第11話 奴隷少女②

あれから一年ぐらいが経過した。

男が少女のピンチに駆けつけては助けてくれるため少女もいじめに負けないくらいに精神が回復してきていた。

今日もいじめられていたが少女はと言うと

(あの人のおかげでいじめが怖くなくなったんだ今更こんないじめに負けてたまるか)

と全くいじめに対して何も反応しない。

そのおかげで皆面白くないと感じ一人また一人と減っていったのである。


だが人生とは運命とは希望とは長く永遠にずっと続くものではない希望はいつしか必ず絶望に変わるどれだけ抗おうと抵抗しようと絶望の波は絶えず希望をさらっていくまるで元々そんなものなかったかのように。


ある日を境に男は少女の前に現れなくなった。

(最近あの人に会えていないな。会いたいな次はいつ会えるんだろう楽しみだな。まだかな?まだかな?)


数十日経つ


(もう1ヶ月くらい会えてないなどうしたんだろう。最近またいじめが激しくなってきたから助けてほしいな。会いたいな)


一年経つ


(いつからだっけあの人が私の前に現れなくなったのってあの人にあっていじめが短く感じるようになったのに今は一秒が一時間に感じる。

ねぇ助けて私はここだよ。会いたいよねぇ!)


次第に下がっていくどんどんどんどん下がり最後にはどん底を貫いてさらに深く落ちていく。

止まることを知らない。

そして悲しみはいつしか憎しみえと変わる。

少女の前から消えた男にたいしてかはたまたいじめてくる人に対してか。


悲しみは憎しみにでは憎しみは何に変わるのか

それは殺意に変わる。


「行き場を見失いただ時間だけが過ぎ自分の限界を超えた殺意それは誰に向けられるの?」

「それはね。世界に対してだよ」


(誰も助けてくれない誰も見てくれないあの人でさえもう私を見てくれないなら………こんな世界無くなっちゃえ)


「殺意の行き着く先って何?」

「うーん。それはちょっと難しいな個人差はあるからなー…うーん?たぶんだけど自分自身じゃないかな」

「そっかー」


(そうだよいつもいつも他人に頼って自分からは何も言い返さないしやり返さないだからみんな私を格好のカモだとわかっていじめてきてたんだ。こんな私なんて死んじゃえ!死んじゃえ!死んじゃえ!死んじゃえ!死んじゃえ!)


自傷行為自分で自分を傷つけること。


「自傷行為の行き着く先って何?」

「それは簡単だね。自殺だよ」


人は時として人生に絶望する。

それは誰もが一度は絶対起こる。

一生幸せに生きていける人なんていない。

いつか絶対にどこかで絶望することがある。

なら何故絶望するのかそれは世界が間違っているからだ。


何が正しいとも言えない何があっているのか言えないなぜかそれは正しい人間がいないから。

例えば誰かが事故で大変な目に遭っていて助けるのが正しいと思って行ったとしよう。

ではその世界では助けないのが正しかったら?

その人を助けたのは正しいのか?

この場合正しくなくなる。

だって助けないのが正しい世界だから。

人間とは多数派社会の中で生活している少数派の人はいつしか自分の考えを正しかったとしても社会の中で生きていくための変えなくてはならない。


ならそんな世界正しいのかい?

それとも間違っているのかい?


わからない、知らない、関係ない、俺じゃな

、私じゃない、人のせいにするな。

そんな間違っている世界だから少女は死を選んだ。

次は自分が多数派として過ごせる世界に行けるように。

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