第5話 国語2から始まる、文章作成生活。

 物語文での最高の文章とは『小学校高学年でもすいすい読めて、100%理解できている事』である。

 中学校の国語が2でも、書ける文章じゃないといかんのです。。

 (難しい言葉いらねぇ~、難しい漢字いらねぇ~)

 物語文は『物語の面白さ』を書くものであって、文の美しさを表現してはいかんのです。


物語文で分かりやすく書くためのお作法があります。


〈目次〉

1 物語に関係ないものは書かない。

2 1キャラクター1個性

3 文を変えない。

4 感情は情景描写で。

5 キャラクターの登場はストーリーで。

6 物語を終わらせる。



1 物語に関係ないものは書いてはいけない。

『最小限の人数で、最低限の設定で、最小限の文字数』で。

余計なものを書くと読者が混乱します。


最低限しか書いてはいけないので、

「黒い帽子をかぶった、老人がドアの前に立っていた」

なんて書いてあると、


黒い帽子が、後でキーアイテムになるんだよね?

赤ではなく、黒色であることの謎解きがあとであるんだよね?

若者ではなくて、老人である理由はなんだろう?

ドアの前って、どんな意味があるんだろう?


となるので、「男が立っていた」で良いのです。

こいつが老人じゃないと話が成り立たん!

じゃあ「老人が立っていた」とプラスする感じです。



2 1キャラクター1個性で使い捨て。

日常だと『中学生で、塾の生徒で、ピアノ教室の生徒』でもある。

と一人でも属性がたくさんあるかと思いますが、


クラスメイトは鈴木君

塾仲間は佐藤君

ピアノ仲間は佐々木君


と、かき分けます。

なぜなら、読者が「ピアノの佐々木君」としか覚えてられないからです。

で、ピアノの話がもう出てこないなら、もう佐々木君は再利用しません。

逆にピアノの話がもう一度出てくるなら、佐々木君を使います。

そこで斎藤君を使うと「ピアノの佐々木君」「ピアノの斎藤君」と読者の脳内が混乱します。


3 文を揺らさない。

一度書いたら、そのままの表現で書かないと、違う意味が出ます。

「鈴木君」が「鈴木」となったら、心の距離感が縮まった意味になります。

なので、特に意味がないなら、表記を変えません。


4 感情をそのまま書かない、情景描写で。

「ボールが当たった鈴木は、怒った」

「ボールが当たった鈴木は、腕をブルブル震えさせながら『ぶっ殺す!』と言って殴りかかってきた」

喜怒哀楽の感情表現は全部、情景描写で書きます。


5 主要なキャラクターの登場は「登板回」としてストーリー仕立てで出します。


「力自慢の第一王子、キーン」

「秀才の第二王子、シチュワート」

「魔法が得意な第三王子 ボーン」


・・・覚えられん。


「また、お勉強かシチュワート! 第二王子は気楽でいいよな、剣の稽古をつけてやる、外へ出ろ」

「いいでしょう、キーン兄さん。私は脳筋が一番嫌いなんですよ、剣は筋肉ではなく技であると証明してみせましょう」

剣を抜き、にらみ合うキーンとシチュワート。

そこに小柄な男がやって来てファイアーボールが放たれる。

ドーン。

吹き飛ぶキーンとシチュワート。

小柄な男はつぶやく「なんだ死んでねえのかよ、魔法もまともに使えないバカ兄貴ども」



キャラの登場は物語で。

出来れば、一話使ってそのキャラの良さをしっかり伝えるショートストーリを書く。


6 物語を終わらせる。

これが一番大事。

いろいろな冒険の果て、最後にたどり着いて、何を得たのか、得なかったのか。

主人公の成長した姿を見せるために、物語を終わらせる。



失った右腕をかばいつつ、シチュワートは血まみれの玉座に座る。

「俺はこんなことの為に勉強してたわけじゃねぇ」

その後、シチュワートは善政を振るい『隻腕の賢王』と呼ばれるようになった。

おしまい。


物語が終わるからこそ、答えが出る。

読者にも考える時間が出来る。

まずは無理やりにでも、話を終わらせる。




以上、物語文のお作法でした。



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