第4話
憂鬱な月曜日が終わり、海翔と放課後校門で待ち合わせる。学年が1つ違うので校門で待ち合わせた方が都合がいいのか。
「お疲れ玲」
「海翔もお疲れ、そういえば昨日聞き忘れたけど、結局やってなかった課題終わったの?」
貴重な日曜日を俺の付き添いに割かせてしまったのが申し訳なかったのでやり忘れていた課題がちゃんと終わったかを聞いておく。
「え、俺が課題やると思う?」
「だと思った...」
そうだった、こいつはそういうやつだ。
ふんぞり返りながらそう告げる海翔に引きながら今日の予定について尋ねる。
「え、えっと、今日は?」
「おう、まずはギルドに行ってステータスカードをもらう。これがあればいつでも自分のステータスを確認できるようになって、レベルが上がると通知が来るようになる。そのあとは軽くダンジョンにでも潜ってみようぜ」
「わかった」
学校近くのバス停まで海翔と行くとちょうどバスが来ていたためそのまま乗ってギルド方面へと向かう。
「そういえば俺ら制服のままだけど良いのかな」
「まあいいだろ、うちの学校厳しくないし、一回帰るのもなんかめんどくさいしな」
「確かに、大丈夫か」
バスでの移動中に昨日検証しまくって分かったメモを渡して見せる。
「プラチナとかダイアモンドが上手く錬金できなかったのが謎だな」
「それは俺も気になってたんだよね」
俺と同じで海翔も気になっていたみたい。何でなんだろう?錬金できるようになるためには何か特別な条件があるのかもしれない。
「親和性が低すぎるとか?」
「!あり得るかも」
盲点だった。今の俺の錬金術の親和性は1。もしかしたら親和性が上がって行けば錬金できるようになる可能性があるかも。でも親和性のあげ方がイマイチよく分かっていない。
「使っていけば親和性は上がるんだよね」
「あぁ、1から2は上がりやすかったはずだぞ、俺が4から5に上げるのは1年かかったけどな。まあRPGの序盤はレベル上げしやすくて中盤以降は少し大変になってくるみたいなアレだ」
「なるほど...」
「親和性って使い込んだ回数が関わってくるらしいんだけどよ、一発一発で使うMPが比較的多い火属性魔法とか雷属性魔法ってのは回転率が悪いからそれだけ親和性が上がりにくかったりするんだよな。逆に水属性魔法とか風属性魔法なんかは一発一発の消費MPが少ないから回転率が高い、それだけ親和性も上がりやすいってことだな」
ふむ、そういう仕様があるのか...俺が家で錬金していた時もMPは使っていたんだろうか、ド◯クエ系のRPGをやりこんでいたからゲーム知識でMPが何なのかはなんとなくわかっているが、ステータスカードがないから自分のステータスを見ることができない。
まあ錬金自体に殺傷能力がないから問題はなかったけど、確かに街中とか家の中で火とか雷とかぶっ放すわけにもいかないものな...確か明確に法律で定められてたはずだし、ダンジョン以外での魔法使用はどうのこうのみたいな。
あれ、俺の錬金ってもしかして家の中でやったらアウトだったのかな?
海翔が水属性だし上がりやすい方なんだろうがそれでも1年かかったのか。火とか雷はもっとかかるんだろうな。下手したら2年とかかも...
「なんだあれ?」
「うーん、わかんない、見に行ってみる?」
「そうだな」
色々考えているうちにギルドのバス停についたので海翔と降りてギルドの方へと向かう。するとギルド近くの広場に目の前に人だかりができていたので海翔と近づくと歓声、主に女性のものが多く聞こえてくる。
「「きゃー!!
「こっち向いてください~!!」
なんかどこかで聞いたことある名前だな。有名人か?テレビニュースとかでたまに流れてくるような名前だった気がするけど詳しくはない。
「れ、
「海翔は知ってるのか?俺あんまり詳しくなくてさ」
「有名だぞ?19歳という若さで世界最強の女性探索者って言われるまで上り詰めた、世界で30人前後しかいないS級探索者のうちの1人だった」
なんと、凄い人も居るもんだ。
「へえ...名前からして火属性魔法を使うのかな」
「あぁ、彼女は火属性魔法の親和性が9に至った最強格の火属性使いらしい」
16歳にならないと
「日本人で唯一のS級探索者だよ。過去40年で火属性の親和性を9に上げた探索者は5人も居なかったはずだ、まさに探索者の上澄みだな」
「とんでもない実力者ってことね」
日本の探索者の頂点みたいな人が何でこんなところにいるんだろう?
「おう、そういや俺ギルドに用事あるから先行くけど」
「あ、俺は少しどんな人か見てから行くよ」
「おーけい、じゃあまた後でな」
海翔がギルドの方に歩き始め、俺はちょうど人だかりに隙間が空いたのでそこに入って中を覗いてみる。
「へぇ、あれが...」
巫女装束を着た女性が囲まれて困ったような表情を浮かべている。遠くからでも何となく強い人のオーラを感じる。するとふと緋巫女がこっちを見て目が合い、こちらへ歩いてくる。まさかとは思うけど俺に用でもあるんだろうか。
「え...えっと、こんにちは...?」
「ねえ」
「は、はい!?」
急に話しかけられて声が上ずってしまう。
「君、
「ゆ、ゆに...?」
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