第4話 転生
「俺の名前はクロノス。
ノウギョーン村に住んでいる5歳児だ。
今日は村で行われる人生を決めると言っていい神託の儀の日」
「誰に向かって言ってんの?」
「ん?ルア、どうした?」
「べつーにーなんでもないよーだ」
「なにすねてんだよーこのこのー」
「ちょっやめてよー」
と嫌がりつつも笑っている。
「なあ、ルアは職業なるとしたらなにがいい?俺は【剣士】とか【魔術師】とかになりたいなーもちろんランクはAかSがいいな」
この世界では【職業】そしてランクがあり一番上のSから下のFまでが存在する。
もちろんランクは高ければ高いほど良い。
だがその分授かれる確率は低くCランクだと10人に1人、Bランクだと100人に1人、Aランクだと1000人に1人、そしてSランクともなると10万人に1人となる。
「ふふクロノスらしいね。うーん私は……お嫁さんになりたいな…」
「誰の?」
と聞くと顔を真っ赤にしてルアが殴るが、ポスポスと音がする
「もう!そうなの聞かないでよ」
「ごめん。後でルアの欲しいもの買うから許してくれ」
「ふーんどうしよっかなー。ニブニブのクロノスには沢山買って貰わないと許せないなー」
「小遣いが持つならいくらでも買うから」
「別に私が欲しいのはクロノスの人生なのにな」
「なんか言った?」
「べっつにー」
そんな会話をしていると目的地である教会にたどり着く。
椅子に座り神託の儀が始まるのを待つ、10分が経ったくらいの頃に神父と思われる人物が現れる。
「これより神託の儀を行う。私の前に来て神に祈りを捧げよ、さすれば神が人生を示してくださる。それでは左から順にこちらに来なさい」
そう言うと神父は箱から透明な水晶を取り出す。
「これに手を当てて祈りを捧げよ」
最初の子が神父の言われた通りの行動をすると水晶から神託が映し出される。
「この少年の職業は【剣士】ランクはB」
「本当ですか?やったー」
「神は嘘をつかない」
「この少年の職業は【魔術師】ランクはC」
「この少女の職業は【テイマー】ランクはB」
「この少年の職業は【槍使い】ランクはC」
「この少年の職業は【酪農家】ランクはE」
「この少女の職業は【料理人】ランクはD」
「今年はランク高い子が多いな」
そしてクロノスの番になった。
「それじゃ行ってくるな」
「うん!クロノスなら絶対良い職業につけるよ」
「はは、ありがとう」
神父の言われた通りに行動し祈ると……
「この少年の職業は………ラ、ランクSだって?!」
「えっ!ランクSだって今Sって言ったよね!じゃあ職業は?」
それはクロノスの目にはあまりにも残酷に見えたかもしれないだがそれは世界が神が決めたルール覆すことのできない不変の事実だから諦めて受け入れるしかないのだ。
「えっ?!?!?!」
「こ、この少年の職業は【農家】ランクはS」
クロノスの中で神父の声が何度も繰り返し流れ周りの声も聞こえていない。
クロノスをバカにする声も凄いと言っているルアの声も聞こえず意識が
「クロノス、クロノスどうしたの大丈夫」
最後に聞こえたのはルアの心配する声だけだった。
『起きて目覚めの時間ですよ』
(誰だ!俺を呼ぶのは)
『今は答えられないけどそれは時が経てばわかるだから今は目覚めなさい。あなたはあなたの使命をまっとうすればいい……農業をして』
「まって!…あれ?ここはどこだ?」
「クロノス起きたのね!」
少年は目が覚めると目の前に知らない美少女が1人と知らない場所にいた。
「君は…誰……?」
「う……そよねクロノスねえ変な夢見て頭が混乱してるだけよね」
「ちょっそんなゆすんないでくれ痛いよ」
「あっごめん」
少女が少しずつ後ろに下がると部屋から出ていってしまう。
「なんだったんだ?」
バタバタと音がした後母性のオーラが見える女性と笑顔の男性が部屋に入ってくる。
「誰?」
さっきと同じ質問をする。
「誰って、父さんと母さんだぞ、覚えてないのか?」
「うん。覚えてない」
「そんな……じゃあ父さんと山に熊を倒しに行った事や湖にぬしを釣りに行った記憶もないのか?」
「はは、なにその記憶おもしろそう」
「あーなーたー私そんな事してたなんて聞いてないんだけど!」
「ご、ごめん次は母さんも連れて行こうな!な!」
「それはまた後で話会いましょう。クロノスちゃんは本当にお母さんの事覚えてないの?」
「うん、誰?というかなんで俺は知らない名前で呼ばれても反応できるのはなんでなんだ?」
「これはまずいわね」
「なにがまずいんだ?母さん」
「これは昔やんちゃしてた時代に知り合いから聞いた話なんだけどランクSを授かるとまるで生まれ変わったみたいに性格が変わったりするっていう話なんだけど当時は作り話だと思ってたけどこの反応を見ると本当かもしれないわ。ちょっと20年振りに話をしてくれた知り合いに会って詳しく聞いてみようかしら?」
「ちょっとまってくれ話についていけない」
そんな中かやの外で聞いていると意識が薄れ始める。
(……あれ?なにかに引っ張られてるような気がするけど、誰が俺をひっぱているんだ?誰かに呼ばれている気がする?誰だ?誰なんだ?)
意識が覚醒する。
周りを見渡すとさっき居た部屋にいるけれどさっきとは違いベットの中ではなく扉に背を向ける形で立っている。
(ここはさっきの部屋だけど何か違う気がする)
『やあ、もう1人の俺……は正しくないか、正しくは異世界から来た異邦人君』
扉越しに声が聞こえる。
「誰?」
(さっきから同じ事しか言っていない気がする)
『別に俺から話したいことがあるから話しかけているだけだ。いいかこれから…年間お前に体を貸す。いいかこれは取引だ俺がお前とする取引だ』
「話が読めないんだが?」
『大丈夫だ。すぐに思い出すから、そして自分が何をすべきかはお前が一番わかっているはずだから、頑張れよ』
一方的な会話が終わると空間が割れまた意識が薄れて………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます