第5話
ユニークホルダー、初めて聞く単語だ。ていうか急に話しかけてきて一体何が目的なんだろうこの人。
「ふふ、
え?確かに今錬金術を持っている人は世界で俺だけだけど、今後出てくるかもしれないんじゃないのか?うん?
「俺のは希少属性って...」
「ううん、違うよ」
「へ?」
希少属性とはまた別の扱いなのか。同じカテゴリに入る訳でもなさそうだし、そもそもどうやって判別しているんだろうか。
「
「はい、そうです...」
錬金術は強い属性なのか、全然そんな感じはしなかったんだけど...もしかして俺の使い方が悪いだけなのかな。
「うん、それが
「え、でもなんで俺の基本5属性の親和性が全部0だとか、希少属性...じゃなくて、その
海翔とギルドの受付のお兄さん、そしてその時周りにいた人たち以外は俺のステータスっていうか親和性の情報に関しては知らないはずだし、知られていたことが気になって尋ねると、彼女は道路の反対側に指を刺して答える。
「あ、そうだよね、あそこの黒い車見える?」
「え?あ、はい」
横断歩道を渡った先の反対車線に路駐している黒い車が見える。あれがどうかしたのだろうか。
「あの中に私のパーティメンバーがいるの。で、たまたま君のステータスを彼女がのぞいた時に気付いたんだって、彼女は鑑定魔法の
「そ、そうなんですか」
なるほど、鑑定を使って俺のステータスを見た、ってことか。流石世界最強の一角ともあればパーティメンバーも優秀だな。俺が思い浮かべている鑑定と彼女が言う鑑定魔法が同じならば、ラノベとかでも基本大活躍しているし、鑑定持ちなんて絶対強いだろうな。
「そう!その子がインカムで教えてくれたんだ」
「そもそも何で俺なんかのステータスを...」
「えー、それ聞いちゃう?」
鑑定することができるところまでは分かったが他の野次馬ギャラリーたちと何も変わらない俺の事をわざわざ鑑定したのはなんでだろう、と思いそう問いかけると。急に悪戯っぽく笑みを浮かべた彼女は逆に問いかけてくる。何が面白かったんだろうか?
「顔がタイプだったらしいよ、あははは!」
「ええぇ...」
そ、そんなしょうもない理由で他人のステータスを好き勝手見ないでほしい。俺自分のステータスですら知らないのに。
「な、なんか恥ずかしいです」
「ふふ、君は探索者なり立てかな?」
「あ、いえ、まだです、これから登録しに行こうかと思って」
「んー!新米君なんだ、将来有望だね...そっかー...」
「どうしたんですか?」
そういえば海翔を中で待たせているしそろそろ行かないとな。
「ん-いや、私のパーティ6人居るんだけどね、固有持ちはまだ居ないから君がもし良かったら誘おうかと思ってたんだ、でも初心者だと絶対ついて来れないからなぁ...」
「なるほど」
それはすごい嬉しいお誘いだけど俺には海翔がいるからその誘いには乗れない。
「凄い気持ちは嬉しいんですけど、俺もう友達とパーティ組む約束してるのでどの道受けられません」
「あ、そうだったのね!大丈夫だよ」
まあ、彼女の言う通り俺が入ったところで足を引っ張るだけだろう。魔法の使い方すら満足に分かってないんだし、海翔との約束がなくても断っていただろうな。
「すみません」
「ううん、こちらこそごめんね。ん-、そうだなぁ...君がレベル50になったらどこか一緒に探索に行こうよ。まだ探索者登録してないならステータスカードももらえてないと思うけど、探索者になるともらえるからそれで確認できるよ。あ、その時も別にパーティは組まなくても良いからさ!」
「それだったら大丈夫です、是非お願いします」
レベル50がどれくらいのものなのかわかっていないけど、俺もこの人とはダンジョンに行ってみたいからレベル上げはしっかり頑張ろう。
「ん、良い返事!はい、これ私の連絡先だから、いっぱい探索してレベル50になったら連絡お願いね」
「わかりました、ありがとうございます、では」
連絡先を登録して、彼女にお礼を言う。今度こそギルドへ向かおうとすると、思い出したかのように引き留められた。
「ん!そういえば、君の名前は?」
「あ、玲です。黒鉄玲」
「玲君ね。うん、覚えた!私は
手を差し出してきたのでこちらも手を出して握手をする。彼女の手は柔らかかった。
「あ、別にレベル50にならなくても連絡くれても良いからね!ダンジョンの事とか、君の
「っ!それはめちゃくちゃ助かります...!ありがとうございます」
現役の世界最高峰とのコネクションができてしまった。
「うんうん!引き留めて悪かったね、じゃあ私はもう行くね。君も探索頑張ってね!」
「ありがとうございます...!頑張ります!」
「またね~」
そう言って彼女は車の方へと歩いて行った。緊張がほぐれてどっと汗が噴き出てくる。
「あー...学校より疲れた...」
急に話しかけられた時はびっくりしたけど悪い人じゃなくて良かった。さて、海翔を待たせているし流石にそろそろギルドへと向かおう。
「そこの少年待ちたまえ!」
「
さっきは神門さんと話していたから距離を取っていた周りのギャラリーたちが急にぞろぞろとやってきて囲まれる。あ、これ、なんか既視感が...
「「「俺(私)たちのパーティにいいい!!」」」
「うわああああ!」
やっぱり!まだ探索者登録すらしてないのに...と全ての元凶が乗っているであろう黒い車に恨みの目線を送ると、ちょうどエンジンがかかり走り出したようで、助手席からこちらに手を振りながら笑みを浮かべている彼女の姿が目に入った。絶許。
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