Ⅵ:躊躇いと失敗 - doomsday -
〝天を仰ぐ〟 / Dark clouds.
xx hours ago...
Dark clouds.
Over.
『〝どうして、こう、なったんだ――……?〟』
そう、ユキトは静かに、心の中で独り言つ。
黒い空。
今、彼は地面に背を付けながら、大きな空を眺めている。
動けない。
ただ。
頭の後ろにはとて暖かな、柔らかな、そんな感触が広がっている。
「ユキト。おはよう」
「馬鹿アリス。本当に。キミはどうしてくれるんだ――……」
「…………」
ばつが悪そうな表情を浮かべ、笑っているような困っているような、戸惑いに近い感情を覗かせている。
膝枕だ。
今、ユキトは、アリスの膝の上に倒れ込んでいる。
仰向けのまま、アリスの顔を、空を眺めている。
本当に、どうして、こうなったのだろう。
記憶の底を起こして、そう、反芻する。
……――そうだ。アレは。いつも通りの殺人だったんだ。
変わらない。
あるとすれば、今立っているこの地が、〝ローナ〟という因縁の土地であったというコト。
それだけのコトであった。
否。
それだけのコトが、アリスにとっては、きっと〝大問題〟であったのか。
「キミがそこまで――……。ボクのコトを気に病んでいたなんて。思わなかったんだ」
「違う。ユキト。それは違うのよ」
「?」
「私が気に病んでいたのは。貴方のコトではなく。ただ。私自身のコトについてだもの」
様子がおかしい。
その兆候は確かにあったものの、ユキトはそれを『時間が解決する』と軽く考えて、その結果が
言葉にできない、ただ、最悪の状況であった。
すり切れそうなくらい、
「ああ――。馬鹿はどっちだって。ね」
「え?」
「キミを一番側で支えるハズのボクが。この様じゃ。当然の結末だよ」
「違う。ぜんぶ。私が悪いの」
懺悔。
アリスの瞳が微かに揺れ動いているのを、目の当たりにした上で、ああ、と、ユキトは自らの過ちを確信した。
〝失敗〟。
そこから発生する結末、二人は、いったい何処へ行くのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます