第3話 召喚
(……何故だろう凄く………落ち着く。心が体が凄く安らぐ、まるで布団の中のようだ)
少年は気づいたらどこか知らない場所にいた。
自分が何故?ここにいるのかそんな疑問はすぐに吹き飛んだ。
(ん?なんだ急に?)
突然少年の周りが崩れ始めた。
だがなにがなんだか思考が追いつかないまま少年は不意に浮遊感におそわれる。
(これは、今落下しているのか?)
なにもわからずじまいなこの状況の中少年は酷く落ち着いていた。
不意に誰か知れないが声が聞こえた。
「…な……よ。なん…つ……こ…………よ」
(聞こえない、なんて言っているんだ?)
返事をしようとするが口が上手く動かずなんなら腕も足も手も鼻も口もなにも感じない。
(体が動かない?どう言う事だ?てかあれ?俺って死んだんじゃ無かったけ?)
「な…じ………を………えよ。」
(まただ、また聞こえる。誰だ?俺を呼ぶのわ?
俺はもう死人だぞ。それに自分の体なのに動かないし……これが死人に口無しってやつか)
「上手い事言ってんじゃねー!。さっさと私の質問に答えろー」
「うを!?」
さっきからわずかに聞き取れていた声が突然ハッキリと聞こえる。
(耳が壊れそう……だ?いや俺耳ないじゃん)
「は〜や〜く〜こ〜た〜え〜ろ〜」
「何を答えたらいいのかな?」
「やっと返事してくれた。なんじ罪を答えよ」
(なんだろう?ドヤ顔で言ってそうに思えるのわ俺の勘違いだろうか?見えないからわからないけど)
「って罪って急に言われてもそんなの答えられないよ」
「そこー心の声は全て聞こえているんですからねー」
「じゃあ逆に聞きたいね俺の罪を教えてくれよそしたら答えられるかも知れないからさ」
「んーそれでもいいんだけど私はなにもされずに願いを聞いて行動は出来ないんだ。少なくとも祈るとかして貰えないと叶えられないな」
「さいですか。では」
(私の罪を教えてください)
少年は祈る。
願うのではなく祈る。
望むのではなく祈る。
ただただ祈る。
誰に対してなのか何故祈るのか気にせず祈る。
祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る祈る。
そうして数十時間経った頃ようやく声がまた聞こえた。
「うん。もう祈るのはそれくらいで大丈夫かなえっと君の罪は人殺しだ」
「は?!」
その時空気が場が何もかもが凍った。
少年には声が何を言ったのかすぐに理解しそしてそれを聞き怒りを覚えた。
何も知らない姿も見えない声が自分の今までの人生を罪だと言った。
もちろん声にはそんなつもりで言ったわけではなかった。
声の役割はあくまで少年をある場所に連れてくるためのいわば案内人である。
だが少年の触れてはいけない部分に触れてしまったのだ。
もちろん少年もそこは理解しているので罪と言われた事にそこまで怒りはしないが、少年が行った事それを人殺しと言われた事に怒った。
(あいつらは、あいつらを人間扱いだと?!ふざけるな俺からしたら化け物以上の化け物だ。それを人間だと?!お前は神だとでも言うのか?だとしたら余計にふざけるな何もしないで見ているだけの存在が?…)
「ちょっ、ちょっと待ってくださいよー」
「あ゛?!」
「ひっそんな怒らないでくださいよー。許してくださいー」
「あっ、ごめん……………」
(何をやっているんだ俺は声しか聞こえない相手に何やってんだか。落ち着けそう落ち着くんだ)
「……こちらこそすみません。ですがお願いなのですが、その…」
「ああわかってるよ。確かにあいつらは俺からしたら化け物、けど俺以外からしたら人間だ。罪を犯したならそれ相応の罰を受けるそれが当たり前だ。俺の罪は人を殺した事。これでいい?」
「はい、ありがとうございます。すぐにまた会うと思うのでまた会いましょう」
そう言われた後少年の目の前がまた真っ暗になった。
少年は知らない今のがいかに危険なことなのか、だがすぐに知る事となるそれは少年の弟との再会によって。
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