日訓練はここまで!」

「「「「はい!ご指導ありがとうございました」」」」


教師の声にすぐに反応しすぐに列を組む。

しかもその列は0.001mmもずれていない。


「それでは解散!と言いたいところだがその前に貴様らに知らせがある」

「「「「はい!」」」」

「今日まで約4ヶ月弱よく頑張った。その頑張りを称して……なんと貴様らは赤眼巨人レッドノートと戦うことが決定した」


赤眼巨人レッドノートそれは名前のまんま赤い目をした巨人だが手や口から火を出しさらに目が合うと体が燃えるという能力を持った魔物である。

強さは少年たちが戦った5体のオークの10倍以上には強いらしい。

クソ雑魚じゃねーか!


「そ、それは本当ですか?」

「しゃべっていいと言っていないぞ?」

「失礼しました!」


不意にしゃべってしまった生徒は教師に怒られすぐに謝罪をした。

一体なぜ彼彼女達がこうなってしまったのか。

それは4ヶ月前に遡る。


「では今から特訓を開始する」

「「「「………」」」」

「返事!」

「「「「はい!」」」」

「まずは移動する」


コロシアムに移動する。

教師は帽子を被るといきなり


「では今からコロシアムの壁に沿って20周よーいドン!」

「えっ?!」

「どういうこと?」

「とっとと走れ!」

「「「「ひー」」」」


コロシアムは巨大化したオークですら余裕がある広さそれゆえに1周するだけでめちゃくちゃ大変だ、あくまで普通の人の場合は。


「なあ」

「ああなんだ?」

「なんであの二人だけずっと同じペースでしかも俺たちよりも5周多く早く走ってんだ?しかもダンダン早くなってない?」

「知らねーよ」

「俺も知らねーよ」

「じゃあ聞くなよ」

「知らねーから聞いてんだろ!」

「暑くなんなキモいキモい」

「キモいゆうな!」

「おいバカ!そんなでかい声出したら」

「貴様ら何をくっちゃべってるもう2周追加だ!」

「「うあああ」」


そう少年は毎日畑作業などをやっていたおかげで基礎体力がめちゃくちゃある。

ルアはそんな少年を手伝っていたので少年ほどではないが十分と言っていいほどある。


「……ルアこれで6周だけど辛く…ない?」

「うん?大丈夫だけど?」

「……いや…なんでもない」

「?」


少年はルアとはある程度話せるようになったけどやっぱりまだギクシャクしている。

そんなこんなで少年とルアは大体15分くらいで走り切った。

その他の生徒は二人の1時間後に走り終えた。

これで休め……


「何をだらけている走り終わったのなら次は腕立て腹筋懸垂30を20セットやれ!」

「「「「はいー!」」」」


ないのが特訓である。

右から順番に一人が1といいそしたら左の人が次は2という感じで進み列の端の人が言ったら次の列にいきまた右から始める。

そして誰かが数え間違えたらまた1からやり直し。

さきに走り終えたクロノスとルアももちろん休みなしでやっていてすでに20セット目に入り始めていた。


「1」

「2」

「3」

「4」

「5」


と息のあった動き。

ルアは疲れ始めていたが少年は物足りなさを感じていた。

(これのどこが辛いんだ?)


『お前まじ?』


(どうした?)


『おっと、なんでもない』


(?まあいいか)

少年にとってこの訓練はあまりにも退屈だった。

なぜなら彼は農業ですでに体は人間としては完成した体と言ってもいいくらいだからだ。

やわな運動で疲れるような体じゃない。

そこで少年は更に負荷をかけるためにコロシアムの地面を砕き岩を背負い右手だけで腕立てを始める片方が終わったら次は左手で腕立てを行うこれを50回50セット。

次の腹筋をやめ岩を背負いながら体感を行うそれを30分5セット。

これを終えるとちょうど他の生徒達も終わったようだ。


「なあ?」

「なんだよ」

「なんでコロシアムの床が割れててそれを背負ってんのあいつ?」

「いや、それはだね知らん」

「だよねー何あいつ【職業】なんなん?あんなやべーやつだったら凄い【職業】そうだわー」

「ああ先生が言ってたぜ、うゔん貴様ら軟弱すぎるぞあいつを見ろ職業が【農家】なのにお前らよりも身体能力が高いぞ悔しくないのか!」

「お前声真似上手いな」

「そうだろ」

「え!てかあいつって職業【農家】だったの!」

「らしいな」

「すっげ、それであんなんできるとか逆にキモいまであるな!」

「だからそんな大声出すなって、てゆうかさ名前なんてゆうの」

「ああ名前?カズトってゆうんだよろしくお前わ?」

「ユウキって言うんだよろ」


そんな二人は今筋トレが終わった後壁を登っていた、なぜ壁を登っているかというと


「貴様ら軟弱ながらもよくやっただが次はその痛めつけた筋肉を更に痛めつける貴様らが筋トレしている間に他の先生に協力してもらいコロシアムに壁を作った今からこれを10分以内に登ってもらう」


その壁とはところどころに凹凸はあるが基本平で高さは100メールを超えている。

しかもラスト25メールあたりからは90°以上の角度になっている。


「でもさー不思議だよな」

「何が?」

「なんで先生も一緒に壁登ってんのしかもめっちゃ早いしてかその先生よりも早く登り切ってるあいつなんなん?」

「あー確かに先生今登り切ったぽいよ」

「おーすげーってそこはいいなんであいつあんな早いん?」

「知らんてそんなに気になるなら聞けばいいじゃん」

「いやちょっとそれは話しかけにくいというかなんというか」

「キモいわ」

「だからキモいゆうな!突き落とすぞ!」

「じゃあ俺はお前置いてくわ」

「あっちょ待てって早!」


ユウキはそのままカズトを置いて行って壁を登り切る。


「はぁはぁよ、ようやくはぁ登り切った」

「こいつで最後か10分で全員登り切ることはできなかったがとりあえず今日はよくやったではここで解散」


カズトがユウキより少し遅れて登り切るとどうやらカズトが最後だったようだ。

地面より100メートル上空のここで解散を言い渡される。


「ええここで?!」

「ちょっと待ってください」

「どゆことですか?」

「えええええええ」

「だるー」

「黙れいいか帰るまでが訓練だ!登り切ったのなら次は降り切れ!」


少年以外の全員が先生が降ろしてくれないのーと思いえーって顔をする。


「返事!」

「「「「はい!」」」」

「先生ー聞きたいんだけどさ降りる方法ってなんでもいいの?」

「うん?まあ今日のところは疲れただろうからここから降りれればそれでいいぞ」


少年の代わりにクロノスが質問をする。


「ルアちょっといい?」

「どうしたの?ってきゃぁぁ?!」

「じゃあ行こうか。みんな頑張れー」

「てめ待て」

「見せつけやがって許すまじ」

「こんなに魅せられて頭にこねえやつはいねぇ!」

「ちょっとあいつ殴るために行ってくるわ」


教師の許可を得たクロノスはルアに手を出し抱き寄せそしてお姫様抱っこして飛び降りる。

続々とクロノスに続いて男子生徒が飛び降りる。

もちろん彼らはノープランそのため途中で……


「うあぁぁぁ死ぬううぅぅぅぅ!」

「ここから俺が助かる確率無し!死んだ!」

「ヤッベ!」


散々である。だが


水球ウォーターボール


彼らが地面にぶつかる直前にデッカい水に包まれ地面にぶつからなかった。


「ルアは優しいな」

「ふふクロノスはかっこいいね。そうだみんなー降りてきて大丈夫だよー!」


ルアがそう言うと降りなかった他の生徒が一斉に降りてきてルアが出した水球ウォーターボールに飛び込んだ。

生徒全員がおり終わった後に教師が降りてきたしかもルアの出した水球ウォーターボールに入らずにそのまま地面に降りた。


「今日はこれでいいが次からはこの方法で降りるのは禁止だ。もちろんそれ以外だったら何をして降りてもいいぞ、だがその方法を使っていいのは一回までだいいな!」

「「「「はい!」」」」

「では改めて解散!」


これが訓練初日だった。

だが4ヶ月が経った今では全ての訓練を生徒全員が簡単にこなし各々で一回岩を担ぎながら行うや片手だけで行うなどの条件をつけて己を研ぎ澄ませるまでに成長した。

そして!今!そんな成長した彼彼女らが己がどれだけ強くなったのかを確認するために強敵に挑む。

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